石倉洋子のグローバル・ゼミ

Major Issues on the Global Agenda

5人のゲスト講師とディスカッションする、5つのトピック

03 : 難民 ~ Protecting refugees and asylum seekers

ゲスト講師 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR) 守屋由紀

(c) Shinsuke Kamioka
※テーマや講師については、一部変更になる場合もございます。

  

日本は島国だという地理的要因もあり、他国に比べて難民受入数が少ないと言われています。国内の難民に関する問題が報道されることも多くなく、日本で普通に生活する人にとって難民問題は縁遠く、身近に感じられないのは当然のことかもしれません。

そんな認知度が低い日本において、難民問題について「一人でも多くの人に知ってもらいたい」と奔走しているのが、UNHCR駐日事務所で広報官を務める守屋由紀氏です。UNHCRは世界各地の難民の保護と支援をする国連の機関で、スイスに本部があります。

難民とは人種、信仰する宗教、国籍、政治的意見などが違うことで自分の国に守られることなく他国に逃れた人、或いは、紛争から逃れるために住んでいる家や町を出て安全に暮らせる場所を求めて国境を越えた人と定義されます。

1991年から2000年までの10年間、緒方貞子氏が日本人で、かつ、女性で初めて第8代国連難民高等弁務官としてご活躍されたことから、UNHCRの存在を初めて知った方も多いのではないでしょうか。最近では作家の森絵都氏が、UNHCRで働く主人公を描いた小説『風に舞い上がるビニールシート』で直木賞を受賞したことでUNHCRがクローズアップ。さらにユニクロと協力し、同社の全商品を対象に年に3回再利用のための衣料回収キャンペーンを行っていることも、注目を集めています。回収したユニクロ製品は難民キャンプに救援衣料として届けられているのです。

一緒に難民キャンプに衣料を届けに行った守屋氏は、「服一着が正に人間の尊厳に関わる支援である」、と現場だからこそ感じることを多く経験されてきています。一方で日本における難民認定申請者数と認定者数は、他国に比べて少ないとはいえ、近年増加傾向にあります。

法務省によると、2008年に日本に難民認定申請を行ったのは、前年に比べて783人増加し、過去最高の1,599人となりました。同年の難民認定者は57人で、前年比16人増加しています。申請者の主な国籍は、ミャンマー、トルコ、スリランカ・・・国境を越えて日本に来た彼らはその後どうしているのでしょうか? 国内にいる彼らの現状を知ってもらうことも、守屋氏の大切な仕事。守屋氏には、海外の現場や国内の難民の状況、UNHCRの仕事についてお話いただき、ゼミ生と難民支援のあり方について議論します。

Message from the guest speaker


(c) Shinsuke Kamioka
 
皆さんは、まず難民と聞いて何を思い浮かべますか? 骨と皮のようにやせ細ったアフリカの子どもたちでしょうか? または、自分たちでは何もできず、外からの助けをただ待ち望んでいる人たち?

どこか遠くの国で起きている戦争や紛争の結果、住むところを追われて難民となる人たち。日本に住んでいると自分の日常には関係ない、と考えがちだと思いますが、実は皆さんの近くにも難民問題は存在するのです。

世界各地には、迫害や紛争を逃れ、故郷を追われて避難生活を強いられている難民などが、4200万人以上もいて、アジアにも1700万人います。そして、この日本にもインドシナ難民をはじめ、1万人近い難民がいます。

緒方貞子氏が、私の職場であるUNHCRのトップを務めていた当時、世界を飛び回って難民支援に取り組んでいた姿は皆さんの記憶にも残っているかもしれません。

「石倉洋子のグローバル・アジェンダ・ゼミナール」に参加する皆さんとは、ニュースで見かけた紛争地を逃れてきた難民だけではなく、むしろニュースにならなくなってしまった難民問題にも焦点を当てて議論したいと思っています。

皆さんと共に世界の一員として、この問題の解決への糸口を探求するきっかけづくりができればと願います。

グローバル・アジェンダ・ゼミナール

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