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世界初! 人工クモ糸繊維の量産基盤技術確立までの物語

スパイバー・関山和秀:「QMONOS」開発秘話と、クモの糸で変わる未来

日本元気塾経営戦略キャリア・人
更新日 : 2013年12月05日 (木)

第6章 “合成クモ糸繊維”で、世界初のサプライヤーに

関山和秀(スパイバー株式会社 代表取締役社長)

 
青いドレスが象徴するもの

関山和秀:  会社を設立して1年後の2008年10月、2cmほどの繊維ができました。それ以前、顕微鏡レベルの繊維を見て「これはゴミだ」と言っていた先生方も、本当に繊維ができるのかもしれないと、少しだけ信じはじめたようです。

2009年10月には、髪の毛の束ほどの量を作れるようになりました。この前後から投資家の方々も興味を示してくれるようになり、国や自治体の研究助成金も受けられるようになりました。2009年8月には、ベンチャーキャピタルの株式会社ジャフコから2.5億円を出資していただき、同年は総額3億円を調達することができました。そうした資金を活用し、さらに研究を進めていきました。

2011年に入ると、繊維の質が均一になりました。生産効率も大幅に向上したことで、繊維を作るフェーズから、いかに物性を向上させていくのか、質の高い繊維を高速に作り出せるか、といったフェーズに移行しました。2012年には、タンパク質に色素を結合させてカラーリングした繊維を作り、ブラックライトで光る蛍光繊維も開発しました。そして2013年5月24日、ここ六本木アカデミーヒルズで、合成クモ糸繊維で作った青いドレスを発表したのです。

タンパク質由来の素材は、産業的には未開拓の分野でした。ポテンシャルは非常に高いものの、素材のサプライヤーがいなかったため、試作・検証が行えなかったからです。私たちはそれを可能としました。青いドレスは、その象徴なのです。

山形・庄内地域から始まるオープン・イノベーション

関山和秀:  現在は人工合成したフィブロインタンパク質由来の新素材「QMONOS(クモノス)」から、繊維のほか、フィルム、スポンジ、ゲル、パウダー、ナノファイバーなど、様々な形態での供給が可能となっています。当面の目標は、2015年までにグローバルなサンプル供給を開始すること。その後はオープン・イノベーションを加速させながら、製品開発に向けた試作・検証を進めていこうと考えています。第一段階として、トヨタ自動車の協力会社である小島プレス工業株式会社さまとパートナーシップ契約を結び、プロジェクトを進めています。

2013年11月には、私たちが拠点を置く鶴岡市先端研究産業支援センター内に新プラント(試作研究棟)が完成します。今年度はパイロットラインを作り、月産100kgのサンプルの製造、2015年には月産1トンの製造を目標としています。なお、新プラントの建設は、経済産業省や独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援事業として採択され、総額7.5億円のプロジェクトとなっています。

山形県鶴岡市を中心とした庄内地域を、タンパク質ベースの素材開発における一大拠点とするべく、計画を進めています。


該当講座

奇跡の新素材「クモの糸」を語る 

~無限の組合せがものづくりの概念を変える~

奇跡の新素材「クモの糸」を語る 
関山和秀 (Spiber株式会社 取締役兼代表執行役)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

関山和秀(スパイバー㈱代表取締役社長)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター教授)
脱石油の超高性能バイオ素材として注目される「クモの糸」。米軍も開発に取り組むも、断念したと言われる、夢の繊維の量産化技術の開発に、世界で初めて成功した、スパイバー株式会社の関山和秀氏をゲストに迎えます。この分野の市場規模は、数千億円~1兆円と推測されます。今、世界をリードする「スパイバー」の最新の開発状況、今後の展開を伺います。


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