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伝統と現代の融和を求める旅

日本元気塾セミナー in 根津美術館
館長・根津公一×建築家・隈研吾×日本元気塾塾長・米倉誠一郎

日本元気塾建築・デザイン文化
更新日 : 2010年11月02日 (火)

第1章 海外に買い叩かれていた日本の美術品を守った

3年半に及ぶ休館を経て、2009年10月に新創オープンした根津美術館。「美術品は人々と共に楽しむものであり、感動を分け合うものだ」という初代根津嘉一郎氏の遺志を受け継ぎ、改修に挑んだ館長の根津公一氏。その想いに建築家の隈研吾氏はどう応えたのか。伝統ある美術館の改修の舞台裏に、米倉誠一郎氏が迫ります。

スピーカー:
根津公一(根津美術館 理事長兼館長)
隈研吾(建築家)

モデレーター:
米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター長・教授)

内田和成氏

根津公一:  昨年(2009年)10月7日に新創オープンしました新・根津美術館の本館は、隈先生の設計です。地上2階・地下1階建で、延床面積がそれまでの約2倍、約4,000平米になりました。庭に出るところにはカフェもございまして、これも隈先生に設計していただきました。

簡単に概略を申し上げますと、根津美術館には絵画や書蹟、青銅器、茶道具、刀装具など約7,000点の日本及び東洋の古美術品がございます。内、国宝が7点、重要文化財が87点、重要美術品が93点と、非常に多くのすばらしいものを所蔵しており、国内の私立美術館としては屈指になります。

コレクションで一番有名なのは尾形光琳の国宝『燕子花図屏風』で、いつも5月の連休中に展示しております。ちょうどそのころ、お庭に咲くんです。屏風の絵のようにすばらしい見え方になります。新五千円札の裏には、この『燕子花図』が使われております。日銀に採用を知らされまして、お祝い金でもいただけるのかと思ったら、五千円札1枚だけしかいただけませんでした(笑)。

コレクションにはほかにも、円山応挙の『藤花図屏風』、紀元前13~12世紀の中国、殷時代につくられた青銅器『饕餮文方盉』(とうてつもんほうか)、『青井戸茶碗』銘 柴田などもございます。なぜ“柴田”とあるかというと、織田信長から柴田勝家が拝領したためです。それだけ価値があるものだということで、今伝わって銘が柴田になっております。

こうした古美術品を7,000点も集めたのは、初代、根津嘉一郎です。明治の終わりから大正・昭和に活躍した実業家で、東武鉄道の社長を務めたり、富国生命を創立するなどいたしました。

嘉一郎は、当時日本の美術品が海外に買い叩かれているのを見て、「何としてでも日本にとどめたい、とどめなければいけない」ということで一所懸命買ったと書き残しております。築いた富で社会に貢献しようと財産を公共に寄附し、美術品も秘蔵するのではなく美術館にしなさいと、私の父に言い残して亡くなったのです。それで今があるのです。ですからその想い、「美術品を大切にしなさい、残しなさい」という使命感を私も感じております。
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~館長・根津公一×建築家・隈研吾VS米倉誠一郎 新創事業の全貌を語る~

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伝統と現代の融和を求める旅
根津公一 (根津美術館 理事長兼館長)
隈研吾 (建築家)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

3年半に及ぶ休館を経て2009年10月に新創オープンした根津美術館に、日本元気塾塾長・米倉誠一郎氏と実際に訪れるフィールドワークセッション。 昭和16年(1941)、初代根津嘉一郎氏の遺志によって南青山に開館し、国宝7件、重要文化財87件、重要美術品96件を含む、約7千件の日本・東洋の古美術品によ....


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