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三谷宏治が語る、経営戦略の100年

経営の本質はつながりとストーリーから見えてくる

経営戦略ビジネススキルその他
更新日 : 2013年09月03日 (火)

第5章 3つ目の源流~アンリ・フェイヨル

 講師:三谷宏治(K.I.T.虎ノ門大学院 教授 早稲田大学ビジネススクール・グロービス経営大学院 客員教授)

 
アドミニストレーションの誕生

三谷宏治: 経営に「科学」を持ち込んだテイラー。経営に「人間性」を持ち込んだメイヨー。そして、3つ目の源流となったのが、フランス人のアンリ・フェイヨルです。アメリカでテイラーが活躍していたのと同時期に、欧州で活躍していた人物です。

彼はフランスにおいて大学の上に存在する高等教育機関グランゼコールを、わずか19歳で卒業したエリート中のエリートです。当時の花形産業であった鉱山の技師となり、37歳の若さで鉱山の現場責任者となります。47歳の時には、経営が傾きかけていた会社の社長に就任し、これを見事に立て直し、優良企業へと転換させています。

1917年にフェイヨルは、自らの経験から構築した経営論を『産業ならびに一般の管理』として著します。この中で彼は、企業において「必要不可欠な活動」を6つ示しています。現在の言葉で表すのなら、開発・生産、販売・購買、財務、人事・総務、経理、経営企画・管理です。これはマイケル・ポーターが唱えた「バリュー・チェーン」そのものといえるでしょう。

秀逸だったのは、「経営企画・管理(経営活動)」を、他の5つの活動を統制するものとして最上位に置いたこと。テイラーも職能別組織の重要性は指摘していましたが、それらを統制するとまでは言っていませんでした。

さらに、「経営活動」のプロセスを5つの要素に分け、明確に定義したことも特筆すべき点です。フェイヨルは「経営活動とは、計画し、組織し、指令し、調整し、統制するプロセスである」としています。つまり、PDCAならぬ「POCCC」(Planning, Organizing, Commanding, Coordinating, Controlling)サイクルを作ったのです。彼は、すべての活動を統制し、サイクルを回していくことが経営であり、それはどのような組織においても普遍的なものだとしました。

叩き上げの技術者からコンサルタントになったテイラー。彼が管理する対象は工場(現場)であり、関心の先は生産性向上でした。一方で、経営者であるフェイヨルの管理する対象は企業全体であり、関心の先は「経営活動」にありました。フェイヨルはそれをアドミニストレーション(Administration:統制)と表現しました。

企業活動にテイラーが科学を持ち込み、メイヨーが人間性を持ち込みました。そして最後に、フェイヨルが統制という概念を持ち込んだのです。この3つこそが、現代に続く経営戦略論の源流と言えるでしょう。

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