記事・レポート

天文学と占星術の不思議な関係

渡部潤一氏×鏡リュウジ氏

更新日 : 2010年07月07日 (水)

第1章 我々が見ている世界には、まだ見えない向こう側がある

夜空に輝く星は我々にどんなメッセージを送っているのか、宇宙はどこまで広がっているのか—— 天体の謎を解き明かそうとする知への欲求は、古代から現代にいたるまで人類を突き動かし、占星術と天文学という2つの潮流を生みました。星をめぐる人類の営みについて、占星術研究家と天文学者が六本木の夜空の下で語ります。

鏡リュウジ 占星術研究家/翻訳家
渡部潤一 天文学者/自然科学研究機構国立天文台天文情報センター長・アーカイブ室長・総合研究大学院大学准教授

渡部潤一(左)鏡リュウジ氏(右)

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渡部潤一: 私は太陽系天文学の研究をしていますが、太陽系は星占いでも非常に重要とされています。我々は宇宙から見ると太陽系と呼ばれる場所に住んでいます。「住んでいる」と言いましたが、私たちが赤ん坊のころは自分では動き回れませんから、自分の住んでいる家がひとつの“宇宙”だったわけです。

ところが歩けるようになると、外には他の家があって、他の家には自分と同じような子どもがいると気づきます。そうすると「自分の家だけが宇宙ではないんだ」ということがわかってきます。さらに交通手段を使って移動できるようになると「町があるんだ、他の町もあって村があったりするんだ」と“宇宙”が拡がっていくわけです。

こうやって自分のいる社会や世界を客観的に見られるようになるのが大人になることだと思います。だから私たち天文学者は人類を代表して、人類が大人になりかけている、その最先端の仕事をしているのだと思うのです。

かつては太陽系の惑星は水星、金星、火星、木星、土星の5つと認識されていました。ところが天体望遠鏡の発明によって、その先に天王星が見つかりました。「ああ、土星の外側にも惑星があるんだ」とわかり、さらに海王星や冥王星も見つかりました。最近では冥王星の先にも惑星があることがわかってきています。

太陽系の中でも、例えば木星には、その周りをまわる小さな月があることがわかりました。それから火星と木星の間には、小さな天体や小惑星が約30万個はあると推測されています。太陽系は思ったよりも広く、深い。我々が見ているこの世界には、まだまだ見えない未知の世界があるということがわかってきたのです。

太陽系は太陽を中心にその周りを惑星が円を描くように動いているのですが、地球から見ると太陽の周りを水星や金星がウロウロしているように見えます。これはこの2つの惑星が地球より太陽の近くにあるからです。それから、太陽に近い惑星は速く、遠い外側の惑星はゆっくりと動いています。このように我々の宇宙というのは、毎日毎日動いているのです。天を見上げると、星座を織りなす星の間を惑星が動いている——だから、昔の人は、惑う星、「惑星」と呼んだのです。この惑星の動きを見て、何かメッセージを与えているのではないかということで占星術がはじまったんですね。

鏡リュウジ: 惑星を意味するプラネット(planet)はギリシア語が起源で、「ふらふらするもの」という意味なんです。占星術の世界や昔の天文学では、太陽と月も惑星とされていましたが、それは星座の間をぬって動くように見えるからですね。この惑星というのが、僕たちが扱っている「西洋占星術」と呼ばれているもの、正確に言うと「ホロスコープ占星術」の主役です。

ただ、占星術で使っている星座(サイン)は太陽や月、惑星の位置を示すための座標で、春分点を基準に黄道を12に均等に分割したもの。実際に眼に見える星座とは位置が違うということをご理解ください。そういう意味でも占星術では惑星が主役なんです。

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鏡リュウジ (占星術研究家/翻訳家)
渡部潤一 (国立天文台副台長・教授)

鏡リュウジ(占星術研究家/翻訳家)
渡部潤一(天文学者/自然科学研究機構国立天文台天文情報センター長・アーカイブ室長・総合研究大学院大学准教授)
科学の発展とともに別々の道を歩むこととなった天文学と占星術の不思議な関係についてお話いただきます。


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