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「政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年」

BIZセミナーその他
更新日 : 2008年07月03日 (木)

第2章 日本を勉強して45年。変化し続ける日本はおもしろい

ジェラルド・カーティスさん「政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年」出版記念セミナー

ジェラルド・カーティス: この本『政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年』を書いた理由は、非常に単純なことです。「どうしてあなたは日本の専門家になったのですか?」と、もう何回も聞かれたのですが、その返事が案外難しい。簡単に説明できないので、それを説明しようと思ったのが、理由の1つです。

また、その説明によって、日本の特徴、アメリカと日本の違い、日本のよさと問題点といったものを表すことができるのではないかと思ったのです。ですから、なぜいわゆる知日派、日本の専門家になったのか、その返事をこの本に書きました。

もう1つよく聞かれるのは、「45年も日本のことを勉強して退屈しないですか?」という質問です。なぜ退屈しないのかこの返事もこの本を書いた大きな理由です。

私が初めて日本に来たのは45年前です。日本とはもともとは何の縁もありませんでした。たまたま45年前にコロンビア大学の学生だったときに、ある先生に勧められて日本の勉強を始めたのです。学者になろうなどとは一度も思ったことがなかったのですが、学者になり、日本の専門家になって、あっという間に45年が経ちました。

45年間の日本を振り返ってみると、退屈するような暇や余裕はない。変化が激しいのです。特に私みたいに、アメリカと日本を行ったり来たりして、しばらく日本を離れてから戻ってくると、「ああ、また変わった」と感じます。アメリは40年前と比べてどういうふうに変わってきたか、アメリカで生まれて育った私には分かりにくい。もしかしたら日本人の方が分かることもあると思います。それと同じように、行ったり来たりしていると、その変化が非常に目立ちます。つまり「なぜ退屈しないのか」ということを書きたいと思ったのです。

また45年の間、たくさんの日本人にお世話になりました。その恩返しという意味もあって、日本のよさ、日本の強さ、日本の美しさについて、私なりの見方を書きたいと。45年前、日本のことを何一つ知らなかった私が45年間勉強をして、いろいろ体験・経験をして、今こういうふうに日本を見ているんだということを書きたいと思ったのです。

関連書籍

政治と秋刀魚—日本と暮らして四五年

カーティス,ジェラルド
日経BP社