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時代が求める人間像~知の構造化と課題設定能力~

東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラムの挑戦

教養キャリア・人
更新日 : 2011年04月15日 (金)

第2章 課題の連関を読み解けば、解決策が見えてくる

小宮山宏氏

小宮山宏: サステナブル・ディベロップメントに対する課題は、EMPでは6つあると考えています。1つは「健康的で活力のある超高齢化社会の経営」です。高齢化社会は世界の課題です。日本は65歳以上の人口割合が21.5%ですが、イタリアは19.3%、スペインは16.7%、スイスは16.6%と、すでにヨーロッパは日本と同じ状況です(※国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集2009」参照)。

中国は15~64歳の生産年齢人口が、あと4年経ったら(2015年から)減り始めると言われています。今、中国が一所懸命やろうとしている高度成長が、日本では1970年に大体終わったのですが、日本はそれから25年間、労働年齢人口は増加しました。だから国の収支としては、のんびりしていられる状況だったんです。それが中国は、成長が終わる前に労働力が減ってしまうのですから大変です。「健康的で活力のある超高齢化社会の経営」というのは、そういう問題です。

時間がないので、ざっくり説明しますが、課題の2つ目は「資源・エネルギー活用の規律による環境保全」、3つ目は「日本の先進課題に対する解決能力の向上」——その1つがリーダーシップの養成です。4つ目は「経済・金融分野の貢献と影響力の制御」、5つ目は「多様な宗教・文化・政治を前提とする共通行動規律の確立」——例えばイスラムとどうつき合うのか、そのつき合い方がアメリカは正しいのか、などです。それから6つ目は「先端科学・技術の効用と新世界観の形成」です。

先端科学・技術はすごいんですよ。例えば高齢化でいうと、人間は栄養や運動などの肉体的な条件もあるけれど、ポジティブ・シンキングをして、新しい概念へのオープンネスとういう条件が整えば、いくつになっても知恵は増えるんです。イチローのような運動能力は20~30歳ぐらいでピークに達して落ちていくけれど、ほかの能力は全然違うんですよ。電話番号なんかを覚えるのは、40~50歳ぐらいが一番だそうですよ……って、これはちょっと実感がないけれど(笑)、でも、そういうデータが出ています。ボキャブラリーなんて、何歳から減りはじめると思いますか? これは平均すると亡くなる2年前だそうです。だから80歳ぐらいまでは増えていくんです。

こういうことがわかっているか、いないかで、高齢化社会をどうつくっていくかが全く違ってきます。だから最先端のサイエンス&テクノロジーを取り入れずに世の中の設計をするなんてあり得ないんですよ。ここが非常に重要なところで、だからリーダーって大変なんです。全部勉強なんかしていられませんからね。議論して正しいかどうかを見極める。これはセンスみたいなものもありますね。

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該当講座

時代が求める人間像

~知の構造化と課題設定能力~

時代が求める人間像
小宮山宏 (東京大学 前総長、総長顧問、EMP チェアマン 株式会社三菱総合研究所 理事長)
山田興一 (東京大学 総長室顧問 EMPコ・チェアマン)
横山禎徳 (東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(東大 EMP)企画・推進責任者 社会システムデザイン研究所ディレクター・社会システムデ ザイナー)

小宮山宏 (東京大学 前総長、総長顧問、EMPチェアマン 株式会社三菱総合研究所 理事長)
大きな変革期を向えた今、これまでの延長線上に解の得られない時代に求められるリーダー・人間像とは?東京大学前総長であり東大EMPチェアマン小宮山宏氏にお話頂きます。
後半は山田興一氏(東大総長室顧問)、横山禎徳氏(社会システムデザイナー・東大EMP企画推進責任者)による鼎談があります。


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