記事・レポート

内田和成の『論点思考』
~問題設定の技術~

東洋経済提携講座より

ビジネススキルキャリア・人
更新日 : 2010年10月25日 (月)

第5章 数学の問題か、理科の問題か

内田和成氏

内田和成: では、実際にどうやって論点思考するのかということについて、少しお話ししたいと思います。まず、私だけではなくてコンサルティング会社の人間がやっている論点思考のステップは、そもそもある現象を見たときに、その原因として何が考えられるだろうかという「解くべき課題」をリストアップすることです。この論点候補を洗い出す、拾い出すというステップが一番目。それから二番目は、拾い出してきた候補の中から一つに絞り込むこと。ここが難しいところではあるのですが、仮に絞り込んだら、三番目は少し違った角度でその課題を見て確定することです。そして四番目は、それをより幅広い範囲で検証して、全体像として確認します。ただし、この四つのステップは必ずしも時間軸で順番に起きてくるわけではないのも、非常に難しいところです。ある種の経験が必要だと申し上げているのは、その難しさ故です。最初にどうもこれが一番の問題だとパッと論点が浮かび上がることもあれば、ああでもない、こうでもないと考えた中で、これに違いないと決めることもある。あるいは最初にこれだと思った論点が、いろいろやってきた途中で、これではなかったと置き換わることもある。そんなに簡単な話ではないのです。しかし、いずれにせよ解くべき問題を予め決めるということが非常に大事です。

例えば、何かの試験で数学の問題だと思って解いていたら、理科の問題だった。……これは悲劇ですね。数式として正しいものを出して証明したら、実は理科の問題で、これがどうしてそうなるか、理由を説明しろという。いくら数式を証明しても仕方ないわけです。一体自分は何の問題を解いているのか、あるいは解くべきなのかということを常に忘れないことがポイントです。
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該当講座

内田和成の『論点思考』

~BCG流 問題設定の技術~

内田和成の『論点思考』
内田和成 (早稲田大学 名誉教授)

内田 和成(早稲田大学ビジネススクール教授)
今回講師としてお越しいただく内田氏は、ボストンコンサルティンググループの前日本代表であり、「世界でもっとも有力なコンサルタントのトップ25人」(米コンサルティング・マガジン)に選出されるなど、世界を舞台に活躍されています。
話題の近著『論点思考』を元に、内田氏から直接、実践的な「問題設定の技術」について学びます。


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