記事・レポート
日本元気塾セミナー
既存の枠をぶち壊せ!
若きイノベーターの挑戦/杉江理×佐々木大輔×米倉誠一郎
更新日 : 2016年05月25日
(水)
第8章 本気になれることを探していた20代

写真左:米倉誠一郎/写真中央:佐々木大輔/写真右:杉江理
世界を放浪して見えたもの
米倉誠一郎: 杉江さんの20代はどうでしたか?
杉江理: 佐々木さんと同じく、本気になれることが見つからなかったため、毎週末アパートに集まり、ワイワイ言いながら好きなモノを作っていました。よく、「やりたいことをやれ!」と言う人がいますが、20代で一生の仕事が見つかるほど、人生は甘くないです。
米倉誠一郎: 僕は今、反省しています。なぜなら普段、学生達に向かって「やりたいことをやれ!」と言っているから(笑)。やりたいことなど簡単には見つからないことを、僕は忘れていました。やりたいことを本気で探すための勇気を鼓舞することこそ、僕の役割ですよね。杉江さんの場合、起業を後押ししたのは東京モーターショーでのひと言だった。
杉江理: そうですね。とはいえ、僕達は最初から起業したいと考えていたわけではありません。アパートの一室でワイワイやっていた頃は、単純に「作ることが楽しい!」だけでした。実は、僕は起業する3年ほど前、すでに日産自動車を辞めていました。何をしようかなと考え、とにかく一度日本から出ようと思い、退職から3日後、中国に向かいました。世界の人口のうち6人に1人は中国人で、これからは中国語が話せれば何においても強いだろうと考え、中国の南京に向かい、日本語教師をしながら中国語を学びました。
米倉誠一郎: 南京で日本語を教えながら、中国語を学ぶ。実にイノベーティヴな選択だね。
杉江理: 「中国語を学ぶ」という目的を達成するのであれば、中国人と一緒に生活することが最も効率的です。できれば、日本語がまったく通じない環境がいい。そうなると、歴史的な理由で日本人が少ない場所が候補になる。実際に南京を訪れると、本当に日本人がおらず、中国語を話さざるを得ない環境になり、一気に上達しました。たしかに、日本人に対して複雑な感情を持つ人もいましたが、直接話をするうちにたくさんの人と仲良くなりました。
米倉誠一郎: なるほど。それはどれくらいの期間?
杉江理: 1年半ぐらいです。しかし、当時も心の中では「何かを本気で作りたい」と思いながら、それがなかなか見つからなくて。その後も色々な国に滞在しながら、現地で感じたインスピレーションをもとに様々なモノを作っていました。パプアニューギニア、ラオス、ウズベキスタン、ボリビア。それぞれ数カ月間滞在しました。
やりたいことを探してもがいていた20代は、本当に苦しかったです。そして、もがいている中で車いすユーザーの言葉に出会い、東京モーターショーに出展し、パーソナルモビリティを作る意義を見いだし、思いが抑え切れなくなるほど強くなった瞬間、起業を決意した。無我夢中で作り続けているうちに、30歳にして本気になれることが見つかりました。
該当講座

既存の枠をぶち壊せ! ~ 若きイノベーターの挑戦 ~
杉江理(WHILL)×佐々木大輔(freee)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長)
杉江理(WHILL,Inc. CEO)×佐々木大輔(freee株式会社 代表取締役)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター教授)
日本元気塾塾長である米倉誠一郎氏が、「車いす」のマーケットにイノベーションを巻き起こしているWHILL,Inc. CEOの杉江理氏と、クラウド会計ソフトとしてシェアNo.1を獲得する大躍進を遂げているFreee株式会社の佐々木大輔氏を迎えして、若きイノベーターの挑戦をお話いただきます。
日本元気塾セミナー
既存の枠をぶち壊せ!
インデックス
-
第1章 全ての人の移動を楽しくスマートに
2016年05月11日 (水)
-
第2章 100m先のコンビニに行くのを諦める
2016年05月11日 (水)
-
第3章 シリコンバレーで本気のモノづくり
2016年05月11日 (水)
-
第4章 スモールビジネスを支援する「freee」
2016年05月18日 (水)
-
第5章 中小企業のテクノロジー活用を進めたい
2016年05月18日 (水)
-
第6章 自分の好きなことで社会に貢献する
2016年05月18日 (水)
-
第7章 日米のベンチャーキャピタルの考え方
2016年05月25日 (水)
-
第8章 本気になれることを探していた20代
2016年05月25日 (水)
-
第9章 ネガティブをポジティブに変えたい
2016年05月25日 (水)
-
第10章 社会に共通する課題を見つけ、貢献する
2016年05月25日 (水)
注目の記事
-
11月21日 (火) 更新
六本木アートカレッジ
2022-2023年の六本木アートカレッジ <未来を拡張するゲームチェンジャー>」では、新しい価値を生み出す5名のゲストを招き、トークイベン....
<未来を拡張するゲームチェンジャー>イベントレポート
-
11月21日 (火) 更新
動的書房 ~生物学者・福岡伸一の書棚
目利きの読み手でもある生物学者の福岡伸一が、六本木ヒルズライブラリーのために、特別に選んだ“これだけは読んでおきたい本”“ いま読むべき本”....
-
11月21日 (火) 更新
もっとも書物らしい書物—西洋中世写本の魅力に触れる書籍案内
今回は「もっとも書物らしい書物—西洋中世写本の魅力に触れる書籍案内」と題し、手書きから印刷、そしてデジタルへと変遷してきた「書物」の歴史を辿....
現在募集中のイベント
-
開催日 : 12月13日 (水) 19:30~21:00
World Report 第6回 アメリカ発 by 渡邊裕子
いま世界の現場で何が起きているのかを、海外在住の日本人ジャーナリスト、起業家、活動家の視点を通して解説し、そこから何が見えるのかを参加者の皆....
「投開票まであと1年!米国大統領選挙を読み解く」
-
開催日 : 12月06日 (水) 18:30~20:00
シリーズ「編集者の視点〜時代を共に創る〜」
本の背景にあるストーリーから仕事のエッセンスを学ぶ「編集者の視点」シリーズ。第5回ゲストは、日本の翻訳出版界のマーケットシェア60%を占める....
第5回 世界とつながる共通言語を求めて
-
開催日 : 12月08日 (金) 18:30~20:00 読書体験会 第3回 / 09月13日 (水) 18:00~19:30 トークイベント ※終了いたしました / 10月18日 (水) 18:30~20:00 読書体験会 第1回 ※終了いたしました / 11月13日 (月) 18:30~20:00 読書体験会 第2回 ※終了いたしました
『スマホ時代の哲学』読書体験会
スマホ時代の課題を哲学の視点を使って考えていく本書『スマホ時代の哲学〜失われた孤独をめぐる冒険〜』。著者の哲学者・谷川嘉浩さんと、人材・組織....