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「金融グローバリゼーション~国際金融センターを目指す東京のこれから~」

BIZセミナーその他
更新日 : 2008年07月14日 (月)

第10章 高度な能力を持つ金融人材の育成も急務

斉藤惇

斉藤惇: 金融人材と言う側面から見ても、わが国は大変に競争力が低いと言わざるを得ません。金融学術誌『ジャーナル・オブ・ファイナンス』に掲載されている論文著者の所属機関を見ると、アメリカが圧倒的にトップを占め62機関を数えます。次いでイギリスの10校が続き、アジアでは韓国の4校と香港の2校を数えます。残念ながら日本の大学からは1校も出ていません。日本の大学が金融あるいは金融工学という問題を学問的にまとめきっていない証拠です。

一方、日系の金融機関で働く金融人材は、外資系金融機関に数多く転職して実力を発揮している現状を見ると、単に大学における人材育成だけではなく、日系の金融機関のキャリアパスに問題があると考えられます。日本の金融機関は、外国では現地の人材を数多く雇用していますが、日本の本社で雇用している外国人の正式社員数は極めて少なく、役員に外国人を登用している例はごく少数でしょう。これは世界的に見て、異常な状態です。

事業会社は近年、グローバル展開に伴い複雑化するリスクへの対応など、新たな経営課題を抱えるようになってきました。また事業再編も含め、企業価値高度化に向けた適切なファイナンススキームとチームの高度化が必要になってきています。あるいはデリバティブなどの金融手法を活用したリスク管理手法や資産運用の高度化の必要性があります。

このようにニーズが多様化しているのにもかかわらず、これを満たす人材については、外資系金融機関が明らかに先行していることは否めません。日本の金融産業全体の競争力を高めるためには、わが国において高度な金融人材を育成することが急務です。高度な金融人材の育成のためには、キャリアパスの確立や社内における雇用、報酬体系の大幅な改革や海外とのネットワークを形成するなど、多様な人材のパイプ作りが必要です。


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