記事・レポート
異色の大ヒットビジネス書『もしドラ』はこうして生まれた
~仕掛け人が語るミリオンセラーへの軌跡と、売れる企画の法則~
BIZセミナーマーケティング・PRコンテンツビジネス
更新日 : 2011年05月23日
(月)
第3章 『もしドラ』を100万部売るためのプロジェクトチームを結成

加藤貞顕: 『もしドラ』の初版は1万部でしたが、初動がかなりよくて、3日で増刷になりました。“変わった”表紙を書店さんがおもしろがってくれたようで、POPをたくさん作っていただきました。とてもありがたいことです。そして、4冊5冊と、棚にたくさん並べて置いていただけたことが、売り上げにつながったと思います。この本を“まじめ”な本のコーナーに並べて置くと、圧倒的に“変な”存在感が出ます。さすがに最近は見慣れてきたかと思いますが、皆さんも最初に書店で見たときは、異様に感じたのではないかと思います。
こうして3日で増刷した後は、ある意味ベストセラーの定番パターンをたどっています。それは、発売から1、2カ月で新聞や雑誌の書評に載り、20万部を超えてくるとテレビに出るというパターンです。『もしドラ』は出版から約3カ月後の2010年3月に『王様のブランチ』と『クローズアップ現代』で紹介されました。この2つの番組は、1つは都会の若い人が見る番組、もう1つは全国の年齢が上の層が見る番組です。視聴者の地域も、世代も、好みも違うということで、運よくマーケティング的に効率のいい露出になりました。
実はこの少し前、2010年の2月ぐらいだったと思いますが、ダイヤモンド社の中で、「『もしドラ』を100万部売るためのプロジェクトチーム(以下「100万部PT」)」というのを結成しました。編集担当の僕と、編集長、営業部長、営業の若手、宣伝担当、それからほかのドラッカーの本の担当者など10人以上が定期的に集まり、マーケティングプランを出しあって、それを実行していったのです。
どんなことをしたのかというと、オーソドックスなものとしては、新聞広告や各種メディアに広告を出しました。が、それ以外の細かいセグメントに対するメディア、例えば甲子園の雑誌や、学校図書館の司書さん向けの新聞などにもたくさん広告を出しました。プロジェクトチームの中でタイムラインをつくり、例えば「夏は高校野球ファン向けにアピールしよう」というように、顧客のセグメントごとにマーケティングプランを立てながら進めていきました。
そうしたところ、4月には電子書籍化をしてそれ自体がニュースになったり、5月以降もいろいろなテレビに取り上げられたりして、7月には100万部を突破しました。そしてこれがまたニュースになって、さらにメディア露出が増えました。8月は甲子園があったのでかなり盛り上がりました。現在、「100万部PT」は「300万部PT」に名前を変え、企業や学校に採用してもらえるような試みを行っています(※2010年11月現在)。
マーケティングを行うときに意識しているのは、「読者と書店とメディア」です。以前、このアカデミーヒルズのセミナーで宝島社の方が、「宝島社ではこの三者が顧客だと思ってマーケティングをしている」ということをおっしゃっていたのですが、まさにそうなんです。この三者に対して、いかに貢献するかということを考えながらやっています。この後の話のなかで、いくつか例を紹介していきます。
こうして3日で増刷した後は、ある意味ベストセラーの定番パターンをたどっています。それは、発売から1、2カ月で新聞や雑誌の書評に載り、20万部を超えてくるとテレビに出るというパターンです。『もしドラ』は出版から約3カ月後の2010年3月に『王様のブランチ』と『クローズアップ現代』で紹介されました。この2つの番組は、1つは都会の若い人が見る番組、もう1つは全国の年齢が上の層が見る番組です。視聴者の地域も、世代も、好みも違うということで、運よくマーケティング的に効率のいい露出になりました。
実はこの少し前、2010年の2月ぐらいだったと思いますが、ダイヤモンド社の中で、「『もしドラ』を100万部売るためのプロジェクトチーム(以下「100万部PT」)」というのを結成しました。編集担当の僕と、編集長、営業部長、営業の若手、宣伝担当、それからほかのドラッカーの本の担当者など10人以上が定期的に集まり、マーケティングプランを出しあって、それを実行していったのです。
どんなことをしたのかというと、オーソドックスなものとしては、新聞広告や各種メディアに広告を出しました。が、それ以外の細かいセグメントに対するメディア、例えば甲子園の雑誌や、学校図書館の司書さん向けの新聞などにもたくさん広告を出しました。プロジェクトチームの中でタイムラインをつくり、例えば「夏は高校野球ファン向けにアピールしよう」というように、顧客のセグメントごとにマーケティングプランを立てながら進めていきました。
そうしたところ、4月には電子書籍化をしてそれ自体がニュースになったり、5月以降もいろいろなテレビに取り上げられたりして、7月には100万部を突破しました。そしてこれがまたニュースになって、さらにメディア露出が増えました。8月は甲子園があったのでかなり盛り上がりました。現在、「100万部PT」は「300万部PT」に名前を変え、企業や学校に採用してもらえるような試みを行っています(※2010年11月現在)。
マーケティングを行うときに意識しているのは、「読者と書店とメディア」です。以前、このアカデミーヒルズのセミナーで宝島社の方が、「宝島社ではこの三者が顧客だと思ってマーケティングをしている」ということをおっしゃっていたのですが、まさにそうなんです。この三者に対して、いかに貢献するかということを考えながらやっています。この後の話のなかで、いくつか例を紹介していきます。
関連書籍
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」
岩崎夏海ダイヤモンド社
異色の大ヒットビジネス書『もしドラ』はこうして生まれた インデックス
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第1章 『もしドラ』発売時の社会状況と、新しい読者層
2011年05月19日 (木)
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第2章 “萌え”表紙にした理由
2011年05月20日 (金)
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第3章 『もしドラ』を100万部売るためのプロジェクトチームを結成
2011年05月23日 (月)
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第4章 公式略称『もしドラ』は、Twitterで広めました
2011年05月24日 (火)
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第5章 メディアに取り上げてもらう方法
2011年05月26日 (木)
-
第6章 ベストセラーのつくり方「1%の法則」
2011年05月27日 (金)
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第7章 売れる企画の条件は「TDL」
2011年05月30日 (月)
-
第8章 電子書籍はコンテンツのつくり方が紙とはまったく違う
2011年05月31日 (火)
該当講座
異色の大ヒットビジネス書『もしドラ』はこうして生まれた
~仕掛け人が語るミリオンセラーへの軌跡と売れる企画の法則~
加藤 貞顕(ダイヤモンド社 書籍編集局 第三編集部)
田中 洋(中央大学大学院ビジネススクール教授)
本講座では発行部数が150万部を突破し、社会現象化している『もしドラ』の担当編集者であり、さまざまな販促プランニングにも携わったダイヤモンド社の加藤貞顕氏をお招きします。過去にも多くのヒット書籍を担当してきた加藤氏に、独自の「眼」で「企画の芽」を見つける方法から、Twitterを活用した新たなプロモーションの工夫、電子書籍版ヒットの裏側と今後の戦略までをお伺いします。
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