楠木建の「脱コモディティ化」の戦略~次元の見えない差別化戦略~
見えないものを見る力:強い組織とリーダーシップの本質を考える
日時
内容
PCメーカーにおいては、処理速度、本体やモニターの大きさ、RAMやHDDの容量、耐久性、多様な付加機能、サポートやアフターサービスなど様々な次元での差別化を追求してきました。しかし、こうした次元の見える競争が熾烈になる中で、顧客が充分に満足する水準に到達してしまえば、技術的に差別化しても無意味になり、差別化の次元は価格だけになってしまいます。つまり完全なコモディティ化に陥ってしまうわけです。
では、どうしたらコモディティ化から逃れることができるのか。それは、可視的な価値の次元に捕らわれず、次元の見える競争のルールそのものを破壊して考える必要があります。つまり、競争や差別化を次元の見えないものとして捉えなおすことが大切です。自動車産業でも、基本性能が充分な水準に達した今日、競争の焦点は、クルマを買ったら生活がどのように変わるかといったコンセプトとそれを体現したデザインに移りつつあります。「その製品やサービスは顧客にとって何なのか、何のためにあるのか」を見出し、顧客に見せる組織能力と構想力、いわば「コンセプト」を創造する力が脱コモディティ戦略におけるカギとなります。
本講座では、競争戦略の新しいフェーズである“脱コモディティ化の戦略”構造を解説するとともに、客観的なものさしでは捉えられないような顧客価値を見出し、それを形にして顧客に伝えていく能力とはいかなるものか考えます。
講師紹介
講座趣旨
今回は、早稲田大学ラグビー蹴球部監督の中竹竜二氏をお招きし、「見えないものを見る力」という切り口から強い組織とそのためのリーダーシップの本質について対談します。
陸上の100メートル走であれば、選手個人の「強さ」は「タイム」という可視的な次元で把握できます。しかし、ラグビーはもっとも複雑なスポーツのひとつです。最終的な勝敗はスコアとなって現れますが、指導者にとっては可視的な「ものさし」で選手やチームの強さを捕らえることは困難です。
最近では、経営における「見える化」の重要性が強調されています。「見える化」は確かにきまっている仕事をしっかりやる(オペレーション)ためには有効ですが、新しいものを生み出したり、変化をリードする(イノベーション)ためには、必ずしも有効でないばかりか、かえってイノベーションを阻害する危険があります。このセミナー・シリーズではこれまでも経営者が「見える化」を志向するあまり、それが「見えすぎ化」になってしまうことが、次元の見えない差別化の可能性を殺し、企業をコモディティ化に向かわせてしまうという論理(「可視性の罠」)を提示してきました。リーダーが安直に「見える化」への依存を強めることがかえって組織を脆弱にするという逆機能です。
かつては主将として早稲田大学ラグビー部を率い、現在は若き監督として指導者の立場にある中竹氏との対談を通じて、本来の意味でのリーダーシップや組織の強さが必要としている「見えないものを見る力」について考察します。
開催実績
安田隆二 (一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)
石倉洋子 (一橋大学名誉教授)
楠木建 (一橋ビジネススクール教授)
開催日 : 2007/04/25 (水)
募集要項
日時 |
2007年03月22日
(木)
19:00~21:00 |
---|---|
受講料 |
29,800円 |
定員 | 50名 |
主催 |
|
会場 |
アカデミーヒルズ49(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー49階) ※都合により40階に変更する場合、受講生には直接ご案内いたします。 |
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