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本当にエコカーは環境負荷を低減するのか。生き残るエコカーの条件とは?

『日経エコロジー』提携講座:過熱するエコカー市場の真相

更新日 : 2010年03月26日 (金)

第4章 “街なかの充電コンセント”は電気自動車の普及のカギにならない?

木野龍逸氏

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木野龍逸: 電気自動車は充電に時間がかかるし、一回の充電で走ることのできる距離が短いなど使い方に制約が多くて、価格も非常に高い。にもかかわらず、なぜ今、自動車メーカーは開発を押し進めているのでしょうか?

自動車で使っている内燃機関(エンジン)の熱効率は20%程度ですが、すでに性能改善は限界にきています。自動車メーカーの技術者に聞いたところ「もう、重箱の隅をつつくぐらいしかやることがないという状況になっている。がんばっても、おそらく数%しか上がらないのではないか」ということでした。今以上に効率を上げるには、通常のエンジン開発だけでは難しいのです。
 
自動車は排ガスもCO2も出すので、メーカーには社会的な責任があります。このためトヨタとホンダはハイブリッド車の開発をしていますが、そのほかの自動車メーカーにとって、今からハイブリッド車をつくるのは簡単なことではないでしょう。

トヨタですら、二代目のプリウスを出すまでの8年間は、1台売るごとに多額の赤字が出ていたといわれます。そこまでして市場に出し、トラブル対処をしたうえで、ようやく二代目、三代目ができたのです。それを考えると、今すぐにほかのメーカーが、プリウスと同じレベルのものをつくるのは難しいのではないかと思います。

それに比べれば電気自動車は、ハイブリッド車よりは比較的簡単につくれると思います。今はまだ、確かに電気自動車はとても高価です。ただ、ハイブリッド車も電池やモーター、インバーターと、高い部品だらけですが、そもそも“電気部品”なので、価格が落ちる可能性は高く、例えば三代目のプリウスは、電気関係の部品のコストは初代に比べると、おそらく数分の1になっています。

電気自動車は、価格に関しても、性能に関しても、これからまだまだ大きく進歩するのではないかと思います。それに電気は、脱化石燃料というだけでなく、多様な自然エネルギーを利用できるので、エネルギー・セキュリティになるという部分もあります。しかも、エネルギー効率が高い。弱点を補って余りあるだけのメリットがあるのが、電気自動車なのです。

電気自動車のインフラに関していうと、家に車庫とコンセントがあれば、基本的には家で充電するでしょう。もちろん緊急避難的な意味では充電のインフラは必要ですが、「それをつくったところで、もしかしたらそんなに使う人はいないのではないか?」という見方をする人は結構多いのです。

今、日本でもスーパーなどに急速充電のインフラができはじめています。これは緊急避難的なポイントとしてはとてもいいと思います。一方で、おそらくガソリンスタンドのような商売にはならないと思います。それは外であまり充電しないのではないかということと、電気は価格がとても安く、電気自動車は、もうかるほど電気を使うわけではないからです。なんらかのサービスや、集客のためのツールとして充電インフラを整えていくということはあると思います。基本的には家で充電するとはいえ、安心感という面でのインフラが、普及当初は必要かもしれません。

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過熱するエコカー市場の真相
木野龍逸 (フリーランス ライター兼カメラマン )

木野 龍逸(フリーランス ジャーナリスト・カメラマン)
いま、エコカーが注目されています。トヨタやホンダのハイブリッドカーが市場を席巻し、三菱自動車、富士重工、日産自動車が電気自動車を発表するなど、各社がしのぎを削る中、政府もエコカー減税を実施してバックアップします。
多岐に渡る環境対応車の「いま」と今後のエコカー市場の展望について木野氏が解説します。


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