記事・レポート

内田和成の『論点思考』
~問題設定の技術~

東洋経済提携講座より

ビジネススキルキャリア・人
更新日 : 2010年10月22日 (金)

第4章 経営資源が有限である以上、優先順位をつけなければいけない

内田和成氏

内田和成: ここで申し上げたいことは、泥棒が入ったことを、ああでもないこうでもないと分析することが大事だとか、そんなことではありません。泥棒に入られたということは単なる現象であって、その中で会社として取り組まなければいけない課題が何かということを、きちんと抽出することが極めて大事だということがポイントなのです。コピー用紙が500枚盗まれたと例を挙げましたが、このコピー用紙500枚が致命傷になるケースがあるのです。想像がつきますか? 『論点思考』を読まれた方はお分かりかと思いますが、例えばセコムさんが泥棒に遭ったとします。すると恐らくコピー用紙500枚では済まなくて、商売に大きな影響が出ますね。単に現象をとらえるだけではなくて、その中で、我が社にとって、どれがどのようにインパクトがあるのかと考えなければいけません。

それからもう一つ、大事なポイントを。ある現象が起きたときにはいろいろな課題が出るわけですが、それに全部取り組むような馬鹿なことをしてはいけません。例えば、泥棒が入ってこれは大変だということで、セキュリティを強化するためにドアの鍵を付け替えましょう、警備会社にお金をたくさん払って人員を増やしましょう、あるいはレポーティングシステムを見直しましょう。実害が幾らあったかを経営企画でちゃんと計算して、翌年の事業計画に反映させましょうと。これは全部、言ってしまえば内向きのエネルギーです。そこにエネルギーを全部使っていると、お客さんにいい商品を提供するとか、あるいは営業で頑張るとか、マーケティングで努力するとか、肝心の外向きのエネルギーがないがしろになってしまいます。会社の経営資源が有限である以上、人もお金もそうですが、特に時間が有限である以上、その中で取り組むべき課題が何かについて、きちんと優先順位をつけてやらなければいけません。

その中で一番大事な問題、優先順位ナンバーワンでやるべき問題を表すのに、「大論点」あるいは「セントラルクエスチョン」という言葉を使います。ですから、皆さんもいろいろな課題……最近売上が落ちている、在庫が積み増している、お客さんから品質に対してクレームが来ているなど、そういった課題を山ほど受けますよね。その全部に対応していると、モグラ叩きと同じでこっちをやっている間にこっちに問題が生じて、これを解決しようと思ったら、またあっちに生じたみたいなことに。その中で、何に取り組み、何はやらないかを決めていくことが非常に大事だと思います。企業や組織、もしくは自分にとって、解決すべき課題……これが「論点」であり、その中でもとくに重要なものを「大論点」「セントラルクエスチョン」、あるいは「セントラルイシュー」でもいいのですが、そう呼んで考えていくことが、論点思考の一番のポイントです。
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内田和成の『論点思考』

~BCG流 問題設定の技術~

内田和成の『論点思考』
内田和成 (早稲田大学ビジネススクール教授)

内田 和成(早稲田大学ビジネススクール教授)
今回講師としてお越しいただく内田氏は、ボストンコンサルティンググループの前日本代表であり、「世界でもっとも有力なコンサルタントのトップ25人」(米コンサルティング・マガジン)に選出されるなど、世界を舞台に活躍されています。
話題の近著『論点思考』を元に、内田氏から直接、実践的な「問題設定の技術」について学びます。


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