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既存の枠をぶち壊せ!

若きイノベーターの挑戦/杉江理×佐々木大輔×米倉誠一郎

更新日 : 2016年05月18日 (水)

第5章 中小企業のテクノロジー活用を進めたい


 
Googleで感じた日本企業の課題

佐々木大輔: 僕は1999年、一橋大学商学部に入りましたが、最初の基礎講義を担当されたのが米倉先生でした。今でも覚えていますが、入学したばかりの学生に向かって、「これからはニューエコノミーの時代だ!」と叫ばれていました(笑)。テクノロジーに興味がなかった僕も、この講義のおかげで早い時期からインターネットを意識するようになり、学生時代は統計やデータサイエンスを学び、IT系ベンチャー企業でインターンもしました。

その後、20代のキャリアは転々としています。新卒で広告代理店に入り、投資ファンドに移り、その次はベンチャー企業のCFO、そこからGoogleに転職しました。Googleでは「Google AdWords」のマーケティングを担当し、最初は日本の中小企業向け、その後は日本およびアジア・パシフィック地域における中小企業向けのマーケティングの統括を担当していました。インターネットを活用することで、スモールビジネスの人達も大企業と対等に戦えるようになる。非常に面白いソリューションで、僕はこうしたツールを広めていく仕事が大好きでした。

同時に、この仕事を通じてある課題に気がつきました。中小企業におけるテクノロジー活用という点で、日本と海外では大きな差があると感じたのです。例えば、日本ではFAXを使う企業がたくさんあります。一方、アメリカではもはやビジネスの現場では見かけず、スミソニアン博物館に歴史的遺産として飾られています。この違いはニューヨーク・タイムズの記事でも取り上げられたそうです。

さらに、中小企業のクラウドサービス利用率は、アメリカが約60%、日本は約25%。日本はテクノロジー先進国と言われ、通信インフラも世界トップクラスですが、ほとんど活用されていない。非効率なだけでなく、それによって損害すら出ているかもしれません。なぜ活用されないのかと言えば、テクノロジーのメリットを体感する機会がないからです。

テクノロジーのメリットを体感してもらうことができれば、中小企業におけるテクノロジー活用は一気に進むはず。ならば、何を通じてメリットを感じてもらうのか? そう考えた時に頭に浮かんだのが、会計・経理業務でした。

「センターピン」を倒す

佐々木大輔: 以前、ベンチャー企業でCFOを務めていた頃、僕の隣にいた経理担当は1日中パソコンに向かい、入力作業をしていました。請求書を受け取ると、その情報をエクセルに入力し、次に帳簿代わりの会計ソフトに入力する。月末になると、オンラインバンクを通じて振り込み作業を行った後、「これは振り込み済み」と会計ソフトにチェックを入れ、エクセルにも同じことをする。1つの請求書を処理するために、これだけの作業が必要でした。

試しにソフトを触らせてもらったこともありましたが、大学で簿記を学んだ僕でも、使い方を覚えるまでにひと苦労。僕は、この面倒な作業をどうにかできないかと感じました。

また、僕の実家は自営業で、月末になると大人達が居間に集まり、帳簿をつけていました。決算月ともなれば、テーブルいっぱいに請求書やレシートを並べ、朝から晩まで帳簿とにらめっこです。時折ため息をつきながら、目頭を押さえる姿を見て、子どもながらに「大変だな」と感じていました。

様々な記憶が重なる中で、「会計や経理業務で困っている人は、実はたくさんいるのでは?」と考えるようになりました。こうした業務を圧倒的に簡単にできるプロダクトを生み出せば、それが“ボーリングのセンターピン”になり、困り事を解決するだけでなく、中小企業のテクノロジー活用も一気に進む。そのようなビジョンが見えた瞬間、「これは運命の仕事だ!」とワクワクし、起業を決意しました。


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既存の枠をぶち壊せ! ~ 若きイノベーターの挑戦 ~ 杉江理(WHILL)×佐々木大輔(freee)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長)

杉江理(WHILL,Inc. CEO)×佐々木大輔(freee株式会社 代表取締役)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター教授)
日本元気塾塾長である米倉誠一郎氏が、「車いす」のマーケットにイノベーションを巻き起こしているWHILL,Inc. CEOの杉江理氏と、クラウド会計ソフトとしてシェアNo.1を獲得する大躍進を遂げているFreee株式会社の佐々木大輔氏を迎えして、若きイノベーターの挑戦をお話いただきます。



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