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三谷宏治が語る、経営戦略の100年

経営の本質はつながりとストーリーから見えてくる

経営戦略ビジネススキルその他
更新日 : 2013年09月06日 (金)

第7章 予測不能な時代がやってきた

 講師:三谷宏治(K.I.T.虎ノ門大学院 教授 早稲田大学ビジネススクール・グロービス経営大学院 客員教授)

 
世界は膨張し続ける

三谷宏治: さて、3つの源流以降、近年までのお話は本をお読みいただくとして(笑)、ここからは本の後半に示した直近の話題を取り上げたいと思います。それが、イノベーション論です。

なぜ今、これほどまでにイノベーションが必要とされているのでしょうか? それは、世界があまりに膨張し、複雑になり、予測不能だからです。そしてそれは、この10年ちょっと、つまり21世紀に入ってからの不可逆的変化でもあるのです。

まずは、ワールドGDP(実質値)を見てみましょう。GDPは通常、国別のものですが、世界すべての国のGDPを合算した数値がこれです。単位が見慣れないかもしれませんが「兆ドル」です。

2000年以前、ワールドGDPは30兆ドル台で推移していました。しかし、21世紀に入ると急に数字が変わります。2002年からは33、37、42、45、49、55、61、リーマン・ショックで初めて58兆ドルに下がりましたが、翌年は63兆ドルに戻し、2011年は69兆ドルとなっています。GDPは、資源消費量やエネルギー消費量と表裏一体のものです。世界は10年のうちに、およそ倍の資源とエネルギーを消費するようになりました。世界は急激に膨張しているのです。

人口もまた、膨張を続けています。世界の人口はすでに70億人を突破し、2050年には93億人、2100年には100億人前後で安定すると予測されています。逆に言えば、われわれはこの地球上で、最大100億人を維持できればいいのです。しかし、もっと大きく急激なインパクトが、いわゆる年間収入1,000ドル以下の低所得者層、いわゆるBOP(Base Of the Pyramid)層から生まれてきます。この層が経済力をつけることで、中間所得者層が現在の14億人から2030年には55億人になると予測されています。このBOP層40億人こそが、経済成長の原動力であり、世界の膨張の要因でもあるのです。

恐怖指数 — Volatility Index

三谷宏治: VIX(Volatility Index)、別名「恐怖指数」。これは、シカゴ・オプション取引所が作り出した、オプション取引のボラティリティ(価格変動の不透明さ)を元に算出される数値です。この数値が高いほど、投資家が世界の相場の先行きに不安を感じている、恐怖を感じているとされています。

順調な経済推移が見込める状態、つまり金融的なリスクが少ない状態では、VIXが10~20前後で推移します。ところが、世界的大企業の倒産や経済危機、大規模な紛争・戦争が起こると、数値が一気に跳ね上がります。VIXは、アジア通貨危機では38、アメリカ同時多発テロでは44に跳ね上がりました。それらが落ち着いたかと思われた2009年、リーマン・ブラザーズ破綻にはじまった世界的な金融危機(通称リーマンショック)では、VIXは空前の90まで上昇しました。

残念ながら現在は、先行きがほとんど見通せない、とても不確実な時代だと言えます。ITやEUの登場によって世界は緊密につながり、ひとつの小さな波紋がはるか遠くにある場所にも大きく影響を及ぼすようになりました。われわれは今、非常にまれなこと、想定外のことが頻繁に起こる世界、複雑で予測が不可能な世界に生きているのです。

では、こうした時代を生き抜くための方策はあるのでしょうか? その答えをひと言で表すのなら、それが「イノベーション」なのです。

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