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世界初! 人工クモ糸繊維の量産基盤技術確立までの物語

スパイバー・関山和秀:「QMONOS」開発秘話と、クモの糸で変わる未来

日本元気塾経営戦略キャリア・人
更新日 : 2013年11月26日 (火)

第1章 従来にないタフさと伸縮性を併せ持つ次世代型の新素材

鋼鉄よりも高い強度と、ナイロンのような高い伸度を兼ね備える「クモの糸」。タンパク質を原料とする脱石油の新素材として注目され、世界中の研究者が人工的に量産できないかと開発に挑みましたが、実用化には至ってはきませんでした。この難題に挑戦し、世界で初めて人工合成クモ糸量産化技術の開発に成功したのが、山形県のベンチャー企業スパイバーです。関山和秀社長は、無限の組み合わせをもつタンパク質が、地球規模の問題を解決するカギになると語ります。極秘に進められてきたという、人工合成クモ糸プロジェクトの全貌をご覧ください。

スピーカー:関山和秀(スパイバー株式会社 代表取締役社長)
モデレーター:米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター教授) 

関山和秀(スパイバー株式会社 代表取締役社長)
関山和秀(スパイバー株式会社 代表取締役社長)

 
「QMONOS」に込めた思い

米倉誠一郎:  21世紀に入り、ものづくりのトレンドは、石油などに依存した大量生産・大量消費型から、必要な量を持続可能な方法で作り出す方向へとシフトしています。その代表が、自然の生物がもつ優れた機能を模倣し、人間の生活に役立つ技術を生み出すバイオミミクリー(バイオミメティクス)です。今回、スパイバーが量産化に成功したクモ糸と同じ特性をもつ新素材「QMONOS(クモノス)」は、この分野において世界の最先端をいくものであり、本日のお話は、私たち日本人にとって大きな勇気をもらえるものだと思います。

関山和秀:  私たちスパイバーが開発した新素材「QMONOS」についてお話ししていきます。研究内容については、これまで対外的な発表は一切行っておりませんでした。海外には同様の研究を行う競合グループが多数存在するため、水面下で研究を進めていたからです。去る2013年5月24日、初めての公式発表をアカデミーヒルズで行いました。

「QMONOS」というネーミングには様々な意味を込めています。もちろん、「クモの巣」がベースとなっていますが、海外の方にもしっくりくる音の響きであるのと同時に、将来は世界で幅広く使われる素材となってほしいという思いを込めています。また、アルファベットのQにはミステリアスなイメージがあり、「これからどういうものができていくのだろう?」といった問いかけにも通じます。

“夢の繊維”たる理由

関山和秀:  一般的に繊維素材は、強いものは伸びにくく、よく伸びるものは切れやすいという特性をもちます。非常に強度の高い繊維としては、航空機や自動車に使われている炭素繊維、防弾チョッキに使われているアラミド繊維があります。こうした材料は、高い強度をもつ反面、ほとんど伸びません。いっぽう、ナイロンなどの材料は、非常によく伸びますが、強度は低い。しかし、天然のクモ糸は、炭素繊維の15倍とも言われる強度と、ナイロンを上回る伸縮性を兼ね備えています。

タフネス(材料が破壊されるまでに吸収できるエネルギー量)で見ていくと、天然のクモ糸は従来の化学繊維とは桁違いの高い値を示します。破壊されるまでに、ものすごい量のエネルギーが必要になるのです。しかも、鋼鉄や炭素繊維よりも軽く、耐熱性も高い。このような特性を併せ持つことから“夢の繊維”として注目され、世界中で実用化に向けた研究が行われてきました。

人間はこれまで、石油など枯渇資源に依存したものづくりを通して、経済発展と生活の豊かさを享受してきました。しかし、私たちが開発した「QMONOS」は、石油などの枯渇資源を原料とせず、低エネルギーで生産することができます。サステイナブルな次世代型の新素材であり、従来のものづくりの概念を一変させる可能性を秘めているのです。


該当講座

奇跡の新素材「クモの糸」を語る 

~無限の組合せがものづくりの概念を変える~

奇跡の新素材「クモの糸」を語る 
関山和秀 (Spiber株式会社 取締役兼代表執行役)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

関山和秀(スパイバー㈱代表取締役社長)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター教授)
脱石油の超高性能バイオ素材として注目される「クモの糸」。米軍も開発に取り組むも、断念したと言われる、夢の繊維の量産化技術の開発に、世界で初めて成功した、スパイバー株式会社の関山和秀氏をゲストに迎えます。この分野の市場規模は、数千億円~1兆円と推測されます。今、世界をリードする「スパイバー」の最新の開発状況、今後の展開を伺います。


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