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伝統と現代の融和を求める旅

日本元気塾セミナー in 根津美術館
館長・根津公一×建築家・隈研吾×日本元気塾塾長・米倉誠一郎

日本元気塾建築・デザイン文化
更新日 : 2010年11月12日 (金)

第8章 築いた富を社会に還元する。きっかけはロックフェラー

内田和成氏

米倉誠一郎: それにしてもおじいさまは立派な方ですね。日本のものがどんどん海外に買い叩かれていく中で、守るために買い集めて、最後に開放しました。

根津公一: 今から100年ほど前ですが、初代が40代のとき、日本政府が商工会議所に所属する経営者を50人ぐらい集めてアメリカに派遣したのです。そのときのことを書き残したノートがあります。各地域でパーティがあって、学校、美術館、工場などを見て回ったそうですが、一行は大統領やトマス・エジソンに会っています。そして初代は石油王のジョン・D・ロックフェラーに会っているんです。

ノートには、「アメリカというのは偉い。どこの町に行ってもみんな自分の町の自慢をするけれど、地元のお金持ちは寄附をして学校や美術館をつくっている。本当に公共のために惜しみなくお金を使っている。ロックフェラーさんは多額の寄附をして美術館をつくっている。そのために美術品を集めている」とあるんです。

それを契機に、帰国後、もともと好きだったんでしょうけれども、自分の趣味以外のものもたくさん集めたのです。「将来、絶対に公共のために全部残す。自分のものにはしない」という思想でした。ですから初代は美術館だけではなく、私立の学校や図書館もつくっております。

米倉誠一郎: 日本にも本当に偉い人がいたんですね。僕は学会でロックフェラーの家に泊ったことがあるんですけど、何と地下にボーリング場があって「家族でボーリングするんだ」と思いましたけれど(笑)、今はロックフェラー財団が管理して開放しています。

ロックフェラー財団は世界中でいろいろな研究をしていまして、カーネギーは「富を持って死ぬことは不名誉である」と言って、図書館やカーネギーホール、デン・ハーグの平和宮など様々な施設をつくりました。民ができることは民がやり、そして民に返すという思想は我々日本人も学ばなければいけない。

僕は孫さんとかドンドン儲けていいと思うんです。日本の新聞は「孫正義」と書くだけで、行間に敵意があるじゃないですか。彼は新しいジャンルをつくったし、そのおかげでインターネット環境はずいぶんよくなりました。格差だ何だのと言ってそういう人の足を引っ張るのではなく、人が成功したら社会に還元するのをよしとする風土や税制をつくっていかないと。
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日本元気塾セミナー in 根津美術館
伝統と現代の融和を求める旅

~館長・根津公一×建築家・隈研吾VS米倉誠一郎 新創事業の全貌を語る~

日本元気塾セミナー in 根津美術館
伝統と現代の融和を求める旅
根津公一 (根津美術館 理事長兼館長)
隈研吾 (建築家)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

3年半に及ぶ休館を経て2009年10月に新創オープンした根津美術館に、日本元気塾塾長・米倉誠一郎氏と実際に訪れるフィールドワークセッション。 昭和16年(1941)、初代根津嘉一郎氏の遺志によって南青山に開館し、国宝7件、重要文化財87件、重要美術品96件を含む、約7千件の日本・東洋の古美術品によ....


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