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環境政策キーパーソンが語る環境外交と国内政策

~『日経エコロジー』提携講座:「25%削減」への道筋

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更新日 : 2010年06月16日 (水)

第1章 環境問題は「賢い消費者」頼みでは解決できない

地球温暖化対策は、国際交渉の場では先進国と途上国が対立し、国内では経済界から国際競争力の低下を懸念する声があがっています。しかし今や気候変動はマーケットであり、日本再浮上のカギなのです。国際情勢の変化と環境対策を経済成長につなげる日本の戦略を、25%削減スピーチの草案者の一人、福山哲郎氏が語ります。

講師:福山哲郎 外務副大臣/民主党参議院議員

福山哲郎氏

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福山哲郎: 外務副大臣、参議院議員の福山哲郎です。きょうのテーマにも関わってきますので、最初に少し私のプロフィールをお話しして、それから本題に入りたいと思います。

私は大学を出て証券マンをしていたので、マーケットに関してはどちらかというとポジティブで、企業や経済の状況についても関心は高い方です。そういう人間が1992年のブラジルのリオ・サミット前後に松下政経塾に入塾し、環境問題や南北問題に関心を持ち、塾生時代はごみの収集のプロセスを研究したり、内戦中のスリランカの農村に入ってトイレや道路をつくるお手伝いをしたりしました。

このような問題意識を持つなかで政治を志し、1997年に京都で開催されたCOP3(第3回国連気候変動枠組条約締約国会議)に旧・民主党コーディネーターの一人として参加しました。私の中では職業経験と問題意識がセットになっているのですが、「環境問題は票にならない」とずっと言われてきました。

環境問題が政策課題になりにくいのには、いくつか理由があります。まず、道路や公民館をつくるのと違い、環境問題を議論しても誰の利益になるのかわかりにくい。それに人間には、地球のどこかで起きている旱魃や豪雨、未来の気候変動などを想像しにくいという距離的、時間的な限界があるのです。

「賢い消費者」という議論がありますが、ゼロエミッションの施設で投資をしてエネルギー負荷を減らしてつくった水が200円で、環境対策にネガティブな企業がつくった水が100円だったとき、果たして今の日本は200円の方を選ぶ社会になっているでしょうか。結局100円の方が売れるとなると、こうしたフリーライドの調整をどうするのか。マーケットだけでは解決できないものがあるのです。

もうひとつの理由は南北問題です。「豊かさを享受している先進国は過去からの累計でCO2をたくさん出してきたのだから、これから豊かさを追求する途上国もCO2を排出する権利があるはずだ」という議論があり、国際交渉上なかなか集約しにくいのです。

97年のCOP3は、NGOの活動、世論、報道の高まりがあり、最終日にはゴア米副大統領が来るということで世界中から注目されました。翌98年に私は参議院選挙に当選しましたが、COP3の前年、96年に行われた衆議院選挙では落選しています。どちらの選挙も同じような問題意識で挑んでいたので、COP3の前後でこれほど有権者の反応が違うものなのかと感じました。

当選してからは環境委員会に所属し、気候変動の問題についてウォッチし続け、自腹でCOP4やCOP5をはじめ、2年に1度くらいは現地に行っています。日本の政府は国際交渉から帰ってきたら、必ず「成功だった」という報告をします。しかし、実際の空気を感じるにはやはり現地に行くしかありません。

気候変動の世界というのは年々ルールが複雑化して、ステークホルダーが増えてきています。複雑化する交渉の中で、国会議員としてウォッチし続けること自体に価値があるのではないか、そういう思いでずっと見続けてきたのです。

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福山哲郎外務副大臣に聞く「25%削減」への道筋

~鳩山政権の環境政策キーパーソンが語る環境外交と国内政策~

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福山哲郎 (外務副大臣/民主党参議院議員)

福山 哲郎(外務副大臣/民主党参議院議員)
民主党きっての環境政策通である福山議員。「CO2を2020年までに1990年対比で25%削減する」という鳩山イニシアチブを草案した人物であり、国際交渉の最前線で日本の環境行政の舵取りをしています。難航するポスト京都議定書の国際交渉における日本の方針と、国内環境政策について、鳩山政権の環境政策キーパーソンに直接伺うまたとない貴重なセッションです。


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