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ハフィントンポストは日本で新たな言論コミュニティを形成できるか?

松浦編集長が語る、ネットメディアの課題と未来

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更新日 : 2014年03月17日 (月)

第6章 どのような意見を反映するのか?

写真左:田端信太郎(LINE株式会社 執行役員 広告事業グループ長)写真右:松浦茂樹(ザ・ハフィントン・ポスト日本版 編集長)
写真左:田端信太郎(LINE株式会社 執行役員 広告事業グループ長)写真右:松浦茂樹(ザ・ハフィントン・ポスト日本版 編集長)

 
ユーザーの視点、メディアの視点

田端信太郎: 私自身、2009年10月にBLOGOSを立ち上げる際、ハフポストを参考にしましたし、その後も注目し続けてきました。本日は友人としてエールを送る意味でも、あえて厳しい質問をさせていただきます。

さきほど、ハフポスト日本版の主たるターゲットは、団塊ジュニアだと言われていました。松浦さんご自身も、編集部の方々も、そして1975年生まれの私もその世代です。しかし、ひとくちに団塊ジュニアと言っても、中身は実に様々です。男性もいれば、女性もいる。都市圏在住の方、地方在住の方もいる。表現は悪いですが、低学歴の方、高学歴の方もいる。

松浦茂樹: 団塊ジュニアと言っても、あくまでも大きな的の中心でしかありません。団塊ジュニアという的の中身もまた広大です。そうしたなかで、どのあたりが主たるインフルエンサーになり得るのかと常に見定めながら、運営しています。

田端信太郎: 以前、アリアナ・ハフィントンさんご本人に直接お聴きしたときは否定されましたが、ハフポスト米国版は民主党支持、オバマ大統領支持であることは明らかです。別にそれは悪いことではないと思います。日本のメディアの場合、あの新聞は○○党寄り、別の新聞は××党寄りと、一般の方々は感じていますが、明言されてはいません。個人としても、支持政党については、多くの方が明言しません。
田端信太郎(LINE株式会社 執行役員 広告事業グループ長)

こうした話をした理由は、私が「メディアは民衆の代弁者だ」と言われていることに対して、疑問を感じているからです。民衆1人ひとりの声を分け隔てなく代弁することなど、絶対に無理です。それは幻想であり、むしろ偽善です。先ほど、松浦さんは「ユーザーのコメントを集約し、ハフポストとしての意見や方向性を打ち出す」と言われていました。日本のメディアとしては新しい試みだと思いますが、具体的には団塊ジュニアのどのような人の意見を代弁するのですか?

松浦茂樹: そもそも、誰もが何らかの課題・問題を抱えて生きていると思います。たとえば、少子化と言っても、雇用や給料、仕事と育児の両立など、様々な問題を内包しています。そうしたときに、ユーザーが抱えている「変えたい」という思いが最も集中している問題を見つけていくことが大切だと考えています。もちろん、小さな意見も大切にしつつですが。

ポイントは、ユーザーの視点で考えるのか、メディアの視点で考えるのかです。2012年末の衆議院選挙で、多くのメディアは「原発問題が最大の争点になる」としていましたが、実際のところ、争点となったのかは疑わしい。その事実に対して、ユーザーはどう感じていたのか。そのあたりまで深く考えた上で、記事を作り出していく必要があると思います。

確かに、反応の芳しくない記事もあります。その場合は、ユーザーとの意識のズレをきちんと認識し、次の記事に反映します。

田端信太郎: メディアとしてアジェンダ・セッティングをしても、ニーズがないことについては、それ以上ゴリ押ししても仕方がない。

松浦茂樹: まさしくそうです。現在も、試行錯誤しながら取り組んでいます。


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日本版ローンチから2ヶ月を経たからこそ見えてきた、現状、課題、今後の仕掛けなど松浦氏に伺います。また、ネットメディアのプロフェッショナルお二人ならではの視点で展開される対談を通じて、企業にとってのコミュニケーションツールとしての可能性や、ネットメディア全体の未来について考えます。


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