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“面白い”ビジネスのつくり方

小澤隆生、南壮一郎が語るスタートアップ

BIZセミナー経営戦略キャリア・人
更新日 : 2015年05月20日 (水)

第4章 鳥肌が立つほど感動する仕事がしたい

南壮一郎(株式会社ビズリーチ代表取締役)
南壮一郎(株式会社ビズリーチ代表取締役)

 
僕は常にマイノリティだった

南壮一郎: 僕は父の転勤に伴い、小さな頃からさまざまな場所で暮らしてきました。6~13歳まではカナダ・トロント、中学・高校時代は静岡県浜松市、その後は米国・ボストンの大学に入り、就職のため再び日本に戻りました。こうした経緯から、どこにいても自分は常にマイノリティであると感じていました。

常にマイノリティであると、マジョリティが羨ましくなり、どうすればマジョリティになれるのかを必死に考えます。自分と周りはどう違うのか、どうすれば順応できるのか。現実と理想のギャップについて考えるクセが、自然と身につきました。一方で、「1人ひとりは違っていてもいい」ということにも気がつきました。日本は同質性の高い国ですが、一歩外に出れば多様性に満ちた世界があり、そこでは違いを認識した上で、自分の意見を伝えることが大切になります。大変なことはたくさんありましたが、いまはこれらの経験が、面白いビジネスを考える上で非常に役立っていると感じています。

最初の就職先は、外資系証券会社の日本支社でした。なぜ、金融の世界を選んだのかといえば、僕が通った大学は、大半の卒業生が医者や弁護士、金融機関を選択していたからです。マイノリティである僕が幼い頃から続けてきたことは、自分よりもデキる人を徹底的に真似すること。卒業を控えた頃、優秀な同級生に就職先を尋ねると、投資銀行や証券会社という答えが多かった。ならば、僕もそうしようと思ったのです。

加えて、いずれはプロスポーツチームのオーナーになりたいという夢があり、まずは金融の世界でビジネスの基本を学ぼうとも考えていました。幼い頃からメジャーリーグやNBAなどのプロスポーツが身近にあり、僕自身もサッカーをはじめ、さまざまなスポーツに親しんでいたからです。

就職後は、週100時間以上働くことになりましたが、初年度からお給料もたくさん頂き、素晴らしい生活をさせてもらいました。会社はさまざまなビジネスの仕組み、お金の稼ぎ方を教えてくれました。周りには非常に優秀な先輩や同僚がおり、僕は彼らの真似をしながら、金融の世界で活躍する方法を学んでいったのです。


ビジネスに感情は必要ない

南壮一郎: 入社1年目、僕はあるプロジェクト案について「これは絶対に面白そうだから、やりましょう!」と上司に進言しました。すると上司は、「南が感じた面白い、楽しいといった感情は、ビジネスの判断にはまったく関係ない。俺たちの判断軸は、儲かるか、儲からないか。もっと言えば、そこそこ儲かるか、素晴らしく儲かるか。答えはイエスかノーだけだ。判断を鈍らすだけのくだらない感情など、捨ててしまえ。捨てる気がないのなら、この仕事を辞めろ」と言いました。

金融は、お金を通じてお金を稼ぐ仕事ですから、非常にシビアな判断を求められます。当時の僕も、この考え方が正論であると納得していました。しかし、あることをきっかけに、一転して違和感を覚えるようになったのです。

2002年6月、サッカーの日韓ワールドカップが行われ、僕は仲間と一緒に、横浜で行われた日本対ロシアの試合を観戦しました。見渡す限り、ジャパンブルーに染まったスタンド。ピッチで躍動する選手に声援を送る7万人の大観衆。騒然とした雰囲気の中、日本代表は稲本潤一選手があげた1点を守り、悲願であったワールドカップ初勝利をあげました。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、号泣する人、叫び声を上げる人、見ず知らずの人と強く抱き合う人たち……。僕も全身に鳥肌が立ち、無意識のうちにその輪に加わっていました。

そのとき、僕はふと考えました。こうした歓喜や感動を、いまの仕事を通じて体験できるのかと。鳥肌が立つほど、号泣するほど、感動できるのか? 答えはノーでした。



該当講座

“面白くて、稼げる”ビジネスのつくり方
小澤隆生 (ヤフー株式会社 執行役員 ショッピングカンパニー長)
南 壮一郎 (株式会社ビズリーチ代表取締役)
佐々木紀彦 (株式会社ニューズピックス 取締役)

小澤隆生(㈱ヤフー 執行役員 ショッピングカンパニー長)
南壮一郎(㈱ビズリーチ代表取締役)
佐々木紀彦(㈱東洋経済新報社『東洋経済オンライン』編集長)
今注目の起業家をゲストにお迎えする「東洋経済スタートアップシリーズ」。今回は「成功するビジネスのつくり方」をテーマにお二人のゲストにご登壇頂きます。セミナー後は簡単な懇親会もございます。


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