オピニオン・記事

「東京オンリーピックができるまで」

更新日 : 2008年12月17日 (水)

第1章 『スキージャンプ・ペア』のプロモーションは真剣なパロディ

亀田卓さん
亀田卓: 初めまして。ご紹介するまでもないと思いますが、真島監督は世界中でいろいろな賞を受けた『スキージャンプ・ペア』で50万本のDVDを売った方で、今回の『東京オンリーピック』では、総監督でありながら、いくつかのパートの監督もされています。

『スキージャンプ・ペア』は、デジタルハリウッドの卒業制作でつくられたということですよね?

真島理一郎: はい。最初の作品は6分の短編でした。もともと僕はディベロッパーで商業施設の環境デザインや企画開発の仕事をやっていたということもあって、作品づくりだけじゃなくて、それをどうプロモーションしていくかという、世界観・ストーリーづくりなどのトータルな企画が好きだったので、この作品もそういうふうに展開したいなと、在学中から思っていました。

真島理一郎さん
6分の映像作品の見えない世界、もっと広い世界を表現したかったので、ドメインをとって、『スキージャンプ・ペア』が存在する架空の世界のオフィシャルホームページを立ち上げて、卒業制作の発表会のときも、「スキージャンプ・ペア実行委員会会長の真島です。今我々が普及活動をしているスキージャンプ・ペアという新競技のVTRをごらんください」という見せ方で作品を紹介しました。

亀田卓: 真剣にパロディをやったということですね?

真島理一郎: プレゼンテーションまで含めて作品、みたいな感じで、偽名刺もつくって。上映後に、映像の後日談を書いた新聞の号外をばら撒いたりもしました。

オフィシャルホームページにアクセスすると、選手の詳しい情報や競技の歴史が見られるんです。そのホームページには、「完売しました」とか嘘を書いた偽のグッズコーナーがあって、その中にVHSの競技VTRがあって、そこだけは買えるんです。

亀田卓: 本物を売っていた。いくらぐらいの値をつけたんですか?

真島理一郎: 1,500円で。パッケージも全部手作りでバシッとつくって。卒業後、就職活動は一旦置いて、やれるだけやってみよう、といろいろな映画祭に出したり、ウェブで公開したり、VHS売ったりということを1年ぐらいやっていました。そしたら、1年後ぐらいにエイベックスから声がかかったんです。

亀田卓: 真島さんがエイベックスでやることになったとき、つけた条件がありますよね? その話に僕、感動しました。

真島理一郎: 当時リアルなCGが全盛のころでしたが、そうじゃないCGで勝負したいという思いがすごくあったんですね。エイベックスに最初に言ったのは、「DVDを出すにあたって、つくり直したりは一切しません。卒業制作のクオリティのままやらせてほしい。つくり直す時間があったら、技を増やします」と。これが最初の条件でした。

亀田卓: 普通、クリエーターって、お客さんからしてみるとどうでもいいところでお金を使いすぎて、リクープライン(損益分岐点)が上がってしまうことがよくあって、プロデューサーとしては悩むところなんです。ところが真島さんは、「デジハリの授業でつくった人の顔」をそのまま使った。

真島理一郎: またつくるの、面倒くさいじゃないですか。それにテレビ中継というフォーマットで見せるので、そんなに寄らないし、ゴーグルもかけているんで見えないからいいや、ということで。だから、人は胴体の部分のみ一体つくって、顔は課題でつくった顔のモデリングをポンとくっつけました。

亀田卓: 全部同じなんですよね、ドイツ人とかね。

真島理一郎: 日本人も西洋人も、もう全員同じですね。で、ナレーションで「もみあげ長いですね」と言えば、もみあげが長いだろうということだし、「笑っていますね」と言えば笑って見えるかなぐらいの、そういういい加減なつくりですね。
(その2に続く、全8回)

※この原稿は、2008年9月30日にアカデミーヒルズで開催した「東京オンリーピックができるまで」を元に作成したものです。

該当講座

東京オンリーピックができるまで
真島理一郎 (映像作家/IDIOTS代表)
亀田卓 (デジタルハリウッド大学大学院教授 広告会社勤務/映画プロデューサー )

「only」+「pictures」=「onlypic」唯一無二のスポーツ映像。世界中を熱狂と興奮の渦に巻き込み、DVD販売累計50万枚を記録した大ヒット作「スキージャンプ・ペア」。その生みの親・真島理一郎待望の最新作「東京オンリーピック」。 本作では真島総監督のもと、国内外で活躍する個性派トップク....


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