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内田和成の『論点思考』
~問題設定の技術~

東洋経済提携講座より

ビジネススキルキャリア・人
更新日 : 2010年10月29日 (金)

第9章 常に二つ上のポジションで物事を見る癖をつける

内田和成氏

内田和成: さて、少し時間が押してまいりました。最後に、論点を中心にした考え方を習慣付ける方法と、考えを少しでも加速化するにはどうしたらいいのかという話をしたいと思います。キーワードの一つ目は視野、二つ目は視座、三番目は視点です。ちょっと言葉の遊びみたいですが、まず、一つ目の「視野」について。視野を広く持つことは、普段考えていない、普段見ていないエリアを見るということです。ある方の言葉でなるほどと思ったのは、将来を予測しようと思うと非常に難しい。何か新しい技術革新や、とんでもない競争相手というのは、自分の思う方向から来ることはなくて、大体がとんでもない方向から来ます。ただ、日頃から訓練していくと、予知はできないかもしれないが、驚くことが少なくなるということです。

二番目は「視座を高く」ということです。私がよくビジネススクールの学生に言っているのは、「とにかく二つ上のポジションでものを考えろ」ということです。「君らがもし課長だったら、部長の視点で見ることはやめろ」と言っています。なぜかというと、課長が部長の視点で見ると、利害が対立していたりするので、どうしても自分のものさしを相手に置き換えるだけになってしまいます。もう一個視点を上にして、本部長の視点から、部長と課長が議論していることを見る。「なるほど、確かに部長の言うことにも一理あるな」「いや、やっぱり俺の言っていることが正しい」と、常に二つ上のポジションで物事を見る癖をつけるのです。そうすることによって、自分のポジションが上がったときにも対応できるのではないかと思います。

三番目の「視点」は、簡単に言うと切り口を変えるという話です。これが一番難しくて、意識したからできるものではないと思います。事例だけ幾つか申し上げると、一つは逆から考えること。メーカーであれば小売店の立場、消費者の立場から、ビジネスの仕組みやマーケティングの仕方を逆から見る発想です。そのほか消費者視点、現場感覚を大事にされることもいいと思います。特に経営に近いポストになればなるほど、現場の感覚はなくなっていきますので、現場で何が起きているのか。現場ではどのように見えるのか。あるいは、それは取引先やお客さんから見たらどうなのか。我々はよく「相手の靴に自分の足を入れろ」などと言います。どうしても自分の立場で考えがちなところを、同じ話を向こう側に置いてみて、相手の目線で見ることが大事なのです。
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該当講座

内田和成の『論点思考』

~BCG流 問題設定の技術~

内田和成の『論点思考』
内田和成 (早稲田大学ビジネススクール教授)

内田 和成(早稲田大学ビジネススクール教授)
今回講師としてお越しいただく内田氏は、ボストンコンサルティンググループの前日本代表であり、「世界でもっとも有力なコンサルタントのトップ25人」(米コンサルティング・マガジン)に選出されるなど、世界を舞台に活躍されています。
話題の近著『論点思考』を元に、内田氏から直接、実践的な「問題設定の技術」について学びます。


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