記事・レポート

私たちのニューノーマル ~新しい現実からの気づき~

更新日 : 2020年09月15日 (火)

第7回 小泉悠(東京大学先端科学技術研究センター特任助教)

 
今までとは価値観が異なる新しい日常を過ごす私たち。
「私たちのニューノーマル ~新しい現実からの気づき」では、様々な分野の方に、
「ニューノーマル」や「生き方」についてお話いただきます。

第七回にご登場いただくのは東京大学先端科学技術センター特任助教で軍事評論家の小泉悠さん。

大学での研究を生業とする小泉さん。コロナ以前は研究室に籠りきり、生活の全てが研究に「占領」された毎日でした。とはいえ、研究者にとって、そのような日常は異常ではなく、むしろ通常。研究が頭と体と生活とを主導する、そんな日常です。

研究者とは、おそらく特殊なストレスを背負っている職業といえるでしょう。どのような研究であっても、すぐに結論や結果がでるものはなく、研究によっては、明確な成果が見えてくるまでに何年も、何十年も(さらには見えずに終わる事も!)あります。その間、自身の情熱とモチベーションを保ち続けていかなければならず、それは強い精神と信念がなければ成り立ちません。研究室に籠るという表現からは静的印象も受けますが、実際は巨大なエネルギーがその部屋で消費されている事を感じます。さらに時機を待つという我慢強さも必要でしょう。現状を踏まえながらも過去と未来との長期視点での研究を継続する研究者。小泉さんの担うお仕事の非常に大きな負荷を感じます。
*このような努力の結果、小泉さんは2019年にサントリー学芸賞を受賞されました。

そんな小泉さんの研究生活にもコロナは否応なく襲ってきました。強制的に研究室と
研究から引き剥がされた小泉さん。新しい日常で得た気づき、楽しみとは一体何だった
のでしょうか?軍事評論家と聞くと、ちょっと身構えてしまいますが、小泉さんの
趣味や感性になんだかホッとする、そんなインタビューです!
 
 

 

自粛期間中に制作したプラモデルは、雑誌にも取り上げられた

BOOKS

新たなミサイル軍拡競争と日本の防衛
小泉悠, 森本敏 , 高橋杉雄 , 戸﨑洋史 ,
合六強 , 村野将
INF条約失効後、米国は新たな中距離ミサイルの開発に着手。中国をいかにして軍備管理の枠組みに組み入れるか? ポストINF時代の安全保障について戦略・軍事・軍縮の専門家が多面的に分析・検討する。
並木書房/2020年9月)
 

 

「帝国」ロシアの地政学
「勢力圏」で読むユーラシア戦略

小泉悠

ロシアの対外政策を、その特殊な主権観を分析しながらその野望と戦略を読み解くのに最適の書。ロシアの秩序観を知り、国際社会の新たな構図を理解し、北方領土の軍事的価値にも言及する。第41回サントリー学芸賞(社会・風俗部門)受賞作品。
東京堂出版/2019年6月)

PROFILE

小泉 悠(東京大学先端科学技術研究センター特任助教)
小泉 悠(東京大学先端科学技術研究センター特任助教)

未来工学研究所特別研究員。1982年、千葉県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了後、民間企業勤務、外務省国際上統括官組織専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員などを経て現職。専門はロシアの軍事・安全保障政策、宇宙政策、危機管理政策など。主著に『軍事大国ロシア』(作品社)及び『プーチンの国家戦略』(東京堂出版)、鼎談をまとめた『大国の暴走』(講談社)などがある。


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