記事・レポート

マーケティング・クリエイティブ最前線「宝島社の女性誌マーケティング」

~出版の概念を覆すマーケティング戦略で部数はまだ伸びる~

更新日 : 2011年01月26日 (水)

第5章 企画のポイントは「期待以上&一言」

「宝島社の女性誌マーケティング」会場セミナーの様子

桜田圭子: 「書店応援キャンペーン」の具体的な施策については、例えば『sweet』が60万部を達成したときは、『sweet』の印刷工場見学ツアーを実施しました。書店さんとお話ししていると、毎日品出しで商品に触れてくださっているにもかかわらず、雑誌がつくられていく過程をご覧になったり、編集長とコミュニケーションを取られたことがないということに気づきました。そこで書店さんをお招きし、凸版印刷さんのご協力を得て工場内をご案内した後、営業担当者と私が司会をして編集長のトークショーを実施しました。

商品を売ってくださる方に、つくり手の顔を見せるというのは非常に大事なことではないかと考えております。例えば、その雑誌の表紙撮影がどんな様子だったのか、編集部はどんなふうに毎日仕事をしているのか、どんな苦労があるのかなど、商品が生まれていくストーリーをお見せすることで、商品に愛着を感じていただけるのではないかと思って企画しました。

読者向けプロモーションのところでもお話ししましたが、企画するときはいつも「皆さんの期待以上のサプライズをご提供したい」と考えています。このときは弊社から凸版印刷さんの板橋工場までリムジンをご用意して、書店員さんをご案内しました。そして一言で言える企画であるということも重要です。この企画なら「宝島社の工場見学でリムジンに乗ったよ」という形で口コミも広まりますし、書店員さんたちの記憶にも残るのではないかと考えました。

新しい取り組みとしては、「宝島社書店」という、書店の中にもう1つ書店をつくるという活動を行っています。ブランドムックや雑誌のブランドアイテムなどを店頭にハンガーラックで飾り、雑貨屋さんのような雰囲気にしています。例えば福岡の紀伊國屋書店さんでは、店頭に姿見(ミラー)を置くことでお客さまがバックとお洋服をコーディネートできるような企画をご提案しました。このときは売上冊数が2倍に伸びました。

これは弊社の商品だけを売りたいということではなく、「書店にはこんなに楽しい商品がたくさんあるんですよ」ということを書店さんのご協力をいただいてPRするための企画です。いろいろなエンタテインメントが増える中で書店に足を運ばなくなってしまった方に、もう一度書店の楽しさを思い出していただきたいと感じています。書店に行く方が増えるということは、他の出版社さんをはじめ、業界全体の活性化につながるのではないかと考えています。

本との出会いという体験が、モノではない、コト消費につながるのではないかと思っています。

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該当講座

宝島社の女性誌マーケティング

~出版の概念を覆すマーケティング戦略で部数はまだ伸びる~

宝島社の女性誌マーケティング
桜田圭子 (株式会社宝島社 マーケティング本部広報課長)
西川英彦 (法政大学 経営学部 教授)

桜田 圭子(㈱宝島社 マーケティング本部広報課長)
西川 英彦(法政大学教授)
今回のマーケティング・クリエイティブ最前線では、新しい発想で快進を続けて注目を集めている宝島社にクローズ・アップします。
付録付雑誌だけでなく、美顔器を書店で販売して大ヒットさせるなど、従来の常識を覆すマーケティング戦略で注目を集める同社の発想の源にあるものとは?進化を続ける宝島社の好調の秘密に迫ります。


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