記事・レポート

今こそ読みたい『古くて新しい記事』

~ストックされた知識から学ぶということ~

更新日 : 2020年07月14日 (火)

『古くて新しい記事』2010




コロナ禍によって今までの生活の見直しを迫られる中、これまで新しい情報や刺激を追い求めてきた生活も考え直す時期がきているのではないでしょうか。
 
過去の書籍、映画、音楽ライブ、演劇など、これまでにストックされてきた素晴らしいコンテンツの数々がいま脚光を浴びています。コンテンツを一過性で消費して終わりではなく、過ぎた時間と照らし合わせることによって気づきを得られることもある、と私たちは考えます。
 
この企画では、アカデミーヒルズでストックされているイベントレポート「古くて新しい」記事をピックアップしてお届けしてまいります。私たちは過去の登壇者のお話から今、何を学べるのか?
自分を内省する時間の糧として、今でも新たな発見やヒントが散りばめられている過去の記事を読み直してみませんか。

 2010年 はどんな年?

2010年は、前年に起きたアメリカや日本での「チェンジ(変化)」が試練に直面した年でした。米国史上初のアフリカ系大統領として2009年1月に就任したバラク・オバマ氏の政権運営に対する事実上の信任投票となった2010年11月の米国中間選挙でオバマ民主党は歴史的な大敗を期することになります。上下両院の多数派政党が異なる「ねじれ議会」に直面し、厳しい政権運営を迫られました。
 
一方の日本では、2009年9月の衆院選挙で民主党が圧勝し、自民党から民主党への政権交代が実現。鳩山由紀夫氏が首相に就き、2010年は民主党による政権運営が本格化した年でした。しかし、米軍普天間基地移設問題などをめぐる政権運営の混乱の責任を取り、鳩山氏が6月に首相を退任。菅直人内閣が発足したものの、7月の参院選で民主党が大敗し、「ねじれ」国会に直面しました。
 
この年に日本に明るい話題をもたらしたのが、2010年6月13日に地球への奇跡の帰還を果たした小惑星探査機「はやぶさ」のニュースでした。往復の無人小惑星探査という世界初の成功はもちろん、けなげに地球をめざす「はやぶさ君」の姿は、閉塞感漂う日本に元気と勇気を与え、多くの人の共感を呼びました。
 
 2010年 ピックアップ記事
 
2010年のアカデミーヒルズでは、民主党政権の要職を務めた方々の講演が行われたことが特徴的でした。
今回ピックアップした記事には、「事業仕分け」の生みの親である加藤秀樹・行政刷新会議事務局長による講演録があります。「事業仕分け」は民主党政権の政策の目玉とされ、連日テレビや新聞で大きく取り上げられて話題となりました。民主党政権はその後、迷走を続けて国民の間に失望が広がり、3年3か月で幕を閉じることになりますが、加藤氏のお話からは「市民が参加する政治へ」という信念が「事業仕分け」のベースとなっていることが感じられました。
 
他にアカデミーヒルズで注目を集めたのは、その分野の第一人者によるお話。世界的な経営学者にしてナレッジマネジメントの権威である野中郁次郎先生や、映画字幕翻訳の戸田奈津子氏、「カツマーブーム」で一世を風靡した勝間和代氏、日本を代表する占星術研究家の鏡リュウジ氏・・・分野は異なりますが、先駆者のお話を聞くために多くの人がご参加下さり、会場は熱気に包まれました。今回のピックアップ記事からも、過去の講演から現在でも私たちが多くの学びを得られるのだ、と改めて感じます。

回、新たに勝間和代さんにコメントを頂きました!
 

勝間和代はなぜ国際貢献に尽力するのか?
~身の回り1.5メートルで感じるグローバル・アジェンダ~
【登壇者】勝間和代(経済評論家/公認会計士)
【連載開始】2010年4月



出版する書籍が次々にベストセラーとなり、テレビ、新聞、雑誌などの特集で取り上げられ、若い世代の憧れのロール・モデルとして「カツマーブーム」を巻き起こした勝間和代氏。生産性の向上や効率化などの講演が多かった彼女が、国際貢献やグローバル・アジェンダについて語った貴重な講演録です。
遠いアフリカの話が、実は日本にいる私たちの身の回りの問題に繋がっていること、国際貢献を続けるためには「仕組み」が必要ということ等をロジカルに展開し、日本国内にも世界と同様に貧困などの課題があり、それらに目を向けることも必要だと訴えます。通常、自分の身の回り1.5メートルにしか関心を持てない人間が、その範囲の中でいかに自分の関心を広げていけるかが問われている、と勝間氏。
「社会が社会的弱者に対して配慮がないことが、社会全体の幸福度を引き下げる」という言葉に、グローバル・アジェンダは他人事ではなく、自分の身近な問題なのだ、と気づかせてくれます。

勝間和代はなぜ国際貢献に尽力するのか?(記事全文はこちら)

勝間和代さんからコメントをいただきました。

あの講演から10年経って、世界の各国の結びつきはますます強くなっています。2020年前半のコロナ禍についても、 まさしく全世界が一致して問題解決に当たらなければどのようなことについても解決できない、世界は一蓮托生であるということがそれぞれの人たちの心に深く刻まれたのではないでしょうか?

いまでは、SDGsについても存在を知ってる人が多くなり、バッジをつけたり電車の中などでも広告を見かけるようになりました。企業も積極的にどのようなことについて貢献するかということを開示しています。

様々な支援というと相手のためにやると思われがちですが、支援をさせていただくというような謙虚な考えが重要だと思っています。たまたまその時に支援をする余裕があったとしてもいつも逆の立場になることがありえますし、また、 支援をすることで有形無形の喜びを得ることができるからです。

Chabo!の活動も続いており、寄付総額は1億円を突破しました。また、海外だけではなく、この講演の1年後起こった東日本大震災でもChabo!のお金を活用してもらっています。

世界は繋がっていていつ何が起こるかわからない、だからこそお互いに支援をしあうのは当たり前ということについて、ますます多くの人が皮膚感覚で賛同し、理解が深まっていくことを願っています。


 

戸田奈津子氏が語る「映画の魅力を表現する字幕翻訳」
~1秒4文字、10文字×2行の世界~
【登壇者】戸田奈津子(映画字幕翻訳者)
【連載開始】2010年3月



海外では基本的に外国映画は「吹き替え版」しかなく、映画の字幕が広く普及しているのは日本だけ、ということをご存知ですか?その背景には、日本人が字幕を好む理由がある --- という興味深いお話からスタートし、一気に人を惹きつける字幕翻訳者の戸田奈津子氏のセミナー記事。
映画字幕の基本は「しゃべっている間に読みきれる日本語にする」こと。そのために「1秒4文字」というルールで翻訳していきます。この字数制限下で訳す難しさを実感してもらうために、会場で参加者に実際に映画に出てきた文章でチャレンジしてもらう場面は、読んでいるこちらも理解が深まります。
世界で字幕翻訳者と名乗れる方は十数人もいない、という「叩く扉」もない特殊な業界で20年かけてようやく職業として名乗れるようになったという戸田氏の話に、「好き」を原動力にする強さを感じます。

戸田奈津子氏が語る「映画の魅力を表現する字幕翻訳」(記事全文はこちら)


行政のムダを斬る「事業仕分け」の本番はこれからだ!
~行政刷新会議事務局長が目指す本当の改革~
【登壇者】加藤秀樹(行政刷新会議 事務局長/構想日本代表/東京財団会長)
【連載開始】2010年5月



この講演の開催当時、連日ニュースで大きく取り上げられていたのが、民主党政権が政府として実施した国の「事業仕分け」です。報道陣が集まる会場やネット中継という「公開の場」で「仕分け人」が国の事業の無駄を洗い出し「廃止」や「予算削減」を決めていくプロセスは、賛否両論を巻き起こしました。
2002年から地方自治体の事業を中心に「事業仕分け」を実践してきた加藤氏に、歳出削減だけに止まらない行財政改革の切り札としての意義についてお話いただいた貴重な内容です。
折しも、スーパーコンピューターの性能ランキングで日本の新型機「富岳」が世界一になったことが最近(2020年6月)のニュースで話題となり、スパコン開発を巡り、「事業仕分け」で蓮舫議員が発した「2位じゃダメなんでしょうか?」という言葉が再度注目されました。現在でも「行政事業レビュー」として継続されている「事業仕分け」を振り返ることで、現場レベルから市民の目を通して税金の使われ方を問うことを改めて考える良い機会となるのではないでしょうか。

行政のムダを斬る「事業仕分け」の本番はこれからだ!(記事全文はこちら)


天文学と占星術の不思議な関係
【登壇者】鏡リュウジ(占星術研究家/翻訳家)
      渡部潤一(国立天文台副台長・教授))
【連載開始】2010年7月



日本の占星術界をリードする鏡リュウジ氏と天文学者の渡部潤一氏の対談を通じて、一見、異分野として捉えられる占星術と天文学が、中世までは混然一体となっていたと考えられ、同じルーツから形成されていたことが明らかにされます。そこから2つの分野に分かれたプロセスを語ることで、それぞれの学問の成り立ちについて展開されていきます。
誰もが夜空を見上げ、月や星を眺め、宇宙はどこまで広がっているのかと想いを馳せたことがあるように、古代から人類は夜空の未知の世界の偉大さに感動し、宇宙を探求したい知的欲求を持ち続けてきました。都心で天文を身近に感じていただくことを目的に六本木ヒルズ森タワー屋上でワークショップや星空観測を行う「六本木天文クラブ」とのコラボレーションで開催された本セミナーは、参加者がアカデミーヒルズでお二人のお話を聴いた後に、屋上から星空を観測する観望会も楽しみました。この記事を読むと、皆さんもきっと星空を見上げたくなるはずです。

天文学と占星術の不思議な関係(記事全文はこちら)
 

野中郁次郎氏が語る、未来を経営する作法
~美徳のイノベーション~VISIONARY INSTITUTE - 2010 Seminar
【登壇者】野中郁次郎(一橋大学 名誉教授)
【公開開始】2010年9月



日本を代表する経営学者、野中郁次郎先生が提示する「企業は知をつくり続ける知識創造体である」というコンセプトをベースに、具体的実践についてご本人に解説いただいたセミナー。会場には、直接お話を伺いたいと多くの参加者がお越しくださいました。
「知識創造のための4つのプロセス」として、共感の「共同化(Socialization)」、言語化の「表出化(Externalization)」、個人知を組織知にする「連結化(Combination)」、組織知を実践につなげる「内面化(Internalization)」の頭文字を取って名付けた有名な「SECIモデル(知識創造のプロセス)」や「賢慮型リーダーシップに求められる6つの能力」など、まさに知識をビジネスに変換していくために必要な「知」が詰まった講演録です。

野中郁次郎氏が語る、未来を経営する作法(記事全文はこちら)

 
※記載されている肩書は当時のものです。

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