記事・レポート
これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~
更新日 : 2008年02月12日
(火)
第5章 「金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が金持ちになるわけではない」

竹中平蔵: 文化の蓄積が高まる時は、いい意味で富が偏在している時です。ナポレオンが権力と富を握って素晴らしいパリをつくった。日本でも非常に富が集積して国家統一がなされた時に、国分寺などが全国につくられた。相撲でも歌舞伎でも、旦那がいて、タニマチがいて支えたわけです。そのシステムを延々と保ってきたから、伝統や文化が保たれている。
残念ながら、富に対する社会的許容度が今の日本社会にはあまりない。ばっと出てきてお金を儲けた企業は叩かれる。統計的に見る限り、諸外国と比べると日本は極端な格差社会ではないのに、格差、格差と大騒ぎをしています。お金持ちが自分の力で頑張って高い所得を稼ぎ、たくさん税金を払ってくれるのは歓迎すべきことですよ。金持ちの足を引っ張るような文化はやめましょう。「金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が金持ちになるわけではない」。これはサッチャー元英国首相の言葉です。
むろん、貧しい人に対するケアは必要ですが、貧困問題は政策的に解決すればいい。今のような、頑張って成功している人が肩身の狭くなる風潮はおかしい。「俺はこれだけ儲けた。だから、これだけ文化に金を使う」と堂々と言える社会でありたい。そういうマインドセットをしないといけないと、私は思います。
米倉誠一郎: 同感です。「格」に違いがあれば、「差」が出るのはあたり前。例えば、僕の野球と松井の野球は格が違うのに同じ年俸だったら、皆さん怒るでしょう? 怒りますよね。それと同じことです。経営はもっと難しい。何百人、何千人を雇ってやっていくんですから。優れた経営者が高い給料をもらうのは当然です。
しかし、問題は金じゃない。「格」の尺度はプロフェッショナリズムだからです。お金だけが尺度になってはいけない。素晴らしいタクシーの運転手さんとか、素晴らしいお蕎麦屋さん、こういう人たちはみんなその世界での「格」はトップ。その部分は所得に関係なく尊敬しなくてはいけない。それを皆が認めるというマインドを持つことが大切です。
残念ながら、富に対する社会的許容度が今の日本社会にはあまりない。ばっと出てきてお金を儲けた企業は叩かれる。統計的に見る限り、諸外国と比べると日本は極端な格差社会ではないのに、格差、格差と大騒ぎをしています。お金持ちが自分の力で頑張って高い所得を稼ぎ、たくさん税金を払ってくれるのは歓迎すべきことですよ。金持ちの足を引っ張るような文化はやめましょう。「金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が金持ちになるわけではない」。これはサッチャー元英国首相の言葉です。
むろん、貧しい人に対するケアは必要ですが、貧困問題は政策的に解決すればいい。今のような、頑張って成功している人が肩身の狭くなる風潮はおかしい。「俺はこれだけ儲けた。だから、これだけ文化に金を使う」と堂々と言える社会でありたい。そういうマインドセットをしないといけないと、私は思います。
米倉誠一郎: 同感です。「格」に違いがあれば、「差」が出るのはあたり前。例えば、僕の野球と松井の野球は格が違うのに同じ年俸だったら、皆さん怒るでしょう? 怒りますよね。それと同じことです。経営はもっと難しい。何百人、何千人を雇ってやっていくんですから。優れた経営者が高い給料をもらうのは当然です。
しかし、問題は金じゃない。「格」の尺度はプロフェッショナリズムだからです。お金だけが尺度になってはいけない。素晴らしいタクシーの運転手さんとか、素晴らしいお蕎麦屋さん、こういう人たちはみんなその世界での「格」はトップ。その部分は所得に関係なく尊敬しなくてはいけない。それを皆が認めるというマインドを持つことが大切です。
これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~ インデックス
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第1章:「アジアと欧米のゲートウェイを目指すには、まず、空港の自由化を」
2008年02月06日 (水)
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第2章 「東京はものすごくゆっくりしちゃったな、と感じます」
2008年02月06日 (水)
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第3章 「失われた 10年」より人の気持ちが後退したことが問題
2008年02月06日 (水)
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第4章 中国は現代アートも建築も熱い。しかし、日本は未だに実績主義です
2008年02月08日 (金)
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第5章 「金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が金持ちになるわけではない」
2008年02月12日 (火)
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第6章 見当違いの格差論が日本や東京の発展を阻む
2008年02月14日 (木)
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第7章 毎朝毎晩350万人が通勤する、こんな都市は世界に類がない
2008年02月18日 (月)
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第8章 毎年青森県分の人口が減る時代、国土政策、都市政策は決定的に変わる
2008年02月20日 (水)
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第9章 米国の知恵は、寂れた場所をしばらく放っておくこと
2008年02月22日 (金)
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第10章 東京の魅力づくりには、歴史をずる賢く使うセンスが必要です
2008年02月26日 (火)
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第11章 経済も都市も「どん底」を見せれば、V字回復する
2008年02月27日 (水)
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第12章 知的リソースが集積し、交流し、結合する都市へ
2008年02月29日 (金)
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第13章 人的交流のゲートウェイを目指すなら、東大の民営化を
2008年03月04日 (火)
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第14章 計画性より偶発的な集積や創発性が都市を変えていく?
2008年03月07日 (金)
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第15章 自由な発想や発展を阻むのは、日本の古い法風土
2008年03月11日 (火)
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第16章 日本を、東京を変えるには根元的な議論が必要
2008年03月14日 (金)
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