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自民党総裁選を斬る~空気読めない候補者は去れ~

アカデミーヒルズセミナー経営戦略
更新日 : 2008年11月10日 (月)

第17章 利害を持つ人が政策意思決定にかかわると、必ずゆがむ

チーム・ポリシーウォッチ。司会を務めた岸博幸さん(一番左)

岸博幸: 敬老の日らしく、加藤先生が締めてくださいましたけれども、残り時間、あまりないのですが、フロアの皆様からもご質問を受けたいと思います。

一方、きょうは5人の候補者の政策の比較ということでございますので、この質疑の時間をつかいまして、パネリスト6人の皆様、お手元に紙を配りましたので、5人の候補の政策の採点をしてください。ルールとしては、一番できがいいと思われる人は3点、2番目にいいと思われる人は2点、3番目にいいと思われる政策の人を1点。残り2人は0点という形で書いてください。それを集計して、最後に発表します。

会場からの質問:  非常に政策というのは大事だというのは、よくわかります。政策が実行される段階の話になってしまうのですが、日本の政治を見ていて、とりあえず「旗は立ち上げます」というところまでいったとしても、そのあと、骨抜きにされたりとかして、中味が実質的に機能しないであるとか、表紙だけできているんだけれど、中味が全然違うものになっているということが多々起こっているような気がして、マニフェストに書いてあるからといっても、ちょっと信頼できないという強い不信感があります。

何が問題になっていて、どう変えていかなければいけないのかというところがわからないというのがあるのです。そういったところについて、竹中先生か、経営のプロの冨山さんかと思うのですが、コメントいただければと思うのです。

竹中平蔵: ご指摘の点はすごく重要です。つまり、どういう政策、何の政策をやるかということは重要なのですけれど、その政策をどのように実現するかという政策のプロセスそのものについても改革が必要なんです。

例えばですけれど、民主党が掲げている政策で、「総理官邸に政治家100人を入れる」と言っているのです。総理官邸には、総理と官房長官、官房副長官が政治家としているけれども、あとは官僚で固められていて、総理官邸の官僚組織が非常に強くて、いろいろなことを骨抜きにしているというのは、全くそのとおりなんです。

そういうことにならないようにするために、政治のプロセスも変える。例えば、橋本行革で経済財政諮問会議というものをつくって、それをきちんと法律の中に位置づけるというのは政策プロセスを変えた1つの事例でした。でも、それも、うまくいく場合と、うまくいかない場合がありますね。せっかく器があっても、それをちゃんと使う人がいなかったらうまくいかないのです。

いずれにしても、しかし、政策プロセスを変えるためには、さっきから議論されているように、官僚組織の改革が必要です。政策プロセスを牛耳っていて、またノウハウを持っているのが役人集団です。その役人集団がノウハウを駆使して、自分に関連する利害を守るように行動していることが、今の日本を悪くしている1つの要因になっていますから、そこにやはり切り込むことが、絶対に必要だと思います。

冨山和彦: 例えば、会社が選択と集中の議論をするとき、そのときに一番やってはいけない方法というのは、各事業部に「自分たちがどうしたらいいか考えろ」と振ることです。しかし、そういうことをするあほな経営者がいるのです。事業部に振れば、みんな「自分は売られるのは嫌だ」と言うに決まっているじゃないですか。

今の竹中さんのお話とかぶるのですが、要は当該政策に関して、直接の利害を持つ人が政策意思決定にかかわると必ずそれはゆがみます。当たり前ですが、自分たちがかかっている既得権益を守りたいと考えます。だとすれば、ポイントはその政策領域に詳しくて、なおかつ利害関係を有さない人を、どうやって政策決定や政策作成プロセスに持ち込むかという問題です。

恐らく、日本の今の官僚機構というのは、ほとんどの場合、利害関係者自身が自分たちの命運を決めるような議論を、多分社保庁なんかもやっているんでしょう。だから、ああいうふうにゆがみます。そこはやはり構造的に変えていかなければいけないのが、1つのポイントです。当たり前ですけれど、この手の話は最後はトップダウンでしか絶対に決まりません。

竹中平蔵: 今のはすごくいい例で、郵政民営化のとき、あれは総務省にやらせなかったんです。総理のもとに総理官邸内閣官房という新しい組織をつくって、そこでやったんです。私はそこの責任者の大臣になったんです。何が起こっているかというと、社会保障の改革も厚生労働省で最初やっていたけれどだめで、だから総理官邸につくろうというところまではいったんです。そうすると、今度は何をやったかというと、厚生労働省が総理官邸の会議をすべて牛耳るような仕組みをつくるわけです。

やはり、どこでどういう器で議論するかという、分捕り合戦みたいなことが現実に起こっていて、残念だけれども、やはり官僚は非常にしたたかに、官僚に優しい政治家を取り込んで、そして結局はさっき言ったように利害を持っている人たちがバイアスをかけるような政策が続いているということです。

※この原稿は、2008年9月15日にアカデミーヒルズで開催した緊急シンポジウム「自民党総裁選を斬る~空気読めない候補者は去れ~」を元にアカデミーヒルズが作成したものです。

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