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ロングセラー『マーケティングとPRの実践ネット戦略』著者に聞く

米国企業のソーシャルメディア活用最新動向

更新日 : 2010年05月07日 (金)

第5章 日本のソーシャルメディアは、モバイルが主流

デビッド・マーマン・スコット氏

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神原弥奈子: ここからは『日経ネットマーケティング』の渡辺編集長に参加していただきます。まず日本のソーシャルメディアの現状と事例を、渡辺さんからご紹介いただけますか。

渡辺博則: 『日経ネットマーケティング』は2007年10月に創刊した媒体で、月刊誌とウェブサイト、それからフォーラムをはじめとしたイベントの三位一体で情報を提供しています。ターゲットは企業のマーケッターです。

最初にソーシャルメディアの会員数を整理すると、2004年頃から、mixiを初めとしたSNSが始まり、2006年ぐらいからモバゲータウンやGREEという携帯SNSが伸びてきました。

最近の数字では、ブログでいうとアメブロが約700万会員、ライブドアブログが約300万会員です。mixiが1,792万、GREEが1,500万と急伸していて、モバゲータウンが1,581万人です。日本でいわゆるソーシャルメディアが結構育ってきていることがわかります。またここに来てTwitterの国内ユニークユーザー数が200万人を超えたと言われ、Facebookは約139万人まで伸びてきています。(編注:本講座の開催は2010年1月)

日本の特徴は、携帯からの利用が主流ということです。モバゲータウンとGREEはほとんど携帯経由で、mixiでは7割ほどのユーザーが携帯で利用しています。『日経ネットマーケティング』から、いくつか事例をご紹介しましょう。

まず、携帯SNSを使ったソニー・ピクチャーズの例です。2009年5月に公開された映画『ダ・ヴィンチコード』の第2弾、『天使と悪魔』では、若者の洋画離れを食い止めようと、mixiとタイアップして携帯SNSを活用した結果、220万人の参加を得て、興行は好調な出だしになりました。

どんなコンテンツだったかというと、mixiのコラボサイトに「天使と悪魔 プロフィールメーカー」という診断系コンテンツをつくり、質問に答えていくと、その人の天使の面と悪魔の面のプロフィールが自動的に生成されるというものでした。

これの面白いところは、mixiユーザーのプロフィールページに、必ず「天使と悪魔 プロフィールはこちら」というリンクを入れたことです。みんなが診断結果をネタに日記を書いたことで口コミで広がって、当時約1700万人のmixiユーザーのうち約220万人が、この診断をしたそうです。

「ユーザーを引きつける、映画にマッチした魅力的なコンテンツが提供されていること」「mixiとの提携によって各人のプロフィールページに動線が張られること」で、正のスパイラルで広がっていったのです。

もう1つは、全国に108の料理教室を持つ『ABC Cooking Studio』の例です。ここの特徴は、教室がガラス張りになっていることです。ですので例えば、デパートの上のほうに教室があって、そばを通ると楽しそうにやっている授業の様子が見られる、そういう開放感を持った料理教室なんです。

この会社で課題になっていたのは、リアルのプロモーションはやっているけれど、特徴である開放感がウェブサイト上で表現できていなくて、ウェブからの集客がないということでした。そこで2009年の5月ぐらいから、ブログや口コミの活用を順次開始したのです。

どんなことをしたかというと、「スタジオブログ」は教室の先生たちが情報発信をする、典型的なブログのパターンですが、「みんなのABC BLOG」というのもつくり、生徒さんがつくった料理の写真を投稿するコーナーをつくり、生徒さんのブログも紹介して、横へ広げていきました。

その結果、開放感や賑わい感が出て、1dayレッスンの申し込みが前年の倍になったり、資料請求が前年の1.3倍になったり、事業の成長に役立ったということです。

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デビッド・マ−マン・スコット
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David Meerman Scott (マーケティング戦略家、基調演説者、セミナーリーダー)
渡辺博則 (「日経ネットマーケティング」編集長)
神原弥奈子 (株式会社ニューズ・ツー・ユー 代表取締役)

ゲスト講師:David Meerman Scott(マーケティング戦略家、基調演説者、セミナーリーダー)
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