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“面白い”ビジネスのつくり方

小澤隆生、南壮一郎が語るスタートアップ

BIZセミナー経営戦略キャリア・人
更新日 : 2015年05月27日 (水)

第8章 ビジネスの本質を見抜くコツとは?


 
徹底調査と要素分解

会場からの質問(2): 本質を見抜くためのコツがあれば、教えていただけますか?

小澤隆生: やはり、徹底的な情報収集と、要素分解ですね。2007年に、ある医療機関から「東京・立川駅周辺に、新しいクリニックをつくりたい」という相談を受けました。僕はどのようなビジネスでも、要素分解を行うときは、商品、マーケティング、購入フロー、リピートという4項目に分けて考えます。各項目の基準点を1とすれば、1×1×1×1=1点となり、事前調査を行うことで、対象となるビジネスの平均点がわかります。4項目のうち、自分たちはどの項目を、どの程度伸ばして勝ちにいくのか? それによって、ビジネスの成功の幅が決まります。

医療は特殊な世界で、さまざまなことが法律で細かく定められています。風邪であれば、どの医療機関でも同じ診療行為が行われ、その料金だけでなく、処方される薬の価格も一定です。レストランにたとえるなら、どの店に行っても同じ味のナポリタンが出され、価格も一律500円、ということです。

では、何が差別化のポイントになるのか? 商品や価格が同じであれば、勝負するポイントは残り3つの項目、具体的には立地と営業時間、ホスピタリティだと考えました。

誰もやっていないことをやる。しかも、最も便利な場所、便利な時間帯で。事前調査によれば、駅の半径500m内のクリニックは、いずれも午後6時には診療を終えている。そこで、駅ナカに午後9時まで営業するクリニックをつくりました。これで8割方、勝ちは決まりました。


次に着目したのは、インターネット広告と自由診療です。いまのところ、「インターネットにクリニックの広告を出してはダメ」という法律はありません。さらに、料金が自由に決められる自由診療の中で、最も需要が高いのはインフルエンザと花粉症の予防接種。これらも少し調べればわかります。

現在、多くの人はネット検索で受診する病院を決めています。そこで、徹底的にSEOをかけました。「立川」「インフルエンザ」「花粉症」で検索すると、画面のトップに病院名が出てくる。さらに、インフルエンザと花粉症の予防接種は、周辺の相場よりも料金を抑えました。検索結果のトップに表示され、さらに料金も安いとなれば、自ずと人は集まります。

最後はリピートです。皆さんも、一度近所の病院で診察券をつくれば、よほど第一印象が悪くない限り、その病院に通い続けるでしょう。病院は、レストランのように「今日は中華、今日はイタリアン」と、気分次第で変えるものでもありません。つまり、初診の人をたくさん獲得できれば、成功に近づくことができる。そのために、医師のクオリティはもちろん、予約システム、内装や接遇などを徹底的に充実させました。

ビジネスの本質は、徹底した事前調査と要素分解でつかむことができます。多少の訓練は必要ですが、こうした視点で物事を捉えられるようになると、成功の確率を高めることができるはずです。
と、前向きであること、最後まで諦めずに頑張り抜くこと。この3つがあれば、成功の確率をさらに高めることができると思います。



該当講座

“面白くて、稼げる”ビジネスのつくり方
小澤隆生 (ヤフー株式会社 執行役員 ショッピングカンパニー長)
南 壮一郎 (株式会社ビズリーチ代表取締役)
佐々木紀彦 (PIVOT CEO)

小澤隆生(㈱ヤフー 執行役員 ショッピングカンパニー長)
南壮一郎(㈱ビズリーチ代表取締役)
佐々木紀彦(㈱東洋経済新報社『東洋経済オンライン』編集長)
今注目の起業家をゲストにお迎えする「東洋経済スタートアップシリーズ」。今回は「成功するビジネスのつくり方」をテーマにお二人のゲストにご登壇頂きます。セミナー後は簡単な懇親会もございます。


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