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宮城県の村井嘉浩知事と、竹中平蔵ほか4人の専門家が本音で語る

『日本大災害の教訓』出版記念シンポジウム

東京政治・経済・国際
更新日 : 2012年06月07日 (木)

第3章 危機一髪。東日本の原発が全て大破する可能性があった

吉岡斉
吉岡斉(九州大学教授/副学長)

吉岡斉: 私は九州大学の人間で、専門は科学技術史です。『日本大災害の教訓』では「福島原発事故をなぜ防げなかったか」というタイトルで章を1つ書きました。また、政府の東電福島原発事故調査・検証委員会の委員もしており、2011年12月26日に「中間報告」を出しました。これは事故調のウェブサイトからダウンロードできます。http://icanps.go.jp/(※現在左記のサイトはありません)

私は事故調を代表しているわけではないので“個人的な意見”としてお話させていただきますが、今回、私が一番伝えたいことは「最悪シナリオは幸運にも回避された。もっともっとひどい事故になることも十分にあり得た」ということです。

「最悪シナリオ」というのは、同時多発的な格納容器の大破です。1~4号機のいずれかが大破していたら、全く人が近づけなくなり、他の原子炉の冷却作業もできなくなり、福島第一原発の全6基が次々と大破した可能性があるのです。すると(隣の)福島第二原発も冷却作業が不可能になり、同様に大破したかもしれないのです。

実際には1、3、4号機の建屋が水素爆発し、2号機は格納容器が損傷したと考えられますが、大穴ではなく小穴で済んでいます。“済んだ”と言うと不謹慎かもしれませんが、これは非常に幸運だったと言わざるを得ません。

福島だけでなく、ほかの地域の原発も危ない状況でした。例えば東北電力女川原発の原子炉建屋は標高14.8mの位置にありましたが、津波に洗われるまであと1m弱しか余裕がありませんでした。外部電源で生きていたのは5系統中1系統だけですので、何かの拍子にあと1m高い津波が来ていたら、福島第一と同じようになっていた可能性があります。最悪の場合、東日本一帯の原発が全滅ということもあり得ました。我々は「危機一髪、首の皮1枚」だったのです。

もし悪いほうに転んだら、関東地方にも居住不能な広大な地域が発生して、日本経済が崩壊し、日本発の世界大恐慌になる——そんな恐れを私は3月中旬には感じていました。本当に生きた心地がしなかったというのが、私の正直な気持ちです。原発がいかに特殊なものか、ひとたび何かが起こればいかに大変なことになるのか、今回の事態をリアリティとして受け止めて、これから原発をどうするか考えていかなければいけないと思います。

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関連書籍

『日本大災害の教訓—複合危機とリスク管理』

竹中平蔵, 船橋洋一【編著】
東洋経済新報社


該当講座

『日本大災害の教訓~複合危機とリスク管理~』
竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/東洋大学教授/慶應義塾大学名誉教授)
船橋洋一 (一般財団法人日本再建イニシアティブ理事長 慶應義塾大学特別招聘教授)
市川宏雄 (明治大学専門職大学院長 公共政策大学院ガバナンス研究科長・教授 )
西川智 (国土交通省 土地・建設産業局 土地市場課長 / 工学博士)
吉岡斉 (九州大学 教授 / 副学長)
村井嘉浩 (宮城県知事)

竹中平蔵(慶應義塾大学教授)船橋洋一(一般財団法人日本再建イニシアティブ理事長)、市川宏雄(明治大学専門職大学院長)、西川智(国土交通省土地・建設産業局土地市場課長)、吉岡斉(九州大学教授)、村井嘉浩(宮城県知事)東日本大震災の被害詳細、原因、教訓を世界の人々と共有し、後世へ伝えることを目的に、各分野の専門家が執筆した『日本大災害の教訓』出版シンポジウム。


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