記事・レポート

CATALYST BOOKS vol.3

理解を深める1冊

更新日 : 2021年11月09日 (火)
社会における様々な「つながり」を見直し、常識を再構築するカタリスト・トーク』。
ここでは、毎回トークの中でゲストの方々にご紹介いただいた「テーマの理解促進につながる1冊」を振返ります。

イベントに参加した方は「より深く知る」ために、イベントに参加していない方は「良質な書籍に出会う場」として、このページをご活用ください! <各イベント開催日の翌週に公開予定>

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 CATALYST BOOKS vol.1理解を深める1冊
 CATALYST BOOKS vol.2理解を深める1冊
 CATALYST BOOKS vol.3理解を深める1冊

成田憲保さんが紹介するカタリスト・ブックス
~常識を超えなければ、新たな発見は生まれない~

太陽系外の惑星を研究する天文学者の成田憲保さんが、トークで何度も触れたのが「常識から外れたところに新たな発見がある」ということです。
宇宙に太陽系みたいな惑星系が他にあるのか?この問いに天文学者は長きに渡って向き合い、研究してきたにも関わらず、比較的最近までその存在すら分かっていませんでした。
しかし、1995年にミシェル・マイヨール教授とディディエ・ケロー教授(2019年にこの発見でノーベル物理学賞を受賞)によって、太陽系外の惑星が実在することが初めて発見されます。この大発見は、既存の天文学者の常識とは違う視点で研究をしていたからこそ生まれたものでした。

『地球は特別な惑星か?地球外生命に迫る系外惑星の科学』(成田憲保著)は、2020年始めまでの太陽系外惑星発見の歴史から、研究の経緯、今後の展望がまとめられている書籍です。
それまで多くの天文学者は太陽系を宇宙の標準だと考え、太陽系外惑星を探すときも、太陽とその周りを回る惑星と同じ動きをする惑星を探していました。結局、太陽系の常識の延長線上で探していた人たちは誰も太陽系外の惑星を見つけられませんでした。
しかし、恒星を研究していたマイヨール教授とケロ—教授は、太陽系の公転周期とは全く異なる恒星の動きに着目したことで偉業を成し遂げることができました。
2021年10月時点で太陽系外惑星は4500個発見されています。1995年まで1つも見つけることができなかったのに、それから25年でこれだけ見つかったのです。太陽系の公転周期(地球の場合、365日)とは全く違う短周期(1日~数日)で、かつ、不思議な軸で公転するものが多数あるといいます。私たちが、いかに既存の常識に囚われて新たな発見ができないか、ということを示しているでしょう。

宇宙に生命の兆候を探すアストロバイオロジーについて書かれている第9章に、完全に異分野である生物系の研究者たちとの共同研究について触れられています。
宇宙に生命がいる惑星があるかを調べるとき、それはどういう生物で、どういう痕跡を残し、その痕跡は生物がいなくてもできるものなのかなど、天文学の知識だけでは答えが出せない問題が多いため、人工光合成の研究者ら共同研究しているそうです。
異分野の研究者は、常識が全く異なり、話す言葉も違いますが、だからこそ、それぞれの常識から外れたところに新しい発見を見出す可能性があるのです。



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地球は特別な惑星か? 地球外生命に迫る系外惑星の科学

成田憲保
講談社