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既存の枠をぶち壊せ!

若きイノベーターの挑戦/杉江理×佐々木大輔×米倉誠一郎

更新日 : 2016年05月11日 (水)

第2章 100m先のコンビニに行くのを諦める

杉江理(WHILL,Inc. CEO)

 
もはや車いすではない!

杉江理: 僕達がなぜWHILLを作り、起業に至ったのか? すべては2010年10月のある日、1人の車いすユーザーから言われた「100m先のコンビニに行くのを諦める」という言葉から始まりました。

当時、平日は会社で働きつつ、週末になるとアパートの一室に僕や友人達、15人ほどのモノづくり大好き人間が集まり、ワイワイ言いながら意味不明なモノばかり作っていました。その中で、メンバーの1人が「車いすが作りたい」と言い出し、それならばユーザーの話を聞こうとリハビリテーションセンターを訪れたところ、先の言葉と出会ったのです。

その方の発言の意図は、従来の車いすは、それに乗ること自体がネガティブに受け止められており、ユーザーの方々は心理的な不安を抱えていました。また、坂道や階段といった移動を妨げるインフラのリスクもあり、次第に外出を避けるようになり、行動範囲も狭くなっていく。こうした負のスパイラルの象徴が、「100m先のコンビニに行くのを諦める」という言葉だったわけです。

この段階ではまだ、起業という考えは頭になく、「どうせ作るのなら、誰もが乗りたくなるようなカッコ良い乗り物を作ろう!」という思いだけで進んでいました。さっそく、東急ハンズなどで材料を集めて作り始め、アパートの中で走行試験も行いました。

1年後の2011年、プロトタイプが完成しました。「これはもはや電動車いすではない。障がいや福祉といった概念さえぶち壊す、新しいパーソナルモビリティだ!」。そのような考えから、僕達は東京モーターショーに出展しました。すると、日本だけでなく世界中から様々な反響が届き、「欲しい!」といった声もたくさんいただき、僕達が考える「カッコ良い」に共感してくれる人達がいることを初めて実感しました。

「欲しい人」に本気で届ける

杉江理: 実は、この展示会でかけられたひと言が、起業のきっかけとなりました。僕達の出展ブースにある車いす製造会社の方がやってきて、「ふざけるな、今すぐやめろ! 所詮はプロトタイプで、欲しいと言う人がいても、本気で売り出す気などないだろ? 夢を見させるだけの行為がどれほど残酷なことか、分かっているのか!」と一喝されてしまったのです。

ハッとしたのと同時に、たしかにそうだなと思いました。僕達がいた会社でも、素晴らしい特許や技術がたくさんありながら、多くは製品化に至っていませんでした。社会の役に立つはずの特許や技術が埋もれているのは、非常にもったいない。「欲しい」と言ってくれる人が1人でもいるのなら、リスクを取ってでも本気で届けよう。真剣にそう思いました。

そして2012年4月、アパートに集まっていたメンバーの中から、僕を含む3人がスピンアウトし、WHILLを立ち上げました。


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既存の枠をぶち壊せ! ~ 若きイノベーターの挑戦 ~ 杉江理(WHILL)×佐々木大輔(freee)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長)

杉江理(WHILL,Inc. CEO)×佐々木大輔(freee株式会社 代表取締役)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター教授)
日本元気塾塾長である米倉誠一郎氏が、「車いす」のマーケットにイノベーションを巻き起こしているWHILL,Inc. CEOの杉江理氏と、クラウド会計ソフトとしてシェアNo.1を獲得する大躍進を遂げているFreee株式会社の佐々木大輔氏を迎えして、若きイノベーターの挑戦をお話いただきます。



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