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スティーブ・ジョブズを通して学ぶ「感性訴求」

~iPod mini仕掛人、前刀禎明はいかにして世の中を動かしたのか~

経営戦略ビジネススキルキャリア・人
更新日 : 2012年09月03日 (月)

第6章 必要なのは100のラインナップより、史上最高の1つ

前刀禎明(株式会社リアルディア代表取締役社長/モーションビート株式会社取締役会長)

前刀禎明: 新製品を発表するとき、アップルは必ずスティーブ・ジョブズが「これは史上最高だ」と言って出していました。今の日本のメーカーは「This is the best(これが最高だ)」というものをつくっていません。テレビもスマートフォンも、ラインナップが多すぎです。

例えばスマートフォンは、ドコモとauとソフトバンクを合わせると、最新機種だけで100種以上、型落ちモデルまで含めると200、300種類は余裕であります。それに比べてアップルは、iPhone 4Sの白と黒の2モデルだけです。

ソニーの盛田昭夫さんはいつも「心の琴線に触れるものづくりをしましょう」「人を感動させるものをつくりましょう」と言っていました。ソニーには、ぜひこの原点に戻ってほしいと思います。ソニーの設立趣意書にある「他社ノ追随ヲ絶対許サザル境地ニ独自ナル製品化ヲ行フ」というのは、まさに今アップルがやっていることですが、ソニーこそ「アップルに一番大きな影響を与えた会社」なんです。盛田さんが亡くなられたとき、スティーブ・ジョブズはそのように追悼の言葉を述べています。

大事なのは、マーケティングでクリエイティビティをどう伝えるかではありません。伝えるまでもなく「これはいい!」とユーザーが一目見てわかる物をつくらなければいけないんです。それには、新たな価値創造が必要です。

つい先日、IKEAが UPPLEVAというブランドで、家具とテレビを一体化させた商品を発表しました。テレビ周りはスピーカーやHDDレコーダーなどのケーブルがごちゃごちゃするものですが、IKEAはそれを全部見えないように家具にすっきり収めたんです。技術ではなく創造力による組み合わせで、リビングを演出するという新しい価値基準をつくり出したのです。

これはつまり「欲しいものなんて、出してみなければわからない」と言って、新しいものをどんどん出すアップルと同じことをやっているわけです。かつてのソニーでも、Market EducationとCustomer Educationという言葉を使い、新しいマーケットをつくっていました。

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前刀禎明
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前刀禎明 (株式会社リアルディア 代表取締役社長)

前刀禎明 (㈱リアルディア 代表取締役社長/ngi group㈱代表執行役会長 兼 取締役)
「企業が本質的な次元で価値を創り、人の心を動かす」にはどうしたらよいのか、そのために必要な「感性訴求」とは何か?Apple日本法人代表取締役として、ジョブズ氏と共に日本のAppleブランドを復活させたご経験を踏まえてお話し頂きます。


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