記事・レポート
これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~
更新日 : 2008年02月06日
(水)
第2章 「東京はものすごくゆっくりしちゃったな、と感じます」

米倉誠一郎: 建築の世界では「東京は結構おもしろい」という説と「ほとんど壊滅的だ」という説と2つありますが、隈さんはどう思われますか。
隈研吾: 東京に対する評価はさまざまですが、私は「ものすごくゆっくりしちゃったな」と感じます。
実は、今日も北京から帰ってきたところなんですが、中国の諸都市では「デザインをどうしよう」とか、「どういう街づくりをしようか」といった議論が盛り上がっていますし、世界中に面白いアイディアを求めている。面白いことを考えている人がいたら、すぐ呼んできて案を出させ、駄目なら別の人間にとっかえようという感じです。こちらはたまったものではないんですが(笑)
都市計画に対する意識は完全にグローバル化していますね。
米倉誠一郎: 隈さんも「おもしろいアイディアを出せ」と北京に呼ばれたわけですね。その他にもそんな熱気に溢れた都市があるのでしょうね。
隈研吾: ええ、今まで思ってもみないようなところから呼ばれます。例えば、ヨーロッパでは東欧諸国がものすごく熱い。今まではルーマニアとかハンガリーといった国から、日本人が「都市計画に参画してくれ」とか、「六本木ヒルズをつくってくれ」なんて呼ばれるなんて想像もしなかったでしょう。でも、今、そうした国の新都市の真ん中でそうしたコンペが続々と開かれている。
米国のラスベガスもそうです。「ラスベガスなんてディズニーランドみたいなところで、商業資本が勝手にやっているから、僕らとは関係ないだろう」と思っていたら、そうじゃない。
「世界の建築家を使ってラスベガスを変えよう」というトレンドが盛り上がっている。ラスベガスのかなりの部分を手掛けているディベロッパーが、有名な建築家をどんどん招聘しているんです。ノーマン・フォスターとか、シーザー・ペリとか、ダニエル・リーベスキントとかね。
僕ら建築家のイメージから言うと、「あのダニエル・リーベスキントがラスベガス!?」という感じなわけですよ。彼はベルリンのユダヤ博物館を手掛けた建築家です。それがラスベガスの商業施設を手掛けているわけですよ。
僕にも声がかかって「ラスベガスにすぐ来てくれ。何が何でもすぐ来てくれ」と言われて飛んでいったら、「こういうものができないか」と。「今までのラスベガスのイメージを一新する」というんです。なぜかといえば、建築家にやらせたものが今までのラスベガスの記録を塗り替える成功を納めたからです。
ラスベガスの来訪者といったら、アメリカのおじいちゃん、おばあちゃんって感じが強いですが、彼らもこれまでのチャラチャラした建物じゃなくて、デザインオリエンテを出したハードコアの建物がいいと思っていることが数字ではっきりと検証されたんですよ。
今まで想像してもみなかったことが、世界中の都市で起こっているんです。それに比べると、東京の動きはものすごくゆっくりしていて保守的だし、今までやってきたことを繰り返している。これでいいのかな、と思いますね。
隈研吾: 東京に対する評価はさまざまですが、私は「ものすごくゆっくりしちゃったな」と感じます。
実は、今日も北京から帰ってきたところなんですが、中国の諸都市では「デザインをどうしよう」とか、「どういう街づくりをしようか」といった議論が盛り上がっていますし、世界中に面白いアイディアを求めている。面白いことを考えている人がいたら、すぐ呼んできて案を出させ、駄目なら別の人間にとっかえようという感じです。こちらはたまったものではないんですが(笑)
都市計画に対する意識は完全にグローバル化していますね。
米倉誠一郎: 隈さんも「おもしろいアイディアを出せ」と北京に呼ばれたわけですね。その他にもそんな熱気に溢れた都市があるのでしょうね。
隈研吾: ええ、今まで思ってもみないようなところから呼ばれます。例えば、ヨーロッパでは東欧諸国がものすごく熱い。今まではルーマニアとかハンガリーといった国から、日本人が「都市計画に参画してくれ」とか、「六本木ヒルズをつくってくれ」なんて呼ばれるなんて想像もしなかったでしょう。でも、今、そうした国の新都市の真ん中でそうしたコンペが続々と開かれている。
米国のラスベガスもそうです。「ラスベガスなんてディズニーランドみたいなところで、商業資本が勝手にやっているから、僕らとは関係ないだろう」と思っていたら、そうじゃない。
「世界の建築家を使ってラスベガスを変えよう」というトレンドが盛り上がっている。ラスベガスのかなりの部分を手掛けているディベロッパーが、有名な建築家をどんどん招聘しているんです。ノーマン・フォスターとか、シーザー・ペリとか、ダニエル・リーベスキントとかね。
僕ら建築家のイメージから言うと、「あのダニエル・リーベスキントがラスベガス!?」という感じなわけですよ。彼はベルリンのユダヤ博物館を手掛けた建築家です。それがラスベガスの商業施設を手掛けているわけですよ。
僕にも声がかかって「ラスベガスにすぐ来てくれ。何が何でもすぐ来てくれ」と言われて飛んでいったら、「こういうものができないか」と。「今までのラスベガスのイメージを一新する」というんです。なぜかといえば、建築家にやらせたものが今までのラスベガスの記録を塗り替える成功を納めたからです。
ラスベガスの来訪者といったら、アメリカのおじいちゃん、おばあちゃんって感じが強いですが、彼らもこれまでのチャラチャラした建物じゃなくて、デザインオリエンテを出したハードコアの建物がいいと思っていることが数字ではっきりと検証されたんですよ。
今まで想像してもみなかったことが、世界中の都市で起こっているんです。それに比べると、東京の動きはものすごくゆっくりしていて保守的だし、今までやってきたことを繰り返している。これでいいのかな、と思いますね。
これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~ インデックス
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第1章:「アジアと欧米のゲートウェイを目指すには、まず、空港の自由化を」
2008年02月06日 (水)
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第2章 「東京はものすごくゆっくりしちゃったな、と感じます」
2008年02月06日 (水)
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第3章 「失われた 10年」より人の気持ちが後退したことが問題
2008年02月06日 (水)
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第4章 中国は現代アートも建築も熱い。しかし、日本は未だに実績主義です
2008年02月08日 (金)
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第5章 「金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が金持ちになるわけではない」
2008年02月12日 (火)
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第6章 見当違いの格差論が日本や東京の発展を阻む
2008年02月14日 (木)
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第7章 毎朝毎晩350万人が通勤する、こんな都市は世界に類がない
2008年02月18日 (月)
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第8章 毎年青森県分の人口が減る時代、国土政策、都市政策は決定的に変わる
2008年02月20日 (水)
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第9章 米国の知恵は、寂れた場所をしばらく放っておくこと
2008年02月22日 (金)
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第10章 東京の魅力づくりには、歴史をずる賢く使うセンスが必要です
2008年02月26日 (火)
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第11章 経済も都市も「どん底」を見せれば、V字回復する
2008年02月27日 (水)
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第12章 知的リソースが集積し、交流し、結合する都市へ
2008年02月29日 (金)
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第13章 人的交流のゲートウェイを目指すなら、東大の民営化を
2008年03月04日 (火)
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第14章 計画性より偶発的な集積や創発性が都市を変えていく?
2008年03月07日 (金)
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第15章 自由な発想や発展を阻むのは、日本の古い法風土
2008年03月11日 (火)
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第16章 日本を、東京を変えるには根元的な議論が必要
2008年03月14日 (金)
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