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チャイナ・フリー 中国製品なしで暮らす1年間

~今求められる消費者の品格~

BIZセミナーその他
更新日 : 2009年03月11日 (水)

第9章 「チャイナフリー」。言うは易く行うは難し

坂東眞理子さん
坂東眞理子: この本、『チャイナフリー:中国製品なしの1年間』を読んだとき、これはヒューマンストーリーなんだと思いました。何となく最初はこの題から、「中国の影響から、いかに我々は自由になるべきか」というような政治的、経済的な主張を持った本かなと思って読み始めたのですが、アメリカのごく一般的な消費者一家が1年間、中国製品を使わないとどういうことが起こるのかというとてもヒューマンなレポートでした。

クリスマスや誕生日のギフト、いろいろなイベントでどういうふうにアメリカの人たちが暮らしを楽しんでいるのかが分かりました。特に印象的だったのが、夫と妻の関係、そして親と子どもの関係です。暮らしの中から浮かび上がってくる相手へのきづかいそうした側面がとても印象的でした。

しかし同時に、アメリカの消費者の行動力といいますか勇気、「これはおかしいじゃないか、私たちの周りにはあまりにも中国製品が多すぎるのではないか」と疑問を抱いたら、即、行動に移す力。これは本当にアメリカ人らしい、アメリカの消費者ならではの行動だと感じました。

日本の私たちは、アメリカ以上に中国製品に取り囲まれ、中国産の食べものを食べていて、まさに「中国漬け」と言ってもいいような暮らしをしているわけです。しかし恐らく日本の消費者は「仕方がない」「もう、私一人でかえることは出来ない」ということで、サラさんのように「私たちの暮らしは中国製品の中に埋まっている。じゃあ、一度ボイコットしてみようじゃないか」と行動する人は、よほどの変わり者ではない限り、いないのではないかと思います。

ちょっと調べてみると、2007年の日中間の貿易総額(輸入と輸出を合わせた額)は約2,366億ドル、輸入額は約1,276億ドルでした。日本全体の輸入量の約20%になります。もちろんアメリカよりずっと多く、日本の輸入の中で占める中国の割合は2002年から6年連続、第1位です。

コンシューマーグッズといわれるようなもの、例えば100円ショップで売っているようなものだけではなく、私たちが普通に食べている食品の中にも中国産がいっぱいあります。例えば、お野菜など、ネギ、ゴボウも中国から輸入されていますし、鰻もそば粉も中国から輸入されて私たちの暮らしの中にすっかり溶け込んでしまっています。

中国製品の中にすっぽり入ってしまっている私たちの暮らしを「これでいいのだろうか?」と疑問を持ってみる。そのとき、例えばサラさんがやったように、中国製品を1年間とはいわず、1週間でも1カ月でも、中国製品なしの暮らしをやってみようと日本の消費者の方が試みたとしたら、すごく面白い、いろいろな発見があるのではないかと思います。
(その10に続く、全15回)

関連書籍

チャイナフリー—中国製品なしの1年間

ボンジョルニ,サラ, 雨宮 寛, 今井 章子
東洋経済新報社

チャイナ・フリー 中国製品なしで暮らす1年間 インデックス

該当講座

チャイナ・フリー 中国製品なしで暮らす1年間
今求められる消費者の品格
Sara Bongiorni (ジャーナリスト)
坂東眞理子 (昭和女子大学学長)
雨宮寛 (コーポレートシチズンシップ代表取締役)
今井章子 (コーポレートシチズンシップ取締役)

中国——この急成長を遂げる屈指の製品輸出国ほど、21世紀のグローバル経済が引き起こす功罪に深く関わっている国はないでしょう。中国製品には、安心・安全、環境問題、格差問題、資源獲得競争、少子高齢化など、世界の多くの国が共有する社会問題が凝縮されているといってもいいでしょう。しかし、私たちはそうした問題....


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