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スティーブ・ジョブズを通して学ぶ「感性訴求」

~iPod mini仕掛人、前刀禎明はいかにして世の中を動かしたのか~

経営戦略ビジネススキルキャリア・人
更新日 : 2012年08月27日 (月)

第2章 未来予測はもう通用しない。これからは未来創造の時代

前刀禎明(株式会社リアルディア代表取締役社長/モーションビート株式会社取締役会長)

前刀禎明: 新たな価値を生むには3つの力が必要です。それは「感じる力」と「創る力」と「動かす力」です。動かす力の話からすると、本質的な次元で人の心を動かすことが重要です。

例えば本田宗一郎さんは、まだ会社がすごく小さかったときに「いつかマン島TTレースで優勝する」と宣言しました。給料さえまともに払えていないときでしたので、社員は「何言っているんだ?」と最初は思ったそうですが、社長が熱く語っていくうちに「この人とならできるんじゃないか」と思うようになっていったのです。

スティーブ・ジョブズのキーノート・スピーチ(基調講演)は非常に伝える力が強いです。中でも、スタンフォード大学の卒業式でしたスピーチは有名ですね。「Stay hungry, stay foolish.」「人生は限られているから、他人の人生なんか生きている場合じゃない。自分の人生を生きろ」と言いました。これは非常にいい言葉だと思います。彼はCreatorであると同時にEmpathizerで、新しいものを創造し、世の中の共感を得ていったのです。

今求められているのは、このように新しいものを創り出し、共感を生むことができる人です。なぜかというと、21世紀は感性の時代であると同時に、世の中の不確実性が高くなっているからです。右肩上がりで成長していたときは、現在の延長線上に未来があるという考え方が通用しました。でも今は不測の時代ですから、どこに進むか読みづらい。

こういう状況のとき、個人や企業の対応で一番多いのは、変化についていけず、必死で後追いするパターンだと思います。これに対して、ちょっと進んでいる人や会社は柔軟に細かく変化していきます。これはこれでなかなかいいのですが、一番いいのは未来を引っ張っていくことです。未来予測ではなく、未来創造型に移行する。このとき重要になるのはロジカルな考え方ではなく、直観的に創造的な関連性を見つけ出す力、そしてバーンとブレークスルーする力です。

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前刀禎明 (株式会社リアルディア 代表取締役社長)

前刀禎明 (㈱リアルディア 代表取締役社長/ngi group㈱代表執行役会長 兼 取締役)
「企業が本質的な次元で価値を創り、人の心を動かす」にはどうしたらよいのか、そのために必要な「感性訴求」とは何か?Apple日本法人代表取締役として、ジョブズ氏と共に日本のAppleブランドを復活させたご経験を踏まえてお話し頂きます。


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