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スティーブ・ジョブズを通して学ぶ「感性訴求」

~iPod mini仕掛人、前刀禎明はいかにして世の中を動かしたのか~

経営戦略ビジネススキルキャリア・人
更新日 : 2012年08月28日 (火)

第3章 アップル流マーケティングの極意は3ステップ

前刀禎明(株式会社リアルディア代表取締役社長/モーションビート株式会社取締役会長)

前刀禎明: 私がアップルに入ったのは2004年、声がかかったのは2003年でした。当時日本ではiPodは全く売れていないし、Mac用のアプリケーションソフトはどんどん減っていたのでMacも元気がなく、「日本から撤退するんじゃないか?」とさえ思われていました。そんな状況を見て、私はアップルブランドを絶対に復活させてやろうと思ったのです。

私が入ったとき、アップルジャパンの社員全員が「日本ではiPodは売れない」と言っていました。なぜかというと、当時日本ではMDが売れていて、MDをバッグに入れて、液晶ディスプレイ付きのリモコンで選曲して音楽を聞くスタイルが浸透していたからです。でも私は「そうじゃない! 我々は簡単なインターフェイスで、クルクルピッというやり方で音楽を聞く新しいライフスタイルをつくるんだ」と言って、社員の意識改革をしました。そうしてiPod miniを世に送り出したのです。

「デジタルミュージック革命へ、ようこそ」というiPod miniの発表を行い、MDに対抗するために「Goodbye MD」というメッセージCMをつくって攻勢をかけ、渋谷にはiPod miniの実物大のプラスチックカードを自由にはがして持って帰れるポスターを貼り出しました。これはあっという間になくなり、後に5つセットでオークションにかけられるほど注目を集めました。

ポイントは、カードの背面に5種類のURLが書いてあることです。「iPod.com/pink、/blue、/green、/sliver、/gold」という5つのサイトを用意し、それぞれのiPod miniのカラーに合うファッション・コーディネートを紹介しました。iPod miniをファッションアイテムとして位置づけようとしたのです。商品の機能や説明はごちゃごちゃ載せませんでした。バーニーズ・ニューヨークのウィンドウディスプレイにも、洋服とコーディネートしたものを用意して、とにかくファッションアイテムにするアプローチをどんどんやっていきました。

こうして世の中を新しく動かすMomentumをつくったんです。まず何かきっかけとなるMomentumをつくり、そしてDemandを新たにつくり出し、ものすごく強いDesireを生み出す。これがアップル流マーケティングです。

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前刀禎明 (株式会社リアルディア 代表取締役社長)

前刀禎明 (㈱リアルディア 代表取締役社長/ngi group㈱代表執行役会長 兼 取締役)
「企業が本質的な次元で価値を創り、人の心を動かす」にはどうしたらよいのか、そのために必要な「感性訴求」とは何か?Apple日本法人代表取締役として、ジョブズ氏と共に日本のAppleブランドを復活させたご経験を踏まえてお話し頂きます。


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