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「金融グローバリゼーション~国際金融センターを目指す東京のこれから~」

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更新日 : 2008年06月30日 (月)

第8章 東証をアジア新興企業のメイン市場に

斉藤惇

斉藤惇: 東証では、わが国の豊富な資金力と株式市場の流動性を最大限に活用し、アジアの新興企業にとってのメインマーケットとして、その地位を確立していく必要があると考えています。そのために、リスクテイク能力のあるプロ向け市場に、日本を含むアジアの新興企業を対象とした、自由度の高い新たな市場の枠組みを成立させる必要があると考えています。プロ市場を創ろうとしているわけですが、必ずしも個人投資家の市場参加を否定するものではありません。個人投資家は、機関投資家というプロを通して、間接的に市場に参加して投資成果を享受していただく、いわゆる市場型間接金融の考え方です。

世界の成長センターであるアジア各国には、リスクマネーを必要とする成長性の高い企業が多数存在しています。加えて、わが国においてもエクイティ・マーケットから資金調達を必要とする企業が数多く存在します。本来のエクイティ・マーケットの役割は、銀行など金融機関が容易に融資できない高いリスクのある事業や産業に対して、長期的に技術力や成長性を見越して投資することでしょう。

一方で、日本では株主の声も強くなってきており短期的なROEを求める流れが非常に強くなっています。経営者が研究開発投資をすることにおびえています。長期の技術に投資をすると売上げや利益が出ません。コストだけが先に発生します。そうした理由で、研究開発投資が大きく落ちています。その問題を解決するためにも、プロ向け市場という新興向けの市場が求められているのではないかと判断しています。

わが国の国民が今までに貯蓄した金融資産を活用し、アジアの発展に伴う投資機会を取り込むと同時に、金融資本市場の国際競争力を強化することは、日本経済の今後の成長に間違いなく寄与するでしょう。アジア各国の経済成長に貢献する意味でも日本のリスクマネーを新しい市場を通して供給したいと考えています。

その具体策として東証は現在、ロンドン証券取引所と合弁で、プロ向け市場を創設する準備を着々と進めています。東証としては、一般投資家を含むすべての投資家が参加するマザーズ市場が1つあります。それに加えて、高度な情報収集と分析能力を備えたプロ向けの新市場を新設することで、その2つの新興市場が相乗効果を生むでしょう。新市場が成功すれば、日本の機関投資家が横並びでリスクを取りに行かない状況も変わってくるでしょう。さらに新市場は後継者と新規事業者の育成という意味合いでも、我が国が直面している企業における少子高齢化の対応策にもなるのではないかと考えています。


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