セミナー・イベント

楠木建の「脱コモディティ化」の戦略~次元の見えない差別化戦略~
見えないものを見る力:強い組織とリーダーシップの本質を考える

日時

2007年03月22日 (木)  19:00~21:00
終了しています

内容

競争がますます激しさを増す中で、企業はコモディティ化の圧力にさらされています。このシリーズは、競争や差別化を「次元の見える」ものと「次元の見えないもの」に区別するという発想に基づいています。次元の見える競争から次元の見えない競争へと戦略思考を転換することが脱コモディティ化のカギになる。これがこのシリーズのメッセージです。価格、性能、品質といった「次元の見える価値」で先を争う競争戦略は限界を迎えつつあり、デザインやコンセプトといった「次元が見えない」価値創造へと競争の焦点はシフトしているという認識です。

PCメーカーにおいては、処理速度、本体やモニターの大きさ、RAMやHDDの容量、耐久性、多様な付加機能、サポートやアフターサービスなど様々な次元での差別化を追求してきました。しかし、こうした次元の見える競争が熾烈になる中で、顧客が充分に満足する水準に到達してしまえば、技術的に差別化しても無意味になり、差別化の次元は価格だけになってしまいます。つまり完全なコモディティ化に陥ってしまうわけです。

では、どうしたらコモディティ化から逃れることができるのか。それは、可視的な価値の次元に捕らわれず、次元の見える競争のルールそのものを破壊して考える必要があります。つまり、競争や差別化を次元の見えないものとして捉えなおすことが大切です。自動車産業でも、基本性能が充分な水準に達した今日、競争の焦点は、クルマを買ったら生活がどのように変わるかといったコンセプトとそれを体現したデザインに移りつつあります。「その製品やサービスは顧客にとって何なのか、何のためにあるのか」を見出し、顧客に見せる組織能力と構想力、いわば「コンセプト」を創造する力が脱コモディティ戦略におけるカギとなります。

本講座では、競争戦略の新しいフェーズである“脱コモディティ化の戦略”構造を解説するとともに、客観的なものさしでは捉えられないような顧客価値を見出し、それを形にして顧客に伝えていく能力とはいかなるものか考えます。

講師紹介

ゲストスピーカー
中竹竜二 (なかたけ・りゅうじ)
株式会社チームボックス 代表取締役
日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター

早稲田大学卒業、レスター大学大学院修了。三菱総合研究所を経て、早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任し、自律支援型の指導法で大学選手権二連覇を果たす。2010年、日本ラグビーフットボール協会 「コーチのコーチ」、指導者を指導する立場であるコーチングディレクターに就任。2012年より3期にわたりU20日本代表ヘッドコーチを経て、2016年には日本代表ヘッドコーチ代行も兼務。2014年、企業のリーダー育成トレーニングを行う株式会社チームボックス設立。2018年、コーチの学びの場を創出し促進するための団体、スポーツコーチングJapanを設立、代表理事を務める。 ほかに、一般社団法人日本ウィルチェアーラグビー連盟 副理事長 など。
著書に『新版リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは』( CCCメディアハウス)など多数。

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モデレーター
楠木建 (くすのき・けん)
一橋ビジネススクール教授

一橋ビジネススクール教授。専攻は競争戦略。企業が持続的な競争優位を構築する論理について研究している。大学院での講義科目はStrategy。一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。一橋大学商学部専任講師(1992)、同大学同学部助教授(1996)、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科助教授(2000)を経て、2010年から現職。1964年東京都目黒区生まれ。

著書として『絶対悲観主義』(2022、講談社)、『逆・タイムマシン経営論』(2020、日経BP、杉浦泰との共著)、『「仕事ができる」とはどういうことか?』(2019、宝島社、山口周との共著)、『室内生活:スローで過剰な読書論』(2019、晶文社)、『すべては「好き嫌い」から始まる:仕事を自由にする思考法』(2019、文藝春秋)、『「好き嫌い」と才能』(2016、東洋経済新報社)、『好きなようにしてください:たった一つの「仕事」の原則』(2016、ダイヤモンド社)、『「好き嫌い」と経営』(2014、東洋経済新報社)、『戦略読書日記』(2013、プレジデント社)、『経営センスの論理』(2013、新潮新書)、『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』(2010、東洋経済新報社)、Dynamics of Knowledge, Corporate Systems and Innovation (2010, Springer, 共著)、Management of Technology and Innovation in Japan (2006、Springer、共著)、Hitotsubashi on Knowledge Management (2004, Wiley、共著)、『ビジネス・アーキテクチャ』(2001、有斐閣、共著)、『知識とイノベーション』(2001、東洋経済新報社、共著)、Managing Industrial Knowledge (2001、Sage、共著)、Japanese Management in the Low Growth Era: Between External Shocks and Internal Evolution(1999、Spinger、共著)、Technology and Innovation in Japan: Policy and Management for the Twenty-First Century (1998、Routledge、共著)、Innovation in Japan (1997、Oxford University Press、共著)などがある。

「楠木建の頭の中」というオンライン・コミュニティで、そのときどきに考えたことや書評を毎日発信している。
  オンライン・コミュニティ「楠木建の頭の中」

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講座趣旨

今回は、早稲田大学ラグビー蹴球部監督の中竹竜二氏をお招きし、「見えないものを見る力」という切り口から強い組織とそのためのリーダーシップの本質について対談します。

陸上の100メートル走であれば、選手個人の「強さ」は「タイム」という可視的な次元で把握できます。しかし、ラグビーはもっとも複雑なスポーツのひとつです。最終的な勝敗はスコアとなって現れますが、指導者にとっては可視的な「ものさし」で選手やチームの強さを捕らえることは困難です。

最近では、経営における「見える化」の重要性が強調されています。「見える化」は確かにきまっている仕事をしっかりやる(オペレーション)ためには有効ですが、新しいものを生み出したり、変化をリードする(イノベーション)ためには、必ずしも有効でないばかりか、かえってイノベーションを阻害する危険があります。このセミナー・シリーズではこれまでも経営者が「見える化」を志向するあまり、それが「見えすぎ化」になってしまうことが、次元の見えない差別化の可能性を殺し、企業をコモディティ化に向かわせてしまうという論理(「可視性の罠」)を提示してきました。リーダーが安直に「見える化」への依存を強めることがかえって組織を脆弱にするという逆機能です。

かつては主将として早稲田大学ラグビー部を率い、現在は若き監督として指導者の立場にある中竹氏との対談を通じて、本来の意味でのリーダーシップや組織の強さが必要としている「見えないものを見る力」について考察します。


開催実績

佐山展生 (一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授、GCA株式会社代表取締役)
安田隆二 (一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)
石倉洋子 (一橋大学名誉教授)
楠木建 (一橋ビジネススクール教授)
開催日 :  2007/04/25 (水)

江幡哲也 (株式会社オールアバウト 代表取締役社長兼CEO)
楠木建 (一橋ビジネススクール教授)
開催日 :  2007/02/20 (火)

矢野貴久子 (株式会社カフェグローブ・ドット・コム代表取締役)
楠木建 (一橋ビジネススクール教授)
開催日 :  2007/01/30 (火)

大久保清彦 (株式会社インターナショナル・ラグジュアリー・メディア 取締役
オーシャンズ 兼 ローリングストーン日本版 発行人/編集長
セブンシーズ総研株式会社 取締役副社長)
楠木建 (一橋ビジネススクール教授)
開催日 :  2006/12/07 (木)

楠木建 (一橋ビジネススクール教授)
開催日 :  2006/11/30 (木)

募集要項

日時 2007年03月22日 (木)  19:00~21:00
受講料 29,800円
定員 50名

主催
  • アカデミーヒルズ
会場 アカデミーヒルズ49(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー49階)

※都合により40階に変更する場合、受講生には直接ご案内いたします。