記事・レポート

鶴田真由 X 高木由利子『記憶の底に眠るもの』

存在の表現を通して、文化を発信する

更新日 : 2013年09月20日 (金)

第3章 着物の中に潜む「存在」を写し取る

写真左:鶴田真由(女優)写真右:高木由利子(写真家)

 
「風神」が現れた

鶴田真由: 続いて、染織家・志村ふくみさんの第3回の映像をご覧ください。
(第3回/http://www.chie-project.jp/memories/story3_movie.html

志村ふくみ3 色に秘そむ from chie.project on Vimeo.



志村さんは自身のお着物に作品名(タイトル)をつけておられ、映像では「花がたみ」「奥琵琶」「風神」という作品を紹介しています。特に「風神」は、衣桁にかけてあるときは、風神の存在はあまり感じられませんでしたが、できあがった写真を見ると、荒々しく空を舞う風神の姿が感じられます。シャッタースピードを遅くし、残像をつけて動きを表現したことで、目に見えない存在が現れたのかもしれません。紬織(つむぎおり)なので撮影が難しいと、由利子さんもはじめに悩まれていました。

高木由利子: 志村さんご自身も「紬織は写真にすると、少し“ぼってり”してしまう」と言われていたため、本当に悩みました。目で見えるものを写すのではなく、それぞれの作品の中に潜む存在を、何かの形として写し出せればいい、と思いながら撮りました。

真由さんがお着物をまとったときに感じたことを、ダンサーのように動きとして表現してくれたので、美しい写真になりました。あのときは、真由さんにこうした一面があるのかと驚きました。志村さんのお着物をまとい、お寺の静寂な雰囲気の中で撮影したことで、新しい一面が引き出されたのでしょう。

表現者に共通する「美しい芯」とは?

鶴田真由: 志村ふくみさんは、植物に直接触れるお仕事を通して、自然や宇宙の摂理のようなものを見つめています。たとえば、「風神」についてお聞きした際、「固定された完璧な縞や絣には、人間の感情の入る余地はない。それが崩れたとき、初めていろいろな想念がわいてくる」と語っていたことが、とても印象に残っています。

志村さんのほかにも、私が心から素敵だと思う方々からは、紡ぎ出される言葉や美しい作品の根底に、共通する世界観や宇宙観が感じられます。単純に、表現する方法やアウトプットされるものが異なるだけといいますか。そうした意味で、表現とはどのようなものだと思いますか?

高木由利子: 『記憶の底に眠るもの』では、ひとつの仕事に人生を懸ける方々を取材しています。作品を通して自らの思いを表現するだけでなく、どの方も、生き様や存在自体がひとつの表現となっていました。ファインダー越しに見ると、スーッと1本の美しい芯が通っている印象を受ける。素敵な表現者の方々は、自然にそうした雰囲気が現れます。

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