記事・レポート

鶴田真由 X 高木由利子『記憶の底に眠るもの』

存在の表現を通して、文化を発信する

更新日 : 2013年09月27日 (金)

第6章 大自然と生きる女性

鶴田真由(女優)

 
染織家・石垣昭子

鶴田真由: 『記憶の底に眠るもの』第2回では、染織家の石垣昭子(※編注1)さんをご紹介しています。志村ふくみさんの弟子にあたる方で、沖縄の西表島を拠点に活動されています。はじめに、石垣昭子さんの映像をご覧いただきたいと思います。

(第1回/http://www.chie-project.jp/memories/story4_movie.html


(第2回/http://www.chie-project.jp/memories/story5_movie.html


(第3回/http://www.chie-project.jp/memories/story6_movie.html


志村さんと石垣さんはタイプがまったく異なり、違う視点からのお話が聞けるのではと考えました。志村さんは、哲学や歴史、絵画にも造詣が深い方です。ゲーテの『色彩論』を読み、染織に通じる部分を見いだされています。石垣さんは、西表島の隣にある竹富島の出身。幼い頃から沖縄特有のアニミズムの中で育ってきた方です。人を含む自然のすべてを皮膚感覚で理解しているような、独特の雰囲気を持っていました。由利子さんは、どのようなことを感じられましたか?

高木由利子: ひと言で表すのなら、ワイルド&エレガント。たとえば、布作りの最後の工程となる「海さらし」。染め上げた布を海にさらして不純物を洗い流すために、石垣さんは腰まで海に浸かりながら、ザブザブと布をさらしていました。大自然の中に溶け込み、全身を使いながら、ものを作る。静かで繊細な雰囲気を持つ志村さんとは別の意味で、カッコ良さと美しさを感じました。

鶴田真由: 石垣さんは、海を「産み」と捉えています。子どもは、母親のお腹の羊水という海から生まれてくる。布も同じで、最後は海という母胎から生まれてくる。そう表現されていたのが、とても印象的でした。

また、布をお借りしたときも、「どのように使っていただいても構いません」と言っていただき、しかも、石垣さんのお祖母さまや曾お祖母さまの形見の貴重な布まで手渡してくださいました。こちらが恐縮してしまいました。

今回のプログラムでは、本当に人に恵まれていたと思います。映像のバックに流れている音楽も、素晴らしかった。

高木由利子: 音楽を手がけているのは、八木美知依(※編注2)さんです。私がいま一番好きな箏の演奏家です。

鶴田真由: 由利子さんの美しい写真と、八木さんの奏でる独創的で繊細な箏の音が合わさると、とても心地が良い。つま弾かれる箏の音色が、写真や映像に新しい意味を持たせていくような感覚を覚えました。ほかの方の演奏も映像に当ててみましたが、なぜかしっくり来なかった。今回の映像とは切っても切り離せないほど、素晴らしい音楽でした。

(※編注1)
石垣昭子
染織家。染織工房「紅露(くうる)工房」主宰。女子美術短期大学卒業後、志村ふくみ氏に師事。沖縄の伝統的な草木染を現代に復活させ、国内外の展示会等で高い評価を受けている。

(※編注2)
八木美知依
古典的な演奏に限らず、ジャズ、ロック、ポップスなどの分野でも幅広く活動する箏奏者。国外内の様々なジャンルのアーティストとの共演も多い。

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