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東日本大震災復興チャリティーセミナー

新しいニッポンを創るために!

アカデミーヒルズセミナー政治・経済・国際文化教養
更新日 : 2011年06月10日 (金)

第6章 ここで中国にとられる程度のモノなら、事業から手を引くこと

竹中平蔵氏

米倉誠一郎: 日本の部品は非常に大事なところを随分押さえていたのですが、問題はそれほど儲かっていなかったということです。物をつくる力はあったのですが、それを「絶対に俺たち抜きにはできない」という域に高めるビジネス力は足りなかったんです。

今回、選択と集中のいい機会です。これで他にとられるぐらいなら、やめたほうがいい。「韓国や中国にとられるぐらいの物ならやめよう」という決心がつかずにつくり続けていたから、価格競争に巻き込まれて忙しいだけで儲からない構造になっていたんです。ここで絶対に人がまねできないよう、とられないよう徹底的に強くする。そういう取捨選択をしないといけないと思います。

それから、復興でスマートシティ、スマートグリッドを実現するために最先端のイノベーションを集めるわけですが、日本企業にこだわる必要はありません。むしろ海外企業を入れたほうがビジネス的によくなります。「原発からエアコンまでつくっている企業なんて日本だけ、世界にない。だから日本企業に優位性がある」と思いがちです。実は僕も一瞬そう思ったんですけれど、スマートシティ、スマートグリッドはソフトウェアの話だから、IBMなど強い海外企業がいくらでもあるわけです。それに日本企業だけでやると「これは復興だから」と、たたいて安くしてしまいます。そうではなく、お互いに自分たちにしかできないものを持ち寄るというシステムで日本を徹底的に強くすべきです。

道州制については、僕は九州をまとめてTPPに参加させるとおもしろいと思います。九州には自動車工場も半導体工場もありますし、生産や出荷量が全国1位の野菜もいっぱいあります。工業も農業も盛んな地域ですから、誰かが腹をくくらなければコンセンサスなんて絶対とれません。だからまずは九州で、例えば3年間の限定措置でTPPに参加してみて、日本の農業は弱いのか強いのかやってみればいいんです。僕は絶対強いと思いますけどね。それで収支が合ったところで大きく踏み出す。日本を霞が関に牛耳らせないで分権化して、スマートシティもTPPも、新しい実験をいろいろな所でやってみることです。

法人税の引き下げ断念については、僕は「経団連もなかなかいいじゃないか」と思っていました(笑)。ただし、そもそも僕は「国際競争力のために5%下げるなら、国内市場しか相手にしていない企業の法人税は下げなくていいじゃないか。そのかわり工場を海外に移転しようとしている企業にはドンと減税して国内にとどまってもらう。そういう選択と集中をやらなければいけない」と思っていました。復興税についてもすっかり原理原則を忘れて「しょうがないよな3%ぐらい。みんなで頑張ろう」と……。竹中先生に「リテラリーが問われている」と言われて、ちょっとまずいなと思いました(笑)。

今、感情論と原理原則が入り乱れているんですよ。小泉内閣のときは竹中平蔵というプロがいましたが、今の内閣や東電にはプロがいません。だから素人はついついだまされてしまいます。

竹中平蔵: プロが誰で、誰の話を信用していいのかわからない。その典型が原発問題です。私たち一人ひとりがもっと注意して、賢い国民にならないといけません。7割の人が復興税に賛成していますが、これがもし本当に実行されたら恒久化してしまいますよ。3年限定と言っていたのが恒久化して、結局全部国民にツケが回ってくるのです。だから私たちが賢くならなければいけない、それに尽きると思います。

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該当講座

アカデミーヒルズセミナー 東日本大震災復興チャリティー
竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/東洋大学教授/慶應義塾大学名誉教授)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

竹中平蔵(アカデミーヒルズ理事長/慶應義塾大学)米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学)
アカデミーヒルズセミナー東日本大震災復興チャリティー「新しいニッポンを創るために」では、この度の震災から日本が復興し、進むべき方向、そして新しい日本を創るためには、我々は何をしなければならないのか、について考えます。またセミナーの収益は被災地復興のために寄付する予定です。


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