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環境政策キーパーソンが語る環境外交と国内政策

~『日経エコロジー』提携講座:「25%削減」への道筋

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更新日 : 2010年08月10日 (火)

第7章 「環境に優しく、豊かさを享受できる街づくり」が日本再浮上のカギ

福山哲郎氏

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福山哲郎: 政策メニューはそろっています。しかし具体的な制度設計が未整備です。例えば国内排出量取引制度は企業活動に影響を与えるので、詳細な検討が必要です。

また、我々が導入しようとしている地球温暖化対策税、いわゆる環境税は国内排出量取引制度とセットで議論して、CO2排出削減の程度に応じて環境税の負担を減らすなど、負担とインセンティブを組み合わせる。そうすることで「単に企業に負担をかけるのが目的ではない」ということを示すべきだと、私自身は考えています。

欧米が排出量取引制度を取り入れようとしているのは、一番費用が低くて済む、つまり一番効率的にCO2が削減できるからです。例えば、工場でエネルギー効率を上げるための投資をして設備を変えると、将来的に2つのメリットがあります。

1つはCO2排出量が減ることで、減った分を排出クレジットとして売却可能になるということ。2つ目は投資を早くすることによって、将来のエネルギーコストが低廉化するということです。

しかし今、日本の経済はリーマンショック後、将来が見えない中で、国内の設備投資が落ち込んでいます。いかに国内の設備投資に投資を呼び込むか、それを考え、実行するのが政府の仕事です。

例えば、早く投資した企業に対しては、品目を指定した加速度償却制度を導入するなどのインセンティブを与えるなど、政府としては企業に先の2つのメリットをいかに早く享受していただけるようにするかを考えなければなりません。こうした制度設計は急務です。

皆さんはもしかしたら、「2050年までに全世界で80%のCO2削減」というのは、ずいぶん先のことだとお思いかもしれません。しかし若い皆さんや、皆さんのお子さん、お孫さんは間違いなく2050年80%マイナスの世界に生きておられます。

今のままのライフスタイルではたどりつけないんです。気候変動対策に積極的な街であり、かつみんなが豊かさを享受できる、そういう勝負を我々はしているのです。「2020年25%削減」は「2050年80%削減」の世界をつくるための通過点に過ぎないのです。その長く厳しいチャレンジに、我々は今、挑みはじめたばかりです。

そのプロセスは、1945年に戦争で負けて、60年経って我々がこれだけ豊かさを享受できる社会をつくり上げたのと同じようなプロセスかもしれません。我々がこれから目指す社会に向けて、新しいライフスタイルを形作るためのプロセスを政府と国民と企業が一体となって進めなければなりません。

実はそれこそが、日本が世界中の途上国や先進国に輸出できるモデルであり、将来の可能性につながるものであると私は思います。

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~鳩山政権の環境政策キーパーソンが語る環境外交と国内政策~

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福山哲郎 (外務副大臣/民主党参議院議員)

福山 哲郎(外務副大臣/民主党参議院議員)
民主党きっての環境政策通である福山議員。「CO2を2020年までに1990年対比で25%削減する」という鳩山イニシアチブを草案した人物であり、国際交渉の最前線で日本の環境行政の舵取りをしています。難航するポスト京都議定書の国際交渉における日本の方針と、国内環境政策について、鳩山政権の環境政策キーパーソンに直接伺うまたとない貴重なセッションです。


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