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異色の大ヒットビジネス書『もしドラ』はこうして生まれた

~仕掛け人が語るミリオンセラーへの軌跡と、売れる企画の法則~

BIZセミナーマーケティング・PRコンテンツビジネス
更新日 : 2011年05月26日 (木)

第5章 メディアに取り上げてもらう方法

加藤貞顕氏

加藤貞顕: 「読者と書店とメディア」を顧客にするという話をしましたが、ここでちょっと、メディア側の話もしておこうと思います。僕は以前勤務していた出版社で雑誌をつくっていました。そのときの経験からわかるのですが、メディアの人たちは自分たちの媒体のスペースをどんな情報で埋めるかに苦労しています。

いろんな会社からリリースや掲載の依頼はたくさんくるのですが、残念ながらそれらはほとんど掲載されません。なぜかというと、自分たちのメディアとその情報をどうつなげていいかわからない、あるいはそれを考えるのが大変だからです。

今、僕がメディアに情報を提供するときは、できるだけ彼らの身になって考えるようにしています。彼らの代わりに企画をつくって、ネタを提供する、ときには映像も自分で撮ってくるぐらいの勢いでやっています。実際、僕が撮影した映像がテレビで使われたこともあります。

『もしドラ』は最初の頃、運よくメディアに「最近こんな本が売れている」という形で取り上げてもらうことができましたが、「最近の売れ筋」という切り口で紹介してもらえるのは1回だけです。しかも一度取り上げてもらうと、同じネタで取り上げてもらうのは難しいので、また取り上げてもらいたければ、別の切り口を用意する必要があります。『もしドラ』はどうしたかというと、「買った本を使ってこんなふうに役立てたという活用事例だろう」ということで、「『もしドラ』を活用してこんなことがありました」という話をたくさん集めています。

例えば、ある雑誌で某メガネ販売店のマーケターの方が、「『もしドラ』を読んでとても役に立ちました」と語っている記事を見つけたときは、すぐに連絡をとり、活用事例としていずれ取材をお願いすることがあるかもしれないとお伝えし、承諾していただきました。美容師の業界紙で、単店売上世界一を誇るといわれるカリスマ美容院の店長さんが「『もしドラ』を読んですごくよかった。美容師の接客業にも役立つ」と語っていたのを知ったときも、すぐにアプローチして、同様のお願いをしました。

もちろん企業採用の事例もたくさんあるので、そういうものを集めてリストをつくります。こうやって集めた『もしドラ』活用事例を、メディアに対して売り込むときに使います。番組に合わせて、媒体に合わせて、この話ならこんな“絵“が撮れますよという具体的なレベルで提案するわけです。

これまでのように大企業のえらい男性が難しい顔をしてドラッカーを読んでいるよりも、おしゃれなお店の若い店長さんが『もしドラ』を読んで店員さんをマネジメントしている、という絵が欲しいメディアにはそういう情報を渡します。実際に、メガネ店、美容室などはメディアからの取材が入っています。そしてそれは、取材された側も得をするわけです。

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関連書籍

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

岩崎夏海
ダイヤモンド社


該当講座

異色の大ヒットビジネス書『もしドラ』はこうして生まれた

~仕掛け人が語るミリオンセラーへの軌跡と売れる企画の法則~

異色の大ヒットビジネス書『もしドラ』はこうして生まれた
加藤貞顕 (ダイヤモンド社 書籍編集局第三編集部)
田中洋 (中央大学大学院ビジネススクール 教授 )

加藤 貞顕(ダイヤモンド社 書籍編集局 第三編集部)
田中 洋(中央大学大学院ビジネススクール教授)
本講座では発行部数が150万部を突破し、社会現象化している『もしドラ』の担当編集者であり、さまざまな販促プランニングにも携わったダイヤモンド社の加藤貞顕氏をお招きします。過去にも多くのヒット書籍を担当してきた加藤氏に、独自の「眼」で「企画の芽」を見つける方法から、Twitterを活用した新たなプロモーションの工夫、電子書籍版ヒットの裏側と今後の戦略までをお伺いします。


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