記事・レポート

マーケティング・クリエイティブ最前線「宝島社の女性誌マーケティング」

~出版の概念を覆すマーケティング戦略で部数はまだ伸びる~

更新日 : 2011年01月31日 (月)

第8章 みんなが持っている物は“ブランド”か?

「宝島社の女性誌マーケティング」会場セミナーの様子

西川英彦: ブランド側からお金を出してでも「取り上げてほしい」という話がたくさんくるのではないですか?

桜田圭子: ブランドさんからのオファーは多いのですが、広告としてお金をいただくことは、涙を飲んでお断りしています。お受けしたらブランドさんのファンの方には喜ばれると思うのですが、より多くの方に喜んでいただける商品というと、やはり編集者が読者のニーズをとらえてつくったものが一番だと思いますので。やはりお金をいただくようになると、読者のニーズに沿ったものがつくれなくなってしまいます。

西川英彦: では、ブランドを選ぶ基準は何ですか。雑誌の編集長が選ぶ感じですか、それともマーケティング会議で選ぶのでしょうか。

桜田圭子: 編集者がそれぞれブランドを提案しています。当初はファッション誌でお付き合いのあるブランドさんが多かったのですが、最近は海外のハイブランドなど、ブランドの幅も広がっています。これからブレイクするブランドさんを発掘することも多いです。例えば、今はそんなに知られていないけれど、「デザインがかわいいから、ぜひバッグをつくりたい」といった弊社の熱意が、ブランドさんにも喜んでいただけています。

西川英彦: 同じものがたくさん出回るとなると、みんなが持っていることになり、それはある意味でブランドのロイヤリティを下げるという話もあるのではないかと思います。同じ物が大量に出回るということに対しては、ブランド側の意向はどうなんですか。

桜田圭子: ブランドさんは、PRツール、ノベルティのようにとらえてくださっています。雑誌を導入として、そこから実際にブランドのお店に行って商品を手にとってみたくなったり、新作をお店でちょっと着てみたくなったり、そういう効果が高いんですね。あるコスメブランドでは、ブランドムックをきっかけにカウンターに4,000人のお客さまがいらっしゃったそうです。

西川英彦: ある種のイベントツールで、最初のきっかけをつくるトリガーになっているんですね。

では、買う側の消費者の心理はどうですか。私自身は「みんなが持っている、ほしいな」と思うときもあるし、「みんなが持っていると嫌だな」というときもあるので、どちらとも言えないんですけど。

桜田圭子: それは最近、ちょうど同じような分析を弊社でもしていたところです。特徴として、定期雑誌は読者の仲間意識がとても強いんです。一般的には「同じ物を持っていると、ちょっと恥ずかしい」と感じる方が多いように想像するのですが、コミュニティのような感じで「人気ファッション誌お墨付きのブランドアイテムを持っている!」という仲間意識をお持ちの読者の方が多いように感じています。最近は“ブランドアイテム”ではなくて、「これを持っていればおしゃれ」という“トレンドアイテム”に昇華しているのではないかと話をしているところです。

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該当講座

宝島社の女性誌マーケティング

~出版の概念を覆すマーケティング戦略で部数はまだ伸びる~

宝島社の女性誌マーケティング
桜田圭子 (株式会社宝島社 マーケティング本部広報課長)
西川英彦 (法政大学 経営学部 教授)

桜田 圭子(㈱宝島社 マーケティング本部広報課長)
西川 英彦(法政大学教授)
今回のマーケティング・クリエイティブ最前線では、新しい発想で快進を続けて注目を集めている宝島社にクローズ・アップします。
付録付雑誌だけでなく、美顔器を書店で販売して大ヒットさせるなど、従来の常識を覆すマーケティング戦略で注目を集める同社の発想の源にあるものとは?進化を続ける宝島社の好調の秘密に迫ります。


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