記事・レポート
「アメリカ大統領選挙から、アメリカ社会を考える」
更新日 : 2008年06月03日
(火)
第8章 オバマとヒラリーの支持基盤は、こんなに違う

ジェラルド・カーティス: 民主党は1つの政党ですが、その中にはいろいろな対立する、少なくとも意見が違うグループがたくさんあります。それが普通の姿です。日本の自民党や民主党には「統一した意見や政策がない、統一したポリシーがない」といいますが、どの国もそれが普通です。
ヒラリーの支持基盤とオバマの支持基盤は随分違います。ここでもアメリカの社会のいろいろな面白い現象が見られます。
誰がヒラリーを一番支持しているのかというと、1つは先ほど少し触れましたがヒスパニックです。アメリカでもまだそれほど知られていないのですが、今、アメリカで一番人数の多いマイノリティ・グループは、黒人=アフリカン・アメリカンではなくヒスパニックです。アメリカの人口の15%がヒスパニックで、12%が黒人です。ヒスパニックの人口は約4,600万人ですが、1990年から去年(2007年)にかけて倍になりました。ものすごい勢いで住民が増えています。ヒスパニックの多くはメキシカンです。
そのヒスパニックの人たちの半分が、2つの州に住んでいます。一番多いのはジョージ・ブッシュが州知事だったテキサス。それとカリフォルニアです。ヒラリーがテキサスとカリフォルニアの予備選挙で勝ったのは、ヒスパニックのおかげです。
英語では、「サイレント・マジョリティ」、声なき多数派という言葉があるのですが、今、ヒスパニックはアメリカの「サイレント・マイノリティ」だと 言えます。サイレントというのは、全国的な知名度のあるヒスパニックのリーダーがほとんどいないからです。一番知られているのは、ニューメキシコの知事、 ビル・リチャードソンです。オバマが大統領になれば、ビル・リチャードソンが国務長官になるかもしれません。彼はお母さんがメキシカンで、お父さんが白人です。
いわゆるシビルライト・ムーブメント(※編注:1950~60年代にかけてアメリカで起きた公民権運動)は黒人たちの運動であって、あのころあまだ ヒスパニックあまりいませんでした。公民権運動によってすばらしい黒人の指導者が生まれたわけです。マーティン・ルーサー・キングをはじめ、今ならジェシー・ジャクソンだとか、ニューヨークのアル・シャープトンとか。いろいろ面白くて知名度の高い黒人のリーダーがいますが、ヒスパニックにはリーダーがいないんです。ただ、影響力はますます強くなっています。2050年になったらアメリカ人の4人に1人がヒスパニックになるといわれています。これは、アメリカの社会の大きな変化です。
ヒラリーの支持基盤とオバマの支持基盤は随分違います。ここでもアメリカの社会のいろいろな面白い現象が見られます。
誰がヒラリーを一番支持しているのかというと、1つは先ほど少し触れましたがヒスパニックです。アメリカでもまだそれほど知られていないのですが、今、アメリカで一番人数の多いマイノリティ・グループは、黒人=アフリカン・アメリカンではなくヒスパニックです。アメリカの人口の15%がヒスパニックで、12%が黒人です。ヒスパニックの人口は約4,600万人ですが、1990年から去年(2007年)にかけて倍になりました。ものすごい勢いで住民が増えています。ヒスパニックの多くはメキシカンです。
そのヒスパニックの人たちの半分が、2つの州に住んでいます。一番多いのはジョージ・ブッシュが州知事だったテキサス。それとカリフォルニアです。ヒラリーがテキサスとカリフォルニアの予備選挙で勝ったのは、ヒスパニックのおかげです。
英語では、「サイレント・マジョリティ」、声なき多数派という言葉があるのですが、今、ヒスパニックはアメリカの「サイレント・マイノリティ」だと 言えます。サイレントというのは、全国的な知名度のあるヒスパニックのリーダーがほとんどいないからです。一番知られているのは、ニューメキシコの知事、 ビル・リチャードソンです。オバマが大統領になれば、ビル・リチャードソンが国務長官になるかもしれません。彼はお母さんがメキシカンで、お父さんが白人です。
いわゆるシビルライト・ムーブメント(※編注:1950~60年代にかけてアメリカで起きた公民権運動)は黒人たちの運動であって、あのころあまだ ヒスパニックあまりいませんでした。公民権運動によってすばらしい黒人の指導者が生まれたわけです。マーティン・ルーサー・キングをはじめ、今ならジェシー・ジャクソンだとか、ニューヨークのアル・シャープトンとか。いろいろ面白くて知名度の高い黒人のリーダーがいますが、ヒスパニックにはリーダーがいないんです。ただ、影響力はますます強くなっています。2050年になったらアメリカ人の4人に1人がヒスパニックになるといわれています。これは、アメリカの社会の大きな変化です。
「アメリカ大統領選挙から、アメリカ社会を考える」 インデックス
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第1章 オバマは黒人に対するアメリカ社会の意識変化をもたらした
2008年05月21日 (水)
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第2章 複雑なアメリカ大統領選挙の仕組みを簡単に説明します
2008年05月22日 (木)
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第3章 オバマが躍進できたのは、複雑な選挙のおかげ
2008年05月26日 (月)
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第4章 民主主義国家らしくない党員集会
2008年05月27日 (火)
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第5章 日本の現職政治家が恐れる「インターネット革命」
2008年05月28日 (水)
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第6章 JFKの再来か?政治に無関心な人が振り向いた!
2008年05月30日 (金)
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第7章 ヒラリーが嫌われる理由。このままでは民主党が自滅する
2008年06月02日 (月)
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第8章 オバマとヒラリーの支持基盤は、こんなに違う
2008年06月03日 (火)
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第9章 ヒスパニックの増加は、日本の自動車メーカーにも影響を及ぼす
2008年06月04日 (水)
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第10章 黒人がオバマを支持しないのは、潜む差別と共和党への拒絶感
2008年06月05日 (木)
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第11章 オバマに可能性が出てきた!アメリカ社会の変化の兆し
2008年06月09日 (月)
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第12章 ヒラリーを強く支持しているのは、45歳以上の女性
2008年06月10日 (火)
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第13章 マケインには、21世紀の外交を任せられない
2008年06月12日 (木)
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第14章 テロが起きたら、マケインが勝つ
2008年06月16日 (月)
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第15章 政治家にとって一番大切なのは、経験ではなく希望
2008年06月18日 (水)
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第16章 官僚制度も悪くない!? 政治任命すると官邸機能が麻痺する
2008年06月23日 (月)
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第17章 オバマなら、中東やアフリカから評価される国にできる
2008年06月30日 (月)
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第18章 中国が目指しているのは「超大国」。「経済大国」ではない!
2008年07月07日 (月)
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第19章 拉致問題に固執する日本は、世界から孤立する
2008年07月09日 (水)
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