記事・レポート

折れない心をつくる

メガストレス時代のメンタルタフネス術:渡部卓
〜ケロッグ経営大学院 モーニング・セッションより

BIZセミナー経営戦略キャリア・人
更新日 : 2015年01月29日 (木)

第3章 折れやすい心 3つの傾向 (1)

渡部卓 (帝京平成大学 現代ライフ学部 教授 株式会社ライフ バランス マネジメント研究所 代表取締役 )

 
几帳面なメランコリー気質

渡部卓: うつになりやすい人は、元来気弱な性格で、物事をネガティブに捉えてしまう人。経営者や管理職のなかには、そう考えている人が多いと思います。しかし、私は「良い人」「元気な人」ほど、心が折れやすい傾向がある、という印象をもっています。特に、性格として次の3つの傾向がある人は注意が必要です。

1つ目は、メランコリー気質です。何事も几帳面に対応し、ルールやマニュアルを守ることが好き。物事をコツコツ進めることを苦にせず、責任感も強い。また、人間関係に気を配り、義理堅く、協調性も高い。メランコリー気質は、日本人など農耕民族に多いと言われており、特に官公庁や金融機関で働く人によく見られる傾向です。

アキレス腱となるのは、変化に弱いことです。企業や部署の合併、配置転換などにより、それまでの役割や継続性が失われる。最大の変化といえば、リストラや定年です。最近は早期定年制度を導入する企業も増えており、人事担当の方々は「40歳代から定年後を考えておいたほうがいい」と言っています。しかし、メランコリー気質の人は、30歳代から準備を始めても早すぎることはないでしょう。

さらに、ポジティブな変化にも弱い。たとえば、昇進を告げられても「自分はまだその器ではない」と必要以上にプレッシャーを感じ、ストレスを抱え込む。これを昇進うつと言います。結婚や育児でも同様です。何事も完璧にこなそうとするものの、融通が利かず、頑固な面もあるため、結果として多くのものを背負い込みすぎてしまうのです。


頑張りすぎる執着気質

渡部卓: 2つ目は、執着気質です。何をするにも自ら高いハードルを設定し、その達成に向けて人並み以上に頑張り、プロセスや結果にもこだわる。一度始めたことは、最後までやり遂げないと気が済まない。好戦的で負けず嫌い。せっかちで押しが強い。「こうあるべき」という思い込みが強く、物事に対して白黒ハッキリ、筋道を通す、明確なロジックを求め、そうでなければ居心地の悪さを感じてしまう。どのような仕事にも情熱を傾け、何かと頼りにされる熱血タイプとも言えますが、こうした人にもうつが多いと言われています。

成果主義の導入も、執着気質の人にはストレスの原因となります。懸命に働き、目標を達成できればいいのですが、努力が報われなかったとき、心が折れてしまうのです。上司としても、心のなかでは部下の頑張りを認めながらも、目に見える結果が出ていなければ、やはり表立った評価はしづらい。周囲から頑張りが認められないことも、心が折れる要因となります。そうしたなかで過労や睡眠不足が重なり、やがて身も心も燃え尽きてしまうのです。


該当講座

折れない心を作る

~経営戦略としてのメンタルタフネス経営~

折れない心を作る
渡部卓 (帝京平成大学 現代ライフ学部 教授 株式会社ライフ バランス マネジメント研究所 代表取締役  )

渡部 卓(㈱ライフバランスマネジメント研究所代表)
急激な変化、不確実性の拡大、グローバル化の進展など、厳しい経営環境において結果を出すことが期待されている現代のビジネスパーソンは、これまでにないプレッシャーの中で成果を出すことが求められています。ストレスに負けず、メンタルタフに生きるにはどうしたらいいのか?渡部氏がお話します。


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