記事・レポート

東日本大震災復興チャリティーセミナー

新しいニッポンを創るために!

アカデミーヒルズセミナー政治・経済・国際文化教養
更新日 : 2011年06月03日 (金)

第2章 原理原則に反する「復興税」には反対です

竹中平蔵氏

竹中平蔵: 皆さんは復興税に賛成ですか、反対ですか? いろいろな考え方があってしかるべきだと思いますが、私は「復興税は絶対に創設すべきではない」と申し上げたいのです。今、思いきった政策をやらなければなりません。しかし思いきった政策をやるということと、原理原則に反した政策をやっていいということは全く違います。原理原則に則った政策を思いきってやればいいのです。経済が打撃を受けているときに増税するという話がどこにあるでしょうか。

そもそも原理原則で言うならば、今回恐らく10兆円ほどの財政出動が必要になると思いますが、これは一時的な支出です。これから毎年恒常的に10兆円の支出が増えるのであれば税で調達するのが原則ですが、一時的な支出なら一時的な調達でいいのです。それなら国債を発行する方法もあるし、埋蔵金を使えばいいという話もあります。

さらに言えば「10兆円で大変だ、大変だ」と政府も報道も騒いでいますが、これは政策のリアリティが全くありません。この国は毎年約5.6兆円という子ども手当をやろうとしている国なんです。敢えて“無駄”と言いますが、毎年5.6兆円という無駄をやろうとしている国が、なぜ1回きりの10兆円を出せないのでしょうか?

復興税に賛成する気持ち、「大変だから私たちもお金を出そう」という気持ちはわかります。しかし不況のときにそんなことをしたら、ますます経済が悪くなって東北を支える力が弱くなってしまいます。「よかれと思ってやったことが正しいとは限らない」ということを認識しなければなりません。今、私たちには冷静さが求められていると思います。

1923年の関東大震災の後、後藤新平が復興院の総裁になりました。彼は数年後に復興史という本を出し、これを英訳して世界に発信しました。その前書きに、こんなふうに書いています——私たちの復興経験の成功と失敗を皆さんの参考にしてください。私たちの経験を知っていただくことこそが、日本を助けてくれた世界の人々に対する私たちの恩返しです。

今回、世界中の人たちが手を差し伸べてくれています。それに報いるためには、私たちができることとできないこと、できたこととできなかったことを明確にしていくことが必要です。

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該当講座

アカデミーヒルズセミナー 東日本大震災復興チャリティー
竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/東洋大学教授/慶應義塾大学名誉教授)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

竹中平蔵(アカデミーヒルズ理事長/慶應義塾大学)米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学)
アカデミーヒルズセミナー東日本大震災復興チャリティー「新しいニッポンを創るために」では、この度の震災から日本が復興し、進むべき方向、そして新しい日本を創るためには、我々は何をしなければならないのか、について考えます。またセミナーの収益は被災地復興のために寄付する予定です。


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