記事・レポート

マーケティング・クリエイティブ最前線「宝島社の女性誌マーケティング」

~出版の概念を覆すマーケティング戦略で部数はまだ伸びる~

更新日 : 2011年01月25日 (火)

第4章 電子書籍より、約58,000店の出版流通を活かす

「宝島社の女性誌マーケティング」会場セミナーの様子

桜田圭子: 次は「クライアントさん向け」のプロモーションについてです。クライアントさんの中にはもしかしたら『sweet』の表紙はご覧になったことはあっても、中身をご覧になられていない方もいらっしゃるのではないかという意見があり、『sweet』が昨年(2009年)4月に60万部を突破し、日本一の部数になったとき、雑誌の中身を全ページ縮小して新聞に見開きで掲載しました。400ページ近くあったのですが、広告ページのクライアントさん、モデルさん、カメラマンさんなど、すべての方々に許可をとって掲載しました。

それから編集長にクライアントの皆様へ手紙を書いてもらい、「編集長からのお手紙」として、新聞をクルッとくるむラッピング広告にして掲載しました。こちらはおかげさまで繊研新聞社さんの広告賞をいただきました。

企業として信頼感を高めるために、トップの広報にも力を入れています。企業理念や経営についての考えをトップに語ってもらい、ビジネス誌などで積極的にPRしています。

次に、今最も力を入れている「書店応援キャンペーン」についてです。こちらは出版流通を活用してお客さまに求められる商品を提供することで、店頭の活性化につながる企画を提案するという形のプロモーションです。メーカー企業さんが、流通を大事にされているように、弊社も書店さんをパートナーとしてさらに大切にしていこうと考えています。

出版社の財産は優れた日本の出版流通です。まず、店舗数が約58,000という、ほかの流通には見られない圧倒的な数があります。しかも書店は駅前の好立地にありますし、集客をしなくても老若男女、毎日さまざまなお客さまがいらっしゃいます。これを財産として活用して多くのお客さまが求める魅力的な商品を提供することで、書店をさらに魅力的なお買い物の場にしていきたいと考えています。書店を盛り上げることで、業界全体の活性化にもつながるのではないかと思います。

今、電子書籍が騒がれていますが、弊社は既存の出版流通を深堀する戦略をとっており、財産である出版流通を使って流通させられるパッケージ商品を企画開発しています。その1つが「ブランドムック」です。1つのブランドさんの雑誌とそのブランドのバッグやポーチなどのアイテムがセットになった商品で、現在、70近くのブランドさんとコラボレーションさせていただいており、累計で1700万部発行しています(※本セミナー開催時の2010年9月現在)。

よく誤解されてしまうのですが、ブランドさんから広告費等のお金は一切いただいておりません。「ブランドムック」は広告モデルではなく、完全に販売の収益だけで成り立っているものです。

また、今話題になっているのがマルチメディア商品です。美顔ローラーや電子タバコなどをお求め安い価格で、身近な書店・コンビニエンスストアという売り場で販売することにより、多くのお客さまにご購入いただいています。さまざまな企業さんとコラボレーションもしています。例えば、たい焼きのクッキングトイはタカラトミーさんとのコラボレーションで開発した商品です。他にも「My Little Lover」の音楽CDやワーナーさんのコンテンツをパッケージした「ハリー・ポッター」のDVDなども発売しています。

今までは自動車メーカーは自動車をつくること、家電メーカーは家電をつくることが事業だと思われていましたが、消費者ニーズの変化がこれだけ早いと、何を作るかではなくて、顧客に対して何を提供するか、サービスや製品だけでなくて、顧客が求めるものをどのように提供し、コンタクトポイントをいかに作り出すかということが大事になってくると思います。

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該当講座

宝島社の女性誌マーケティング

~出版の概念を覆すマーケティング戦略で部数はまだ伸びる~

宝島社の女性誌マーケティング
桜田圭子 (株式会社宝島社 マーケティング本部広報課長)
西川英彦 (法政大学 経営学部 教授)

桜田 圭子(㈱宝島社 マーケティング本部広報課長)
西川 英彦(法政大学教授)
今回のマーケティング・クリエイティブ最前線では、新しい発想で快進を続けて注目を集めている宝島社にクローズ・アップします。
付録付雑誌だけでなく、美顔器を書店で販売して大ヒットさせるなど、従来の常識を覆すマーケティング戦略で注目を集める同社の発想の源にあるものとは?進化を続ける宝島社の好調の秘密に迫ります。


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