記事・レポート
スティーブ・ジョブズを通して学ぶ「感性訴求」
~iPod mini仕掛人、前刀禎明はいかにして世の中を動かしたのか~
経営戦略ビジネススキルキャリア・人
更新日 : 2012年09月06日
(木)
第8章 五感を生かしたセルフ・イノベーション方法

前刀禎明: 創造力を生み出すのは、いろいろなことを「感じる力」です。世の中がどういう方向に進んで行くかをぴったり予測することはできませんが、「何となくこんな方向に進んでいるな」と感じることは皆さんもよくあると思います。この「何となく」というのが重要です。
一橋大学名誉教授の野中郁次郎先生は「創造とは一回性の中に普遍を見ること」と言っています。日常生活の中で何かを発見し、その発見の中に大きな可能性を見出す。冒頭にお話しした「問題解決力ではなくて、問題発見力」というのは、こういうことです。
最近私は「街中を歩きながらiPodを聞くな」と言っています。「iPodを普及させたお前が言うな」とよく言われるのですが(笑)、デジタルを否定しているのではなく、価値を生み出すには、アナログ思考、アナログ感覚が必要だと言っているのです。例えば森に行くと、いろいろな音が聞こえてきて、五感が刺激されます。でもiPodを聞いていたら、森の音は聞こえません。今は五感を使って感じたことからイマジネーションしていくことが重要になってきているので、皆さんには、五感を生かしたセルフ・イノベーションをおすすめめしたいと思います。
自分を変えようと思っても、なかなか変えられません。だから未体験ゾーンに突入して、自分を変えなければならない状況に自らを追い込んでいくことが必要です。先入観や固定観念から抜ける方法として、僕は「街中で三角を探す」というワークショップをおすすめしています。三角のものって、なかなかないんです。でも一所懸命探していると、意外なもの——例えば電柱とか——が見方を変えることで三角に見えてきます。直観力の向上のために、視点を変えてください。
それから、身近な変化を見逃さないこと、そして予測することも大切です。例えば近所に高層マンションができたら「おお、すごいのができたなあ。えーと、前は何があったんだっけ?」なんていうことがよくあると思いますが、それはいかに周りを見ていないかということです。ボーッと見ていたのではわかりませんが、工事しているときから毎日少しずつどこかが変わり、ちょっとずつ高くなっていったはずです。
これと同じように、新緑の季節の観葉植物も、新しい葉っぱが出てきてから気づくのではなく、もっと前の段階からちゃんと観て、その後どうなるかを予測して、しっかり見届けることです。物事の変化はそういうふうに起きるんです。
子どもの頃、雲を見て動物やアニメのキャラクターを連想しましたよね? みんな大人になるとやらなくなっちゃうんですけど、これは絶対やったほうがいいですよ。キツネでもピカチュウでも何でもいいので、何かに見えたら「ほかのものには見えないかな?」とやってみてください。とにかく、いろいろなことに好奇心を膨らませることが重要です。
一橋大学名誉教授の野中郁次郎先生は「創造とは一回性の中に普遍を見ること」と言っています。日常生活の中で何かを発見し、その発見の中に大きな可能性を見出す。冒頭にお話しした「問題解決力ではなくて、問題発見力」というのは、こういうことです。
最近私は「街中を歩きながらiPodを聞くな」と言っています。「iPodを普及させたお前が言うな」とよく言われるのですが(笑)、デジタルを否定しているのではなく、価値を生み出すには、アナログ思考、アナログ感覚が必要だと言っているのです。例えば森に行くと、いろいろな音が聞こえてきて、五感が刺激されます。でもiPodを聞いていたら、森の音は聞こえません。今は五感を使って感じたことからイマジネーションしていくことが重要になってきているので、皆さんには、五感を生かしたセルフ・イノベーションをおすすめめしたいと思います。
自分を変えようと思っても、なかなか変えられません。だから未体験ゾーンに突入して、自分を変えなければならない状況に自らを追い込んでいくことが必要です。先入観や固定観念から抜ける方法として、僕は「街中で三角を探す」というワークショップをおすすめしています。三角のものって、なかなかないんです。でも一所懸命探していると、意外なもの——例えば電柱とか——が見方を変えることで三角に見えてきます。直観力の向上のために、視点を変えてください。
それから、身近な変化を見逃さないこと、そして予測することも大切です。例えば近所に高層マンションができたら「おお、すごいのができたなあ。えーと、前は何があったんだっけ?」なんていうことがよくあると思いますが、それはいかに周りを見ていないかということです。ボーッと見ていたのではわかりませんが、工事しているときから毎日少しずつどこかが変わり、ちょっとずつ高くなっていったはずです。
これと同じように、新緑の季節の観葉植物も、新しい葉っぱが出てきてから気づくのではなく、もっと前の段階からちゃんと観て、その後どうなるかを予測して、しっかり見届けることです。物事の変化はそういうふうに起きるんです。
子どもの頃、雲を見て動物やアニメのキャラクターを連想しましたよね? みんな大人になるとやらなくなっちゃうんですけど、これは絶対やったほうがいいですよ。キツネでもピカチュウでも何でもいいので、何かに見えたら「ほかのものには見えないかな?」とやってみてください。とにかく、いろいろなことに好奇心を膨らませることが重要です。
関連書籍

『僕は、だれの真似もしない』
前刀禎明アスコム
スティーブ・ジョブズを通して学ぶ「感性訴求」 インデックス
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第1章 Think different.=自分らしくあれ
2012年08月24日 (金)
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第2章 未来予測はもう通用しない。これからは未来創造の時代
2012年08月27日 (月)
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第3章 アップル流マーケティングの極意は3ステップ
2012年08月28日 (火)
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第4章 感性訴求vs.機能訴求
2012年08月30日 (木)
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第5章 商品はもちろん、パッケージにもこだわる
2012年08月31日 (金)
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第6章 必要なのは100のラインナップより、史上最高の1つ
2012年09月03日 (月)
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第7章 ロジカルシンキングを超える「感性・アナログ思考」のすすめ
2012年09月04日 (火)
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第8章 五感を生かしたセルフ・イノベーション方法
2012年09月06日 (木)
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第9章 明日の自分には無限の可能性がある
2012年09月07日 (金)
該当講座
新たな価値を生むセルフ・イノベーション
~スティーブ・ジョブズ氏を通して学ぶ感性訴求~
前刀禎明 (株式会社リアルディア 代表取締役社長)
前刀禎明 (㈱リアルディア 代表取締役社長/ngi group㈱代表執行役会長 兼 取締役)
「企業が本質的な次元で価値を創り、人の心を動かす」にはどうしたらよいのか、そのために必要な「感性訴求」とは何か?Apple日本法人代表取締役として、ジョブズ氏と共に日本のAppleブランドを復活させたご経験を踏まえてお話し頂きます。
経営戦略 ビジネススキル キャリア・人

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